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アジア情報室の資料収集-入手方法と資料概要: アジア情報室通報第1巻第2号

アジア情報室通報 第1巻第2号(2003年6月)

アジア情報室が所蔵するアジア言語資料は、図書は当館が1986年以降受入れたもの、雑誌、新聞等の逐次刊行物は当館が所蔵するすべてである。これらの資料は、購入、国際交換、寄贈、そして国内出版のアジア言語資料は納本によって収集されたものである。国際交換の占める割合が比較的高いこと、国内出版物の納本制度による収集および日本関係資料の収集は、国立図書館としての機能によるものである。

以下、アジア情報室の資料について、中国語、朝鮮語およびそれ以外の地域に分けて、入手方法別に見た概要を紹介する。

中国語資料

収集上の大きな方針としては、人文科学、社会科学分野については、参考図書のほか、基本図書、学術書を収集し、自然科学、科学技術分野は参考図書を中心とした収集を行っている。

1. 購入

1-1 図書

中国の出版物については国内書店のほか、中国国家図書館を通した購入を行っている。
分野としては、これまで蓄積の厚い歴史・地理、文学関係のほか、近年は政治・法律、経済等の社会科学分野にも留意した収集を行っている。また、個別分野としては、地方史誌、日本関係、華人・華僑関係、図書館・情報学関係に重点を置いている。

地方史誌は、中国を総合的に知る基本資料として「中華人民共和国地方志叢書」をはじめ網羅的な収集を心がけている。旧満州国や抗日戦争関係にとどまらず、日本関係資料の出版も増加しており、国立図書館としてできるだけ収集するようにしている。日本文学の翻訳書は、古典や全集について収集している。

図書館・情報学関係、特に書誌学関係は網羅的な収集につとめている。

大型の叢書・コレクションは収集経費を勘案しながらこれまでもいくつか入手している。現在、『続修四庫全書』『四庫全書存目叢書』等の収集を検討している。中華民国期から1990年代前半の刊行資料約17万冊のコレクションである「上海新華書店旧蔵書」については、当館月報No.504(2003年3月)を参照。

また、台湾と香港関係の基本図書の充実を図るため、それぞれ平成6年に中国語461タイトル、欧文85タイトル、平成8年に中国語413タイトル、欧文890タイトルを収録するウオントリストを作成している。

中国国家図書館が提供する書誌情報から入手する資料を選択する方法で行っている購入を、平成11年度から開始した。国内書店では入手の困難な資料も含まれていること、また、到着した資料の汚・破損等の問題もなく、今後も継続して行く予定である。

1-2 逐次刊行物(年鑑、雑誌、新聞等)

逐次刊行物は後述する国際交換の項で併せて述べる。

2. 国際交換

中国国家図書館とは昭和30年から開始し、台湾の国家図書館とは昭和36年から主要な官庁出版物の包括交換を開始した。平成14年度で、実際に交換実績があったのは中国58機関、台湾30機関である。

両館のほか、上海図書館、北京大学図書館、香港中文大学馮平山図書館、国立中央図書館台湾分館などが主要な交換相手先である。

2-1図書

数はそれほど多くはなく、この数年間で、中国からは年平均400冊、台湾からは200冊を入手している。台湾の場合、包括交換対象機関である国家図書館からの政府出版物が多い。

2-2 逐次刊行物
① 年鑑、白書、報告書等

統計情報をはじめ、多数の年鑑が刊行されている。統計年鑑、出版年鑑をはじめとする全国レベルの年鑑や省・特別市・自治区の総合年鑑は可能な限り広く収集している。また、「白皮書」「藍皮書」「緑皮書」「年度報告」などの出版も盛んであり、貴重な一次情報源として重点的に収集している。
中国国家図書館からは、各省の経済統計年鑑等を入手している。

