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アジアの言語の辞書を引く(レファレンスツール紹介27): アジア情報室通報 第10巻第3号

アジア情報室通報 第10巻3号(2012年9月)
林瞬介

 
「○○という言葉は××語でなんというのか」
「○○という言葉が何語なのか知りたい」
「○○という言葉の意味が知りたい」
「××語の○○という単語のつづりを知りたい」

アジア情報室ではこのような言葉に関するご質問を受けることがあります。言葉について調べるには、もちろん辞書を引くことになりますが、目についた辞書を片端から手に取るだけでは、うまく単語を引けるとは限りません。直接辞書に当たる前に回り道をすることが効果的な調べ方になる場合もあります。

ここではアジア地域で使われている言語の辞書を引くために役立つツールをご紹介します。【 】内は当館請求記号、ウェブサイトの最終アクセス日は2012年8月17日です。

1 探している言葉がなんという言語であるか調べる

そもそも探している言葉がなんという言語であるかわからないときは、辞書を引くこともできません。まずは、「○○国で使われている」「○○民族が話している」というような情報から、どの言語の辞書を引けばよいのかを調べるためのツールをご紹介します。

外務省 各国・地域情勢(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)

日本の外務省が提供している世界の各国・地域の基礎データ集です。国名から、各国・地域で使われている公用語その他の言語を調べることができます。

『世界民族事典』(弘文堂, 2000)【G2-G19】

「民族篇」と「地域・国家篇」からなる事典です。「民族篇」で世界の民族、言語集団等の用語が五十音順の排列で解説されており、民族名からその民族が使用する言語について調べることができます。

Ethnologue (http://www.ethnologue.com/)

キリスト教系の非営利団体SIL Internationalが提供する世界で現存する約6,900言語の目録です。英語の国名や言語名から検索でき、話者人口、分布等の情報が収録されています。

2 どんな辞書があるかを調べる

ひとくちに辞書と言っても、いろいろな種類があります。初学者向けやネイティブスピーカー向け、アルファベット順の排列や事項別の排列などさまざまで、適切な辞書を選ばないとうまく言葉を引くことができないこともあります。次に、どの言語について調べるかはわかっているときに、どの辞書を引いたらよいのかを調べるためのツールをご紹介します。

『言語学大辞典』(三省堂, 1988-2001)【KE2-E2】

第1巻から第4巻までの「世界言語編」および第5巻の「補遺・言語名索引編」は、世界の諸言語の名称を見出しとし、カタカナに翻字して五十音順に排列しています。各言語の項目の末尾に執筆者により精選された代表的な辞書の書誌事項を掲載しており、簡潔な解説が付されています。

『世界の辞書』(研究社, 1992)【KE94-E5】

言語学の研究者が専門とする言語の辞書について論じた文章を収録しており、インドネシア語、タイ語などアジア地域の14言語を含んでいます。一般の読者向けに書かれており、代表的な辞書の特徴についてわかりやすく解説されています。

『世界のことば・辞書の辞典. アジア編』(三省堂, 2008)【KE94-J2】

アジア地域の30言語について、古典から2007年出版の辞書、事典まで掲載する資料です。各言語の項は、「語史上にかがやく古典的辞書」「現代のすぐれた一般辞書」「特殊辞書」「百科事典」「学習辞書」など共通の章立てになっており、章ごとに代表的な辞書を紹介して解説しています。

TUFS-ビブリオ 東京外国語大学学生のための基本文献ガイド (http://www.tufs.ac.jp/library/guide/biblio/tufsbiblio.html)

東京外国語大学附属図書館が提供する学生のための文献ガイドです。教員が作成した各地域言語の辞書案内が掲載されており、初学者向けの辞書とその特徴について知ることができます。

