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中国、コリアの地名のローマ字表記について調べる(レファレンスツール紹介32):アジア情報室通報 第11巻第4号

アジア情報室通報 第11巻4号(2013年12月)
福山潤三(国立国会図書館関西館アジア情報課)

中国・台湾、韓国、北朝鮮の地名について、中国語・ハングル表記と、各種のローマ字表記を対照できる資料をご紹介します。関西館の資料には、○(アジア情報室開架資料)、△(書庫資料)を、東京本館の資料には、●(人文総合情報室開架資料)、▲(書庫資料)を付しています。【】内は当館請求記号です。

1. ローマ字表記法の概要

各地域でよく使われるローマ字表記法はあるものの、実際は書かれた時代や書き手に応じて、多様な表記がなされます。求める情報が見つからない場合は、別の表記法である可能性も考慮してお調べください。以下の情報源もご参照ください。

(1) 「アジア言語の翻字(ローマ字化)について」

http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-asia-02.php

(2)「中国・コリアの人名のローマ字表記について」

http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-asia-32.php

当館が提供しているウェブサイト「リサーチ・ナビ」で公開している情報源です。(1)はアジア言語のローマ字表記一般について、(2)は人名のローマ字表記について、情報源を紹介しています。

(3) UNITED NATIONS GROUP OF EXPERTS ON GEOGRAPHICAL NAMES (UNGEGN) Working Group on Romanization Systems

http://www.eki.ee/wgrs/

地理学的名称に関する国連専門家グループ(UNGEGN) ラテン文字化方式に関する作業部会のウェブサイトです。直接地名を対照することはできませんが、各国言語による地名表記のローマ字表記法について、これまでの経緯や、最近の動向が整理されています。

2. アジア全般

○●(4) 『アジア歴史事典』(平凡社)【220.033-A983-H(1959-1962, アジア情報室開架)、GE8-81(1985新装復刊, 人文総合情報室開架)】

日本語資料です。地名に特化した事典ではありませんが、アジア各地域の主要な地名が立項されています。中国の地名はウェード式表記、朝鮮の地名は独自方式で翻字したローマ字表記を併記しています。

第10巻にローマ字索引を付しています。

○●(5) 『世界地名辞典.東洋編』(東京堂出版、1980)【G64-6】

日本語資料です。出版当時の現代地名と、主要な歴史地名を収録しています。中国の地名は、ピンイン、ウェード式の併記ですが、朝鮮の地名は基本的に(4)と同様の独自方式で翻字しています。

3. 中国・台湾

 中国大陸では、19世紀後半から20世紀前半にかけて、ウェード式のローマ字表記が広く使われました。現在はピンイン表記が主流です。

 台湾でもウェード式表記が使われていましたが、1990年代から表記法を巡る論争が活発になりました[1]。中国大陸で用いられているピンイン表記(漢語ピンイン)のほか、通用ピンインと呼ばれる独自の表記が用いられることもあります。

<漢字 ⇔ ローマ字>

○●(6)『中国歴史地名辞典』(科学書院、1995)【GE11-E7】

日本語資料です。『精選中国地名辞典』(凌雲出版、1983)【GE11-23】などをもとに、約35,000の地名を収録しています。第1巻から第3巻まではウェード式表記のアルファベット順排列で、漢字表記と、ピンイン、レッシング式、仏式の各表記を併記しています。

第4巻はピンイン、レッシング式、仏式の各表記の索引です。

第5巻は欧文表記総合索引で、表記法を問わず、あるローマ字表記に対応する地名の掲載頁を検索できます。そのため、表記法が判然としない場合にも使えます。

○●(7)『中国地名辞典 : 英中・日中対照』(原書房、1985)【GE11-25】

日本語資料です。『支那地名集成』改訂増補版(日本外事協会、1940)の改題復刻版で、中国全土の省・府・県・一部の鎮について、約15,000の地名を収録しています。

第1編「英中対照」は、ウェード式表記のアルファベット順排列で、ウェード式表記と漢字表記を併記しています。

第2編「日中対照」は、漢字の日本語音読み順排列で、漢字表記と第1編の掲載頁を併記しているため、日本語音読みからウェード式表記を調べることができます。

巻末に「トーマス・ウェード式ローマ字・漢語拼音(ピンイン)字母対照表」など、7種類の付録を収録しています。

○▲(8) 『中国歴史地名大辞典』(凌雲書房、1980)【GE11-17】

日本語資料です。中国大陸と台湾について、1930年以前の地名を収録しています。排列は『康煕字典』の部首順で、漢字とピンインを併記しています。

第6巻に、ピンイン順の総索引を収録しています。

○(9)『中国地名录 :中华人民共和国地图集地名索引』(中国地图出版社、1983)【GE11-C6】

『中华人民共和国地图集』(地图出版社、1979)【XP-D-444】の索引で、約32,000の地名を収録しています。排列はピンイン順で、漢字、ピンイン、各地点の緯度・経度と『中华人民共和国地图集』の掲載個所を記載しています。

巻末に少数民族言語の発音に対応したローマ字表記を整理した「部分少数民族语地名译名对照」など、3種類の付録を収録しています。

<漢字 → ローマ字>

○●(10)『現代中国地名辞典』(学習研究社、1981)【GE11-21】

日本語資料です。漢字の日本語音読みから検索できます。1980年時点の県級以上の行政地名のほか、自然地名、交通・水利関係の地名、名勝・旧跡名などを収録しています。排列は漢字の日本語音読みの五十音順で、ピンイン表記を併記しています(少数民族地名は、(9)の付録と同じ表記)。

