トップアジア諸国の情報をさがす刊行物>中国の国家予算・決算を調べる(レファレンスツール紹介31):アジア情報室通報 第11巻第3号

中国の国家予算・決算を調べる(レファレンスツール紹介31):アジア情報室通報 第11巻第3号

アジア情報室通報 第11巻3号(2013年9月)
濱川今日子(国立国会図書館関西館アジア情報課)

本稿では、中国の国家予算・決算に関する主要な情報源をご紹介します。【 】は当館請求記号です。資料の言語は、特に記述がない限り中国語です。インターネットの最終アクセス日は、2013年7月30日です。

1. 制度

中国の国家予算・決算に関する基本法令は、「中華人民共和国予算法(中华人民共和国预算法)」(1994年3月22日主席令第21号)及び「中華人民共和国予算法実施条例(中华人民共和国预算法实施条例)」(1995年11月22日国務院令第186号)です。

中国の会計年度は、1月から同年12月までの1年間です。財政部が予算案を作成し、毎年3月に全国人民代表大会(以下、全人代)で採択されます。年度の開始から3月の予算確定までは、前年同期の予算支出金額に従って支出することが認められます。決算案は、年度終了後に財政部が作成し、6月に全人代常務委員会で採択されます。

『現行中華人民共和国六法』(ぎょうせい, 1988.7-)【CC9-3-8】

中国の主要な現行法を収録する日本語の加除式資料です。「予算法」及び「予算法実施条例」は第1編に収録されています。

法律法规全文检索系统(http://search.chinalaw.gov.cn/search2.html

国務院法制弁公室が運営する法令データベースです。タイトル、公布日などから法令を検索できます。

『政府预算理论与实务』(中国财政经济出版社, 2010)【AC9-481-C47】

予算の編成から議決、執行、決算までの制度と実務について解説しています。予算の監査や業績評価についても論じられています。

『政府预算管理』(立信会计出版社, 2011)【AC9-481-C38】

予算制度の概説書です。特に部門予算や予算収支分類について参考になります。国有財産の管理制度、政府調達などに関する章もあります。

2. 予算・決算の最新値

中国の国家予算は、中央政府の予算である中央予算と地方政府の予算である地方予算に分けられます。予算科目は、大きい方から「類」「款」「項」に区分され、さらに一部の「項」の下に「科」が置かれています。

中国において、財政情報の公開は限定的です。予算科目のうち、おおむね「類」は公開されるものの、「款」以下は部分的にしか明らかにされません。

(1) 国家予算・決算

『中华人民共和国全国人民代表大会常务委员会公报』(中华人民共和国全国人民代表大会常务委员会办公厅, 隔月刊)【BC9-3-1】

全人代の公報です。ウェブサイトでも閲覧できます。( http://search.npc.gov.cn:7000/was40/search?channelid=13334&templet=outline_cms_cwhgb.jsp

<予算> 毎年4月に発行される号に、その年度の関連文書3件、すなわち①財政部の予算報告、②全人代財政経済委員会による予算報告の審査結果報告、③全人代における予算報告の採択決議が収録されます。

予算報告の正式なタイトルは、2013年度予算であれば「2012年中央和地方预算执行情况与2013年中央和地方预算草案的报告」です。前年度予算の執行状況とその年度の予算草案の2つの部分で構成され、後半部分に公共予算(一般予算に相当)、各種基金及び国有資本について、予算収支総額や各科目の数値を挙げ、その内容を説明しています。報告の末尾には、予算の明細表が添付されます。

<決算> 毎年7月に発行される号に、決算関連文書4件、すなわち①財政部による決算報告、②全人代財政経済委員会による決算報告の審査結果報告、③審計署による会計検査報告、④全人代常務委員会における決算報告採択決議が収録されます。明細表はありません。決算報告の主な内容は、中央決算の数値、予算の達成率及び前年度比のほか、予算執行の成果、予算制度に関する今後の課題などです。

『中国情勢』(中国通信社, 月刊)【Z71-F632】

日本語資料です。毎年4月号で「全人代特集」が組まれ、予算報告の全文日本語訳が掲載されます。付表及び付図は割愛されています。

『中国年鑑』(中国研究所, 年刊)【Z41-119】

政治、経済、社会などさまざまな分野における中国の1年間の動きをまとめた日本語資料です。財政制度の解説のほか、国家、中央及び地方の科目別収支などの統計を収録しています。

『中国财政年鉴』(中国财政杂志社, 年刊)【Z41-AC279】

統計資料部分のみ英語併記です。国家、中央、地方それぞれの予算・決算収支表には、予算科目の「類」だけでなく、一部の「款」までが掲載されています。このほか、歴年収支統計、財政関連法規、財政部の予算・決算報告、全人代の決議などを収録しています。