3 辞書を引くために言語の特徴について調べる

辞書を引くためには、その言語の文法上の特徴をある程度理解していなければなりません。そのために、言語の特徴を理解するのに便利なツールをご紹介します。

『言語学大辞典. 世界言語編 ; 補遺・言語名索引編』(三省堂, 1988-1993)【KE2-E2】

各言語の項目に系統、分類、分布、話者人口などの概説のほか、音韻、形態、統語、語彙などの言語学的な記述も掲載されています。

『世界の言語ガイドブック. 2. アジア・アフリカ地域』(三省堂, 1998)【KE2-E2】

アジア・アフリカ地域の23言語について解説した資料です。各言語の項は「概説」「音と文字」「文法の特徴」「語彙の特徴」「参考文献」の共通の章立てになっており、日本語や英語との比較対象を通じて理解しやすいよう工夫して執筆されています。

『事典世界のことば141』(大修館書店, 2009)【KE2-J2】

コンパクトな世界の言語の事典です。世界の141の言語を「北アジア・東アジア」など7つの地域に分けて各地域の中を五十音順に排列し、簡潔に解説しています。各言語の項目には「お奨めの本」という囲み記事が添えられ、執筆者が奨める学習参考書や信頼できるウェブサイトが紹介されています。

4 辞書を引くために文字について調べる

調べている言語がローマ字(ラテン文字)以外の見慣れない文字であったときは、辞書を引くために文字を解読したり、文字の排列順を調べたりしなければならないこともあります。アジア地域で使われている言語の表記に用いられる文字について調べるためのツールをご紹介します。

『言語学大辞典. 別巻 (世界文字辞典)』(三省堂, 2001)【KE2-E2】

世界の文字約300の名称を見出しとし、カタカナに翻字して五十音順に排列しています。各文字の項目には、系統、分布、使用者人口、文字構成等が掲載されています。

『世界の文字の図典』(吉川弘文館, 1993)【KE72-E8】

古代文字から現代の文字に至る世界の諸文字を、アラビア文字、アルファベット、インド系文字、漢字など体系別に分類し、文字ごとに簡潔に解説しています。図版を数多く掲載しており、その中には音価やローマ字翻字形が付された文字表も含まれます。普及版(吉川弘文館, 2009)【KE72-J6】も出版されています。

ALA-LC Romanization Tables (http://www.loc.gov/catdir/cpso/roman.html)

ローマ字以外の文字をローマ字翻字するために、米国議会図書館(LC)と米国図書館協会(ALA)が共同で定めた図書館目録における規則です。ローマ字以外の文字とそのローマ字翻字形を一覧することができます。ただし、一般書や学術文献で用いられるローマ字翻字形とは異なる場合もあります。

5 国立国会図書館が所蔵する辞書をさがす

アジア情報室では、アジアの各地域で使用されているさまざまな言語の辞書を収集し、開架しています。また、主要な辞書は東京本館の人文総合情報室に開架されており、書庫にも多数の辞書が所蔵されています。最後に、当館の蔵書検索・申込システムNDL-OPACを使って辞書の所蔵を調べる方法をご紹介します。

(1) 分類記号を使う

当館では、「国立国会図書館分類表(NDLC)」を所蔵資料の分類に使用しています。NDLCでは、辞書とそれ以外の語学書に別々の分類記号を割り当てています。

例えば、ペルシア語の場合、

ペルシア語辞典類 KN72
ペルシア語 KN73

の分類記号となっており、NDL-OPACの詳細検索画面で「分類」に「KN72」を入力すると、当館が所蔵するペルシア語の辞書を検索することができます。

(2) 件名標目を使う

当館では、日本国内で刊行された辞書の多くと、国外で刊行された辞書の一部に、「件名標目」と呼ばれる検索するためのキーワードを付与しています。辞書に付与される件名は、言語の名称の件名標目と「辞書」という件名細目(キーワード)からなっています。

例えば、ペルシア語の辞書の場合、

ペルシャ語 -- 辞書

の件名標目と件名細目が付与されており、NDL-OPACの詳細検索画面で「件名」に「ペルシャ語 辞書」を入力すると、当館が所蔵する国内刊行のペルシア語の辞書を検索することができます。

当館所蔵資料の件名に使われる言語名は、当館が提供する標目の検索サービスWeb NDL Authoritiesでご確認ください。

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