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中華圏の図書館のオンラインレファレンス(レファレンスツール紹介37):アジア情報室通報 13巻1号

アジア情報室通報 第13巻1号(2015年3月)
湯野基生(国立国会図書館関西館アジア情報課)

中華圏の図書館では、日本と同様に、電話のほか、メールおよびメールフォーム方式のレファレンスサービスが定着している。また、インスタントメッセンジャーが盛んな中国大陸では、チャット方式を採用する図書館も多い。これらのサービスは、複雑な質問に対応できないものもあるが、活用の仕方しだいでは、正確な情報を迅速に入手することができる。

以下、日本国内の個人からでも質問できる、中国、香港、マカオ、台湾の図書館の代表的なオンラインレファレンスサービスについて、①登録の要否、方法、②レファレンスメニューごとの質問から回答までの手順を中心に紹介する。日本語、英語で質問できることを確認したものやレファレンス事例の検索ができるデータベースがあるものは特記した。全ての内容は、2015年2月25日に最終確認したものである。

表1 中華圏の図書館の主なオンラインレファレンス
図書館名称 方式 登録 外国語 事例DB
 中国国家図書館  フォーム  要  日英他  FAQ有
 チャット  不要  英
 上海図書館  フォーム  不要  日英他  約45,000件
 チャット  不明  ---
 中国科学院文献情報センター  フォーム  要  英  約400件
 チャット  不要  英
 国家科学技術デジタル図書館  フォーム  不要  ---  約200件
 チャット  不要  ---
 香港公共図書館  メール  不要  英  FAQ有
 フォーム
 マカオ中央図書館  フォーム  不要  ---  約200件
 国家図書館 (台湾)  メール  不要  日英他  約2,700件
 フォーム

1.中国

1.1.中国国家図書館

中国国家图书馆网上咨询台
http://www.nlc.gov.cn/dsb_zyyfw/wdtsg/wszxt/

中国の国立図書館である国家図書館によるレファレンスシステム[1]で、メールフォーム(要登録)とチャットがある。登録するには、まずトップ画面から「注册用户登录」を選択する。ログイン画面で「注册」を押下して登録画面に入り、利用規約に同意して、ユーザ名、メールアドレス、氏名、学歴などの必須項目を入力すると登録完了する。直後に送信されるメールに記されたURLからログインして利用できる。

1.1.1.メールフォーム(日・英語他可)

ログイン後「表单咨询」タブを選択して、質問の標題と本文を入力する。最後に「提交」を押下すると質問が送信される。添付ファイルの追加、質問処理状況の確認、下書きの保存なども可能である。回答があるとメールで通知され、回答内容はシステムで確認する。質問に対しては1、2日程度で返信するとしている。

なお、日本語で質問する場合は、「问题语言」を「日文」に設定して、質問文を入力する。日本語対応可能な職員に転送されて、後日別途メールで回答されるとのことである。

1.1.2.チャット(英語可)

トップ画面の「在线咨询」あるいは利用者情報画面のタブ「实时咨询」を選択する。「在线」のアイコンを押下して標題を入力すると、テキストでの会話が始まる(登録不要だが、無登録の場合は氏名、メールアドレスの入力も必要)。

1.2.上海図書館

网上联合知识导航站
http://vrd.library.sh.cn/Default.aspx

中国最大の公共図書館である上海図書館が中心となり運営する協同レファレンスシステム[2]である。メールフォームとチャットがあり[3]、どちらも登録なしでも利用できるが、登録すると、回答の進捗確認や質問内容の保存が可能になる。登録する際には、画面上端の「注册」を押下して、ユーザ名、パスワード、メールアドレス、居住地域を入力する。

1.2.1.メールフォーム(日・英語他可)

画面上部のタブのうち「表单咨询」を選択する。フォームに質問の標題、質問者名、居住地、本文、メールアドレスなどを入力し、最後に「提交」を押下して質問を送信する。質問には1、2日で回答するとしている。回答内容は登録したメールアドレスに送信されるほか、ログインして、利用者情報画面上でも確認できる。

回答者は上海図書館のほか、近隣の公共図書館や上海科学院などの協力機関の専門家、台北市立図書館、シンガポール国立図書館や米国の大学図書館員など約80名(機関)からなる。画面左端の「搜索专家」からの検索や「专家咨询」から得意分野別の一覧が可能で、回答者を指名して質問もできる。地域別のテーマなら「地方文献」から各地の図書館を選択できる。

1.2.2.チャット

「实时咨询」のタブを選択する。「发起对话」を押下すると、対応できる図書館員の情報、専門分野の紹介が表示される。対応できない場合は「系统消息」に「咨询员不在线」の表示が出る[4]。

1.2.3.レファレンス事例集

このシステムには、約45,000件の回答事例があり、画面上部の簡易検索窓から質問全文の検索ができる。また、画面右上部「浏览问题库」から「哲学、宗教」「政治、法律」など主題別に一覧できる。同じく「高级搜索」からは、質問分野、回答者による絞り込みや、質問および回答の全文検索も可能である。

ほかにも、浙江省の省級図書館である浙江図書館[5]のように、協同レファレンスサービスを実施する公共図書館は多い。

1.3.中国科学院文献情報センター

中国科学院文献情报中心网上咨询台
http://dref.csdl.ac.cn/dref/home.htm

中国の科学技術、自然科学の最高研究機関である中国科学院に付属する図書館で、レファレンスサービスの主な対象は中国科学院所属の研究員だが、一般利用者も利用できる。ただし、法律、医学、経済などの質問は受け付けない。

メールフォームとチャットにより質問できるが、前者の場合はメールアドレスとパスワードを入力する簡単な利用者登録が必要である。登録せずに質問すると、質問時に入力したメールアドレスをIDとして自動登録される。

