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漢詩の出典、口語訳、書き下し文を調べるには?(レファレンス事例紹介) : アジア情報室通報第1巻第3号

アジア情報室通報 第1巻第3号(2003年9月)

漢詩の書き下し文と口語訳はないか、掛け軸に書かれている詩の出典が知りたい、詩の全文が知りたい、ある小説の主人公の台詞に引用されている詩の作者について知りたいなど、漢詩に関する問い合わせは頻繁に寄せられます。( <  > 内は、当館の請求記号です。)

作者、或いは作成された年代が判明している場合には、作者個人の作品集(別集)と時代別の作品集((総集)とその索引が基本的なツールとなります。調査を始める前に、『大漢和辞典』(大修館書店、1984) < KF4-61 > や、『中国学芸大事典』(大修館書店、1978) < GE8-55 > などで、作者の経歴、著作等について基本的な情報を入手しておくのもよいでしょう。総集としては、『先秦漢魏南北朝詩』(中華書局、1983) < KK82-7 > 、『全唐詩』(中華書局、1985) < KK113-C3 > 、『全五代詩』(巴蜀书社、1992) < KK113-C36 > 、『全宋詩』(北京大学出版社、1991-1998) < KK143-C10 > 、全金詩 < KK182-C5 > (南開大学出版社、1995年)、『全明詩』(上海古籍出版社) < KK213-C4 > などが代表的なものです。元代や清代についてはまだ網羅的な総集は刊行されていませんが、『元詩選』(上海古籍出版社、1993) < KK182-C6 > 、『清詩紀事』(江蘇古籍出版社、1987) < KK253-C8 > 等があります。

個人の作品集は、漢籍目録の著者別索引を利用するか、集部-別集類を通覧してもよいでしょう。『中國歴代詩文別集聯合書目』(聯合報文化基金會國學文獻館,1981-1984) < KC61-C36 > は台湾の11機関が所蔵する別集の総合目録で、個人の作品集を調べる時に役立ちます。

さてこれらに収録された詩に到達するための索引ですが、詩中の漢字一字からでも検索できる索引が便利です。全唐詩については、『全唐詩索引 白居易巻』(現代出版社、1994) < KK113-
C44 > のように作者別索引があります。そのほかの時代についても、『全漢詩索引』(櫂歌書房、1984)『全梁詩索引』(白帝社、2000) < KK85-G4 > などの索引に加え、『宋之問索引』(東京大学東洋文化研究所附属東洋学文献センター、1985) < KK138-26 > 、『江淹詩索引』(白帝社、2001) < KK98-G11 > など作者別索引があります。しかし、作者、詩題、年代が全く判明していないこともあります。さらに、掛け軸や書道のお手本などの場合、詩の一部分であったり、複数の詩をつなげたものである可能性も考えられます。このような場合、詩中の語句を手がかりに各種ツールを調べることになります。まずは、『中国名詩鑑賞辞典』(角川書店、1978) < KK372-14 > 、『漢詩名句辞典』(大修館書店、1980) < KK62-9 > などの索引を利用します。また、『漢詩大観』(井田書店、1943年) < 921-Sa526k > は唐代を中心に古代から宋代の詩集を集めたもので、索引は一詩句の頭字の筆画順です。勿論、『大漢和辞典』も参照します。ある程度有名な詩であれば収録されている可能性がありますが、この方法で見つかるケースはほとんどありません。ここで頼りになるのが、「学者此編(駢字類編)と佩文韻府とを以て故文を検すれば、一挙手にして其徴拠を尋知すべし」(『漢籍解題』桂五十郎著、1905)と形容される、いずれも清の康熙帝の時代に編纂された『佩文韻府』(上海書店、1983) < KK62-C71 > 、『駢字類編』(北京市中国書店、1984) < UR11-C23 > です。『佩文韻府』は二字から四字の詩句の最後の字(つまり、韻)で分類したもので、『駢字類編』は天地、時令、山水などの13門に分け、二字の詩句の頭字で分類したものです。索引は四角号碼と筆画順があります。“一挙手”にして探し当てられれば話は簡単ではありますが、この2書によっても見つからない時があります。その場合は、上述した総集や別集の索引を1冊1冊あたっていくしかありません。時には、問い合わせのものが「詩」ではなく、「詞」(楽曲に合わせて歌う歌曲)や散文の一部であることも考えられます。『全宋词(中華書局、1956) < XP-B-3108~3112 > や『全唐文』(上海古籍出版社、1990) < XP-C-265~269 > などにも調査対象を広げます。

詩の書き下し文や口語訳が求められている場合は、さらに調査が続きます。李白、杜甫のような有名な詩人であれば、作品集が日本でも数多く出版されています。『漢詩大系』(集英社、1964-1967) < 921-Ka479 > 、『国訳漢文大成』(日本図書センター、2000) < US1-G5 > などを先ず手にとります。そのほか、日外アソシエーツ社の『作家名から引ける世界文学全集案内』(1992) < KE111-E21 > や『翻訳図書目録1997/2000』(2001) < UP63-G1 > などにより日本での翻訳出版の状況を調べることになります。

最後に北京大学の全唐詩電子検索系統(http://chinese.pku.edu.cn/tang/外部サイトへのリンク) [last access 2003.8.14]を紹介します。唐詩のほか、古詩から南北朝時代までの詩の全文検索ができる便利なサイトです。無料ですがまずユーザー登録をする必要があります。(ただし、2003年8月14日時点では、登録しなくても利用できました。)北京大学のホームページを確認すると、さらに全宋詩のデータベースも現在、構築中のようです。

アジア情報室のホームページの「情報の調べ方(FAQ)」では、「漢詩の口語訳、書き下し文」「漢詩の出典」の2つを載せています。ここで取り上げなかった資料も紹介していますので、ご参照ください。
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