②雑誌

平成14年度末現在で購入、納本を合わせて1,593タイトルを継続収集しているが、うち約30%が国際交換による。

学報類、図書館・情報学関係のほか、医学、科学技術分野も含め幅広く収集しており、復印報刊資料は全分野を揃えている。

また、台湾については国家図書館との包括交換により政府出版物を多く所蔵している。

③新聞

購入のほか、中国国家図書館、上海図書館との国際交換で入手している。中国については、全国紙、専門誌のほか、アジア情報室の開設にあわせて省レベルまで収集している。

3. 納本・寄贈

在日中国人を対象とする雑誌、新聞等が相当数出版されているが、これらは納本により収集している。

【蔵書構成】

中国語図書の当館分類表による蔵書構成を見ると、歴史・地理分野が40%、次いで文学関係が20%を占める。政治、経済、社会、教育関係の社会科学分野は全体で18%でしかない。これは、中国の出版傾向と利用者ニーズを反映したものでもあるが、今後はより一層、研究動向や利用者ニーズに配慮した収集を行っていきたい。

中国語図書の分類別蔵書構成(H15.4現在)

韓国語・朝鮮語資料

1. 購入

購入の具体的な方法は、韓国や国内書店の新刊案内リスト・カタログ等で選んだものを関西館に送付してもらう見計らい選書方式である。

辞書、年鑑、年報、白書類、年表類、人名辞典、会社・団体名録、書誌類、地図・地名辞典、百科事典、図鑑等の参考図書を積極的に購入しているほか、以下の資料群に重点を置いている。

(1)年鑑類
(2)統計類
(3)地方史誌
(4)企業、団体、社史類
(5)政府の白書、市政白書

(1)~(3)については、特別市、広域市、道の単位まで収集することを目指している。また、韓国では「インターネット年鑑」「海事物流年鑑」などの産業別年鑑の出版が増えてきており、年鑑類の中で新たな一角を占めている。(5)の市政白書は未だ入手が難しく、今後の課題である。

関西館アジア情報室開室にあわせ平成12年度から平成14年度にかけ、学術誌を中心に約120タイトルを新たに購入した。同時に、近年国際交換での受入れが不安定になっていた北朝鮮の雑誌の大部分を購入に切り替えた。新聞は全国紙以外に「江原日報」「光州日報」など地方紙数タイトルを新たに追加した。

2. 国際交換

交換先は、平成14年度末現在で韓国47機関、北朝鮮2機関が登録されている。韓国についてみると、大学関係機関が約半数を占める。

① 日本関係資料

韓国国立中央図書館から年1回、最近1~2年間に韓国で刊行された日本関係資料のリストの提供を受けて選書している。なお、当館からも同様に日本刊行の韓国関係出版物を送付している。

② 政府刊行物

韓国国会図書館から、統計資料や年次報告書などの政府刊行物を中心に入手している。一般市場では入手の難しい資料が多く、貴重な収集ルートである。

③ 大学出版物

ソウル大学、釜山大学、高麗大学、成均館大学、梨花女子大学などの大学図書館、博物館、アジア・日本・歴史・経済等に関する研究所との交換により、研究報告や論文集などの大学出版物を入手している。

また、雑誌、特に専門誌・学術誌は、韓国国立中央図書館および韓国国会図書館との交換による収集が、中国と同じく継続誌の約30%を占めている。

3. 寄贈

関西館開館前までは、東京の韓国文化院から定期的に寄贈を受けており、朝鮮語資料構築の大きな柱となっていた。また、韓国の国史編纂委員会からは同委員会刊行の韓国歴史関係資料の寄贈を早くから受けており、現在も量的には少ないが継続している。

4. 納本

地方自治団体が発行するパンフレットや日本に居住する韓国・朝鮮人が発行する朝鮮語雑誌、新聞が増加しており、納本資料として収集している。

【蔵書構成】

所管朝鮮語図書の分類別蔵書構成をみると、歴史・地理分野が大きな割合を占めている。「朝鮮王朝実録(李朝実録)」(韓国発行と北朝鮮発行のものを所蔵)、「日省録」、「備邊司騰録」などの史料がその一角を成しているとともに、利用者の要求もこの分野に関連するものが多く、優先的に収集された結果であろう。次に図書館・叢書が多く、ここには大型コレクションの一つ『韓国歴代文集叢書』(現在整理途中)や百科事典、書誌等が含まれる。また、科学技術、教育などの分野については、これまで参考図書や基本図書の出版自体が少なかったが、多様化しつつある韓国の出版状況をみると、今後収集することを検討したい。