1.3.1.メールフォーム(英語可)

中央の「表单咨询」タブを押下すると、質問標題、メールアドレス、質問本文のみの簡易入力フォームが表示され、「提交」で送信する。「进入详细提问页」または画面右端の「在线咨询」タブから、回答期限(2日~1週間)、回答者、質問内容の公開可否を選択できる詳細入力フォームも利用できる。

また「在线咨询」タブから「更多专家咨询」を押下すると、数学、物理、化学、生物など約20の分野について、北京の本館および地方の分館などの専門知識を持つ図書館員約80名から指名して質問できる。

1.3.2.チャット(英語可)

「实时咨询」タブから、現在対応可能な職員の人数、それぞれの専門分野や質問中、離席中などの状況がリアルタイムで一覧できるようになっている。対応可能であることを示す「点击提问」を押下して回答者を指定し、下段の入力欄に質問文を入力して「发送」で送信、「退出」で終了する。なお、通信方式は「文本咨询(テキスト)」と「语音咨询(ボイス)」から選択できる。

1.4.国家科学技術デジタル図書館

国家科技数字图书馆参考咨询系统
http://www.nstl.gov.cn/anyask/ask.html?key=nstl

中国科学技術部の主導のもと、中国科学院、農業科学院、医学科学院などの図書館により構成される。メールフォームとチャットがあり、どちらも登録不要である。

1.4.1.メールフォーム

「非实时咨询」を選択する。基礎科学、工学技術、農業科学、医薬学の4分野について、専門知識のある約20名の図書館員から指定して質問できる。質問標題、本文、氏名、メールアドレスを入力して「提交」で送信する。2日以内に回答するとしている。

1.4.2.チャット

「实时咨询」を選択する。ユーザ名とメールアドレスを入力した後、質問を開始できる。質問文を入力して「发送」で送信し、最後に「退出并填写反馈」を押下して、アンケートを入力して退出する。

2.香港・マカオ

2.1.香港公共図書館

網上參考資訊服務(香港公共圖書館)
https://www.hkpl.gov.hk/tc/ask-a-librarian/form.html

香港中央図書館を中心とする公共図書館ネットワークで、中国語版と英語版がある。メール(enquiries※lcsd.gov.hk)とメールフォームがあり、登録せずに質問できる。

フォームには「一般查詢」と「主題查詢」があり、後者は「教育 / Education」「香港口述歷史 / Hong Kong Oral History」「運動與健體 / Sports and Fitness」「食物與營養 / Foods and Nutrition」の4分野から選択できる。いずれも氏名、メールアドレス、目的、質問文を入力して「提交」で送信する。2日から10日程度で回答するとしている。

2.2.マカオ中央図書館

澳門中央圖書館參考諮詢
http://www.library.gov.mo/cn/reference/index.aspx

中国語版とポルトガル語版がある。メニューには、「澳門資料參考諮詢」(マカオ資料に関する)と「非澳門資料參考諮詢」(上海図書館の「网上联合知识导航站」を利用)がある。登録不要で、氏名、メールアドレス、電話番号、年齢、利用者登録の有無、目的、質問文を入力(選択)して「確定請按這裡」を押下して送信する。5日以内に回答するとしている。

3.台湾

3.1.国家図書館(台湾)

學科專家諮詢服務
http://reffaq.ncl.edu.tw/SSRS/hypage.cgi?HYPAGE=index.htm

台湾の国立図書館である国家図書館のレファレンスシステムで、メール(ref※ncl.edu.tw)とメールフォームから質問できる。

3.1.1.メールフォーム(日・英語他可)

登録せずに利用でき、氏名、性別、職業、学歴、メールアドレス、質問本文などの必須項目を入力し、最下段の「確定送出」で送信する。

質問にはまず図書館員が回答するが、内容によっては、大学教授など館外の専門家が回答作成に協力する。約60名の専門家が「學科專家」で紹介されているが、回答者の指定はできない。3~5日以内に回答するとしている。

3.1.2.レファレンス事例集

直近のレファレンス事例約1,200件を「知識共享圈」で、過去の有用な事例約1,500件を「問題選粹」で公開しており、それぞれ「哲學宗教」「電腦網路」など分野別に絞り込めるほか、質問および回答全文の検索もできる。

台湾ではこのほか、国立台湾図書館[6]、国立公共資訊図書館[7]などでもオンラインレファレンスを受け付けている。

(ゆの もとお)


[1] インタフェースは、2011年1月公開のものである。

[2] サービス開始は2001年で、現在のインタフェースは2013年公開の第3期である。

[3] このほか、ミニブログサイトのウェイボー(新浪微博)に投稿して質問する「微博团队咨询」もあるが、専用アカウントが必要である。

[4] なお、2015年1、2月に確認した限りでは、質問できない状態が多かった。

[5] 浙江省联合知识导航网http://www.zjdh.org:8080/vrd/index.jsp
浙江図書館、浙江大学など省内の公共、大学図書館が参加するネットワークである。登録せずにメールフォームによる質問ができ、レファレンス事例集も参照できる。

[6] メール(ntlref※mail.ntl.edu.tw)およびメールフォーム「參考諮詢服務 : 一般規則與服務」(http://www.ntl.edu.tw/sp.asp?xdurl=Form/Form.asp&xItem=2995&mp=1&ctNode=370)がある。

[7] メール(ref※nlpi.edu.tw)のほか、「參考諮詢服務網」(http://ref.nlpi.edu.tw/Default.aspx)があり、メールフォーム(要登録)とレファレンス事例集が利用できる。

(本稿で紹介したメールアドレスを利用する際は、※を半角アットマークに変換してください。)

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