付録として、ピンイン・ウェード式の対照表を付しており、日本語の音読みから、ピンイン表記、ウェード式表記を検索できます。

△(11) 『中國大陸地理名辭索引』(臺灣商務印書館、1989)【GE11-C11】

中国大陸の県以上の地名を中心に、1949年時点と、1984年時点の地名を対照した資料です。直轄市、省、自治区別に、約2,500の地名を収録しており、1949年時点の地名には当時の英文表記を、1984年時点の地名にはピンイン表記を付しています。

○(12)『臺灣地名辭典:附臺灣的地名』(南天書局、1993)【GE11-C18】

1960年に出版された同名の資料の再版です。行政区地名、地形地名を中心に、台湾の地名約6,400項目を収録し、一部の地名には、緯度・経度や解説を付しています。排列は筆画・部首順で、漢字表記の後に、かっこ書きでウェード式表記を補っています。

4. 韓国

現在は、文化観光部(現・文化体育観光部)が2000年7月に制定した「大韓民国文化観光部告示第2000-8号」に基づく表記が主流です。過去にはマッキューン・ライシャワー式(M-R式) 、イェール式などの表記も用いられました。

<ハングル ⇔ ローマ字>

○●(13)『한국어로마자표기사전(韓国語ローマ字表記辞典)』(한국교열기자협회、2000)【GE11-K9】

行政区域名、自然地名、交通関連地名、名所の順に、約8,000項目の地名を収録しています。ハングル表記、文化観光部告示第2000-8号に基づくローマ字表記とともに、1984年の告示に基づくローマ字表記を併記し、新旧のローマ字表記を一度に検索できます。

巻末にローマ字索引を収録しています。

○▲(14) 『これアドレス : 住所コードでさがす韓国地名データブック. 2008』([かじりたてのハングル]、2008)【GE11-J1~J4】

日本語資料です。地域別の4分冊で、韓国の道・市・郡・区・邑・面・洞・里について、2008年8月時点の地名を収録しています。ハングル表記に漢字、日本漢字、ハングルのカタカナ読み、文化観光部告示第2000-8号に基づくローマ字表記を併記し、複数の表記を一度に検索できます。

第1巻巻末に漢字索引、第3巻巻末にハングルのカタカナ読み索引※、第4巻巻末にハングル索引、ローマ字索引を収録しています。

※ 漢字の日本語音読みからは検索できません。例えば「仁川広域市」の場合、「インチョン グワンヨクシ」。

<ハングル → ローマ字>

△(15)『韓國地名要覽』(建設部 國立地理院、1982)【GE11-K13】

面・洞以上の行政地名約4,000と、自然地名約2,000について、漢字表記、文教部の地名基準によるローマ字表記、解説を加えた資料です。排列は政府刊行物で使用される慣例順で、特別市、直轄市、道の順となっています。

巻末にハングル字母順の索引を収録しています。

○(16)『서울시영문표기사전(ソウル市英文表記辞典)』(서울특별시 마케팅담당관、2008)【GE11-K17】

ソウル市の地名、駅名、建物・店名などについて、ハングル表記と文化観光部告示第2000-8号に基づくローマ字表記を併記した資料です。排列はハングル字母順で、行政区域名、公共機関名、教育機関名、交通関連、観光・ショッピング・宿泊施設名、文化・体育関連、自然地名、食事、医療福祉、その他(企業など)の10項目に分けて収録しています。

(17) 한국어/로마자변환기(韓国語/ローマ字変換機)

http://roman.cs.pusan.ac.kr/

釜山大学校のホームページで公開されているハングル→ローマ字の変換システムです。文化観光部告示第2000-8号に基づいています。行政区域のほか、人名、固有名詞、一般(簡単な文章や単語)、学術用語といった区分に絞って変換することもできます。

<ローマ字 → ハングル>

○▲(18) 『朝鮮地名研究集成』(草風館、1994)【GE121-E18】

日本語資料です。明治以後の朝鮮半島における地名の研究・調査などを収録しています。

その中の小藤文次郎・金沢庄三郎「羅馬字索引 朝鮮地名字彙」(1903)に、現地調査をもとにした都市、山、川の名称のローマ字表記索引が収録されています。ハングルや漢字の音読みから検索することはできません。

5.北朝鮮

<ローマ字 → ハングル>

○●(19) 『最新朝鮮民主主義人民共和国地名辞典』(雄山閣出版、1994)【GE11-E5】

日本語資料です。北朝鮮の道・市・郡・邑・洞・里・労働者区約5,000項目について、1994年4月時点の地名を収録しています。漢字、ハングル、カタカナ読み、共和国ローマ字表記法(1993年4月現在)に基づくローマ字表記を併記しています。

巻末にアルファベット順の索引を収録していますが、ハングルや漢字の音読みから検索することはできません。

(ふくやま じゅんぞう)

[1]菅野敦志「台湾の「拼音論争」とアイデンティティ問題 : 国際化と主体性の狭間で」『アジア太平洋討究』20号, 2013.2, pp.227-242.

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