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アジア情報関係機関との懇談会の開催 : アジア情報室通報第1巻第2号

アジア情報室通報 第1巻第2号(2003年6月)
富窪 高志(国立国会図書館アジア情報課長)

 

懇談会の目的・経緯

平成15年2月28日(金)、標記懇談会を当館関西館で行った。今回は、平成13年11月に東京本館で開催したのに続き第2回目である。東京本館で開催した第1回には首都圏の12機関、15名の関係者の参加を得た。その内容については『アジア資料通報』第39巻6号で報告したところであるが、開催の目的は、「国全体としてのアジア情報資源の充実、アジア情報の流通促進を図るためには、国内関係機関の連携と協力が必要不可欠である」という認識のもと、「第一段階として、人的関係を構築し問題意識を共有できる場を設けたい」というものであった。

今回も同様の認識、目的のもと開催したものであるが、第1回で出された「具体的な協力事業への発展」の足がかりにしたいということもあった。

今回の参加機関と参加者は以下のとおりである。

(敬称略)

アジア図書館(事務局長 坂口勝春)

大阪外国語大学附属図書館(専門員 岸本晴広)

大阪府立中央図書館(閲覧第二課長 福井多恵子)

京都大学人文科学研究所(図書掛長 小菅敏明)

京都大学東南アジア研究センター (助手 図書室主任 北村由美)

慶応義塾大学メディアセンター本部 (木藤るい 情報管理課課長代理)

国際交流基金アジアセンター・ライブラリー (国内事業課専門員 司書 郡山真美)

東京都立中央図書館 (サービス部資料管理課海外資料係主任 安藤義教)

東京外国語大学附属図書館(専門員 内島秀樹)

日本貿易振興会アジア経済研究所図書館 (館長 橋本真治)

当館からは関西館資料部長村上正志、主題情報部主任司書相島宏と筆者が参加した。

先ず、当館村上関西館資料部長から、当館における公共図書館を対象にした全国総合目録事業に見られるように「協力」(cooperation)から「共同」(collaboration)が必要とされる時期であり、本懇談会が「共同」へ踏み出すための契機になることを期待する旨の挨拶があり、その後参加者が所属機関の紹介とともに自己紹介を行った。続いて筆者が、平成14年10月にサービスを開始した関西館アジア情報室のサービス概要について紹介を行ったのち、「アジア関係機関の協力関係の構築について」と題する報告を行った。概要は次のとおりである。

相互協力の前提

図書館が多様化・増大する利用者の情報ニーズに最大限に応えようとするならば、単独の資源(情報、人員)では限界があり、相互の協力が必要となる。個々の機関が所蔵する情報資源は国全体の情報資源の一部を構成するものであるという共通の認識に立つことが協力の前提である。

これまでの協力活動

アジア関係については、新しくは国立情報学研究所を中心とする中国語、韓国語・朝鮮語の共同目録作成を始め、各種の総合目録の編纂が行われてきた。また、個人的なネットワークや相互訪問等によって情報や意見交換を行ってきた。これら一つ一つの取組み、特に総合目録の編纂は自館にない資料提供という面で利用者サービスに大きく貢献するものであった。しかし、こうした活動や取組みは必ずしも組織的な連携・ネットワーク化への動きに発展することはなかったのではないか。

今後の協力活動

組織的な連携・ネットワーク化が未整備な現段階にお いては、関係機関全体で一つのプロジェクトを企画・実施する制度的・組織的な条件が整っていないと思われる。まず、個々の機関が企画・実施する事業のうち、相互協力の中で進めることが適当な事業について関係機関の協力を得る。具体的には、事業を企画・実施する機関が事務局となり、協力担当者を複数の機関に依頼し、事務局が作成する事業企画案について、各機関の協力担当者と意見交換を行い実施案を作成、実施に移していくやり方である。

懇談会について

今後、懇談会は年1回開催することとし、平成15年度については国立国会図書館が開催時期、場所等について各機関と連絡・調整し決定する。また、懇談会は当面ゆるやかな組織体とし、各機関の事業紹介と必要によって協力の要請を行う場、協力を仰いだ事業の進捗状況を報告する場および意見交換をする場としたい。

国立国会図書館が行う事業と協力関係

以上の報告を踏まえて、①平成14年度に初めて行ったアジア情報研修の企画と講師派遣に対する協力、②平成15年3月に刊行した本誌の原稿執筆への協力、そして今後予定する事業として③「アジア関係機関ダイレクトリー(仮称)」の作成に対する協力をお願いした。
アジア関係機関ダイレクトリーは、国内の関係機関を広く収録し、今後の協力活動を進めるための基礎的ツールとして、また、利用者に対し的確な類縁機関情報を提供することで利用者サービスの向上にもつながるものであり、平成15年度に関西館資料部アジア情報課として取り組んでいきたいと考えている。

意見交換

懇談会そのものについての考えかたには特に異論はなかったが、協力事業については例えば、一定レベルの資料はどこでも所蔵しているがそれを超えるレベルになるとどこにもないという国内のアジア資料の現状を考慮し、分担収集を視野に入れた方向を目指すべきであり、ダイレクトリーの作成もそれに踏まえて作成すべきではないか等の意見が出された。意見交換を経て、ダイレクトリーについてはアジア情報課で原案を提示することとなった。

最後に、次の3機関から簡単な報告があった。

慶応義塾大学からは、平成15年度内に公開を予定する、主に1970年以降の収蔵資料約10万件(中国語資料が90%を占める)の書誌データベースである「中国語・韓国語・アラビア語データベース」、および近く刊行予定のアラビア語図書約3,000冊のほか和漢書と洋書約11,000冊を収録する『井筒俊彦文庫目録』について紹介があった。

東京外国語大学からは“21世紀COEプログラム”として認定された「史資料ハブ地域文化研究拠点」の事業目的と今後の活動計画について、日本貿易振興会アジア経済研究所からは外部専門家に依頼して行った研究、図書館両部門を対象にした業績評価について報告があった。

年度末の慌しい時期に参加いただいたことに感謝するとともに、この懇談会を継続しながら具体的な事業の手がかりとして、先ずはアジア関係機関ダイレクトリーの作成に着手していきたい。

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