『中国统计年鉴』(中国统计出版社, 年刊)【Z41-AC65】

英語併記です。国家、中央及び地方の歴年収支、最新年の科目別収支や各省市の科目別収支の一覧表などを収録しています。1996年版以降は国家統計局のウェブサイトからも閲覧可能です。

http://www.stats.gov.cn/tjsj/ndsj/ (中国語版)

http://www.stats.gov.cn/english/statisticaldata/yearlydata/ (英語版)

(2) 部門別予算・決算

中国では2000年から「部門予算」、すなわち日本の省庁に該当する部・委員会やその他の国家機関の機関単位での予算が作成されるようになりました。

中华人民共和国中央人民政府门户网站(http://www.gov.cn/

中国政府のポータルサイトで、2010年度以降の各部門の予算・決算書類を収録しています。トップページの検索窓に「2013年预算」「2012年决算」「部门预算」などと入力すると容易に検索できます。

「中华人民共和国中央人民政府门户网站」には収録されていなくても、それぞれの部門のウェブサイトで当該機関の予算・決算に関する情報を公開している場合があります。各部門のウェブサイトは、当館が提供するアジア関係のリンク集、AsiaLinksにまとめられていますので、こちらもご参照ください。

http://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/link-chn01.php#02

(3) 省別、都市別予算・決算

『中国财政年鉴』(前掲)には、各省市の最新年の予算・決算収支表が収録されています。

また、各省ごとに発行される統計年鑑には、全て財政に関する章が設けられており、省単位の予算収支表はもちろん、省内の行政単位別収支などを収録するものも少なくありません。

当館が運営するリサーチ・ナビの「統計の調べ方(中国-総合統計)」の「地域統計」のページでは、各省市の統計年鑑や統計局のウェブサイトを紹介しています。

http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-asia-113.php#local

『中国城市统计年鉴』(中国统计出版社, 年刊)【Z41-AC64】

都市部の社会経済状況に関する英語併記の統計書です。地級市(省・直轄市より一つ下の行政単位)及び県級市(地級より一つ下の行政単位)について、予算総額に加え、科学技術及び教育関連の支出に関するデータを収録しています。

『中国民族统计年鉴』(中国统计出版社, 年刊)【Z41-AC183】

少数民族及び民族自治区の社会経済状況に関する統計書です。内蒙古自治区、新疆ウイグル自治区など5の民族自治区とその他の省に属する民族自治地域について、歴年収支統計や最新年の科目別収支などを省単位で収録しています。

3. 長期統計

『新中国五十年統計資料彙編』(日本統計協会, 2003)【YU7-H994】

『新中国五十年统计资料汇编』(中国统计出版社, 1999)【DT191-C9-C9】の日本語訳です。おおむね1950年から1998年までの国家予算収支総額及び前年比増加率、科目別予算、省市別の予算収支などを収録しています。

『東アジア長期経済統計. 12, 中国』(勁草書房, 2002)【DT331-G6】

日本語資料です。おおむね1950年から1998年までのデータを収録しています。中央、地方の収支総額のほか、農業、教育、科学研究、社会保障、価格補填関連の支出について、それぞれの内訳金額を示した統計を収録しています。

『中国長期経済統計』(ジェトロ, 2002)【YU7-2181】

日本語資料です。おおむね1950年から2000年までのデータを収録しています。解説編と統計編の2部からなり、国家及び各省の収支総額、1993年から1999年までの国家、中央、地方それぞれの科目別予算・決算などが収録されています。

『中国経済統計 : 改革・開放以降』(ジェトロ, 2005)【YU7-H3015】

日本語資料です。前掲の『中国長期経済統計』の続編です。1978年ごろから2003年ごろまでのデータを収録しています。

『新中国六十年统计资料汇编』(中国统计出版社, 2010)【DT191-C9-C17】

前掲の『新中国五十年统计资料汇编』の続編で、英語併記資料です。おおむね1950年から2008年までのデータを収録しています。

4. その他

『中国财政发展报告』(北京大學出版社, 年刊)【DG21-C20】

その年の財政収支を分析するほか、毎年特集テーマを設定し、中国財政の最新事情や制度変遷などについて解説しています。近年の予算・決算に関する特集テーマとしては、2012年版の「収入・支出の公平性」、2010年版の「国家予算の管理と法制化の進展」などがあります。

『中国财政透明度报告』(上海财经大学出版社, 年刊)【DG21-C43】

各省の一般予算などの透明度に加え、2012年版からは、部門予算の透明度に関する章が設けられました。各省、各部門の予算収支額の公開状況や予算の要点説明の有無などについて格付けし、解説を付しています。

中国の財政制度は改革の途上にあり、情報公開の範囲も、機関による差はありますが、年を追うごとに拡大しています。

中国の予算・決算、特に制度面の最新状況について調べる際は、参照する資料が最新の情報を反映しているか否かに注意を払う必要があります。

(はまかわ きょうこ)

  • 国立国会図書館
  • NDL-OPAC 国立国会図書館蔵書検索・申込システム
  • 国立国会図書館サーチ
  • 国立国会図書館デジタルコレクション
  • ひなぎく
  • レファレンス協同データベース
  • 本の万華鏡