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日本語及び英語で調べるアジア情報―平成25年度アジア情報研修 概要報告―:アジア情報室通報 12巻2号

アジア情報室通報 12巻2号(2014年6月)
濱川 今日子(国立国会図書館関西館アジア情報課)

はじめに

平成26年3月20日(木)、国立国会図書館関西館において、平成25年度アジア情報研修を実施した。この研修は、国内の図書館等におけるアジア情報提供サービスの向上に資することを目的として、平成14年度から毎年実施している。

今回は、新たな試みとして、「日本語及び英語で調べるアジア情報」をテーマに、中国、韓国、東南アジア情報の調べ方を紹介した。研修の特徴は2つある。

第一は、対象者の拡大である。主にアジア言語の知識を有する図書館司書を対象とした従来の研修とは異なり、今回は、言語上の制約によりアジアに関する調査に困難を感じている多くの方々を想定した。

第二は、日本語及び英語による調査の可能性と限界を示すことである。これは、日本語、英語、現地語の資料・情報を蓄積しているアジア情報室ならではの内容である。 なお、研修生の内訳は、公共図書館11名、大学図書館13名、専門図書館3名、その他1名の計28名であった[1]。

1 各科目の概要

いずれの科目も、書誌の検索方法、調査に役立つ冊子体資料やウェブサイト、日常的な情報収集の手段などについて解説した後、演習を行った。

以下では、それぞれの国・地域にかかる調査の特徴や注意点を中心として、研修内容の一部を紹介する。

(1)「日本語及び英語で調べる中国情報 - アジア情報一般の調べ方」(アジア情報課 水流添真紀)

「日本語及び英語で調べる中国情報」では、前半部分でアジア情報一般の調べ方について解説した。

アジアに関する情報を得るには、アジアに対象を絞った資料だけでなく、全世界を対象とした資料の中からアジアに関する部分を抽出するのも有効であることや、普段の情報収集に役立つ基本資料、ニュースサイト、学術誌などを紹介した。

(2)「日本語及び英語で調べる中国情報 - 中国情報の調べ方」(同上)

中国については、まず、NDL-OPACや中国の目録データベースから日本語や日本漢字を用いて中国語資料を検索する方法を説明した。また、中国に関する情報は日本語の資料が比較的充実していること、中国の政府機関や研究機関のウェブサイトは英語版を用意していることが多いが、中国語版に比べて情報量が少ない場合があることを紹介した。

(3)「日本語及び英語で調べる韓国情報」(アジア情報課 阿部健太郎)

韓国については、日本語と英語では、翻訳物や統計などの定量的なデータが得られるが、調べられる情報には偏りや限界があることを説明した。また、日本語と韓国語は文法が似通っているため、機械翻訳が比較的有効であり、NDLサーチでも機械翻訳による韓国国立中央図書館の蔵書検索が可能であることを説明した。このほか、資料の性格を踏まえて調査する必要があることも指摘した。

(4)「日本語及び英語で調べる東南アジア情報」(アジア情報課 西願博之)

東南アジア各国については、一般的に信頼できるウェブ情報は少ないため紙資料も参照する必要が多いこと、まず定評ある基本資料や各国政府機関サイトの英語版を参照するのが有効であること等を紹介した。また、国ごとの出版事情、情報発信の傾向等を一覧化し、各国の実情に即した調査方法を解説した。最後に、基本的な事項、専門的な事項それぞれの調査に適した情報検索手法を整理した。

2 演習事例

一例として、「東南アジア情報」の科目における演習事例「ジャカルタの人口密度を確認し、インドネシアの全国平均と比較する」を紹介する。

調査の足掛かりとなるのが、アジア情報室が運営するアジア関連のリンク集AsiaLinksである。インドネシアの「行政機関」または「統計」のページには、いずれも「中央統計庁」の項目があり、同庁の公式ウェブサイト「BPS: Badan Pusat Statistik (BPS-Statistics Indonesia)」にリンクしている。このサイトは英語版を用意していることから、英語による調査が可能である。トップページに掲載されている『Statistical Yearbook. 2013』の内容を確認すると、ジャカルタを含む各都市の人口密度及びインドネシアの全国平均が判明する(下図、研修資料から抜粋)。

上記はあくまで一つの方法に過ぎないが、言語上の制約で調査が困難と予測される場合であっても、日本語あるいは英語の適切なツールを用いることによって、回答を導き出せることを示した。

3 研修に対する反応

終了後のアンケートでは、研修全体については、多くの回答者から肯定的な評価を得た。個別の感想としては、アジア情報へのアプローチの幅が広がった、現地語を用いずに調査する方法を学ぶことができて満足しているなど、「日本語及び英語で調べる」という新たな試みを評価する声が、多く寄せられた。

一方、演習については、時間を長くとる、グループワークをとり入れるといった改善を求める意見もあった。

おわりに

今回の研修では、アジア情報の調査に馴染みの少ない図書館司書、さらには、これらの国・地域に関心を有するより多くの方にも、有益な基本資料、情報を紹介できたのではないかと思う。もちろん、現地語を用いない調査には限界があり、今回十分に紹介できなかった内容もある。研修の範囲では必要な情報が得られない場合には、当館のレファレンス・サービスや派遣研修[2]をご利用いただければ幸いである。

なお、研修各科目の資料は、アジア情報室のウェブサイト[3]に掲載したので、あわせてご参照頂きたい。

(はまかわ きょうこ)


[1]定員の30名を上回る申込みがあったが、当日3名の欠席があった。

[2]国立国会図書館「図書館員の研修」http://www.ndl.go.jp/jp/library/training/index.html

[3]国立国会図書館リサーチ・ナビ「平成25年度アジア情報研修」http://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/asia-workshop25.php

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