朝鮮語図書の分類別蔵書構成(H15.4現在(

諸地域資料

中国語、ハングル資料を除いたアジア諸地域(東南アジア、南アジア、中央アジア、中東・北アフリカ)の資料収集の状況を紹介する。

1. 国際交換

当館のアジア諸地域資料の収集においては、国立図書館を中心とするアジア各国の関係機関との国際交換が大きな役割を果たしている。なかでも政府刊行物や逐次刊行物は国際交換に拠るところが大きい。ここ数年で交換実績があった機関として、フィリピン、ベトナム、シンガポール、ミャンマー、インド、スリランカ、イラン、トルコ、アルジェリア、チュニジアの各国立図書館などが挙げられる。

ただし、国際交換の場合、財政的事情や情報資源の電子化ということもあり、特に逐次刊行物の継続的な入手が課題である。

2. 購入

欧米出版のアジア関係資料は、主に国内外の書店経由で購入している。アジアの現地出版物については、日本国内の取り扱い書店が限られていること、流通機構の不整備のため現地からの直接購入が難しいことなどから、安定的な入手方法は確立されていない。ただし、取り引きのある若干数の現地書店からは、当該地域の出版物を安定して購入することができている。例えばXunhasabaはベトナムにおいて出版物の輸出入を一手に扱っており、当館は多数のベトナム出版物をここから購入している。

また、大型コレクションの一括購入なども行なっており、過去の大規模な例としては、昭和55年度に国内関係機関との協力において購入したペルシャ語コレクションが挙げられる。

3. ウォントリスト

しかし、これらの方法だけでは整合性のある蔵書構築には不十分であるという認識が従来からあった。そこで、系統立った蔵書構築のための試みとして、ウォントリストによる収集も行ってきた。ウォントリストとは、当館の蔵書のうち比較的手薄な地域の資料、またはその地域に関する資料について、収集すべき基本図書をリストアップしたものである。中国・朝鮮以外のアジア諸地域に関しては、1977年から1990年までの間に、東南アジア関係7冊、南アジア関係9冊、中東関係6冊が作成された。選定された資料数は欧米言語、現地語合わせて約12,000タイトルである。リスト作成はいずれも当該分野の専門家に委嘱し、古典的文献を中心に選定が行なわれた。

実際の入手にあたっては、国内書店や現地書店、欧米の古書店などにリストを配布し、資料が見つかり次第オファーを受けるという方法で収集努力が払われてきた。選定された資料のうちどのくらいが入手できたかは未調査のため明確ではないが、絶版等の理由から入手困難なものも多数含まれており、近年の入手数は減少傾向にある。なお、これら資料の購入予算については、通常とは別立てであったが、関西館アジア情報室の設置後は、アジア関係資料の購入費の中に吸収された。

4. LC共同収集プログラム

現地での収集活動は効果的な入手手段のひとつであるが、継続性を保持するためには現地事務所の運営など相当の労力と経費が必要となる。そこで、より効率的な収集手段として採用したのが、米国議会図書館(LC)の共同収集プログラム(Cooperative Acquisitions Programs、略称CAP)への参加である。

LCは1962年より世界6ヶ所(ジャカルタ、ニューデリー、イスラマバード、カイロ、ナイロビ、リオデジャネイロ)に事務所を設置して、現地資料の収集を行なうと同時に、1965年からは学術研究機関を主な対象とした共同収集プログラムを行なっている。プログラム参加館は、国・分野・言語などによって分けられた項目の中から収集を希望するものを選択する。雑誌についてはタイトルリストの中から選ぶ。こうしてできたプロファイルに基づいて、LCが収集・整理・送付を行なうという仕組みである。プロファイルは1年ごとに更新が可能である。参加館は選択した項目に応じて、年間の収集活動に必要な費用を事前に支払わなければならない。

当館は平成10年11月より、ジャカルタ現地事務所が行なっている東南アジア共同収集プログラムに参加している。対象国はインドネシア、マレーシア、シンガポール、ブルネイの4カ国である。フィリピン、タイ、ベトナムについてはプロファイルを作成していないが、先方からの個別のオファーを受けて選書を行なっている。平成15年3月時点での収集実績は(表1)の通りである。本プログラムで収集した資料には、一般には入手の難しい政府刊行物や地方出版物も含まれており、引き続き継続することで当該地域の蔵書構築に大いに資することが期待できる。

LC共同収集プログラムによる収集実績(H10.11-H15.3)
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