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『은퇴가 없는 나라 : 국가 경제를 이모작하라』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(5):アジア情報室通報 13巻2号

2.6.  김태유 지음(金泰由著)『은퇴가 없는 나라 : 국가 경제를 이모작하라 (引退がない国 : 国家経済を二毛作しなさい)』ソウル, 삼성경제연구소(サムスン経済研究所), 2013.2, 478p. 【EL125-K3】

著者はソウル大学校教授であり、大統領情報科学技術補佐官(初代)、外交通商部エネルギー・資源対外職名大使等を歴任した。国家発展論、エネルギー・資源経済学、産業・技術経済学等の分野で多くの著作がある。

韓国は、2000年に高齢化社会(高齢者比率7%)に入り、2026年には、超高齢社会(高齢者比率20%)を迎える見込みであり、世界で最も高齢化の進行が速い国と言われている(p.14)。著者は、これまでの韓国の高齢者政策が、経済の持続的成長という点では効果が薄いことを指摘した上で、若年者[9]だけでなく、健康な高齢者が、その経歴とノウハウを活かして働ける「二毛作社会」の実現を提言する。

巻頭に本文全体の内容を再構築した10問10答形式の要約を付すほか、各章の冒頭にも要約があり、論旨を把握しやすい構成となっている。

本書の前半(第1章から第4章)では、高齢化問題の現状と課題を整理する。

第1章と第2章では、短期間で高齢化が進展した日本の事例を参照しつつ、既に韓国でも高齢化が深刻化していることを指摘する。

第3章では、韓国で実施されてきた少子高齢化対策の効果を検証する。これまで韓国では、出生率の向上、女性や外国人労働力の活用、高齢者福祉等を重視した政策が実施されてきた。筆者は、これらの政策が、福祉拡大に焦点を当てており、国家的な価値創出能力の低下や経済停滞という根本的な課題を解決するものではないと指摘し、恩恵としての福祉から生産的な福祉への転換が必要であると説く。

第4章では、平均寿命が延び、社会変化の速度が増す中で、今後は生涯を通じて学び続け、可能な限り長く、健康に働くことが重要になると指摘する。

本書の後半(第5章から第8章)では、「二毛作社会」を実現する必要性を説き、実現に向けた諸条件を整理する。

第5章では、高齢者雇用に対して、高費用・低効率等の観点から否定的な見方があることを指摘した上で、賃金体系の合理化や、加齢に伴う生産性の低下が比較的少ない分野における高齢者雇用といった対策を提示する。

第6章では、国の政策レベルで、高齢者・若年者間の分業体制づくりが必要であると指摘する。

第7章では、若年者は「価値創出」を行う製造業を、高齢者は「価値移転」を行うサービス業を担うという分業体系を想定し、その経済効果を推計する。その結果、年齢別分業体系を構築した場合は、2050年時点の生産量は2010年時点と比較して倍増し、就業者一人当たりの未就業者扶養率の伸びも抑制できると結論付ける。

第8章では、若年者/高齢者、高学歴/低学歴の4区分ごとに、必要となる教育体系や、生産性向上に結び付く職種を整理する(下表参照)。

  高学歴
(大卒以上)
低学歴
(専門大学[10]等)
若年者
(25-54歳)
価値創出に関わる理工系の教育を強化し、製造業や知識サービスへの就業を支援する。 技術教育を通じて、製造業等における現場実務者を育成する。
高齢者
(55歳以上)
大学における再教育等により管理・サービス部門の能力を強化し、コンサルティングや社会教育活動等への就業を支援する。 事業者と連携した実務教育プログラム等を通じて、小売、運輸、宿泊、飲食、社会福祉等のサービス業への就業を支援する。

(出典)本書p.380, 表8-1を基に筆者作成。

(アジア情報課 福山 潤三 )

[9] 韓国では、軍隊服務、海外経験、資格取得等のために、就職時期が遅くなる傾向がある。一方で、定年前に退職する労働者も多いと言われる。そのため、本書では、若年者を25-54歳、高齢者を55歳以上と定義し、検討を行っている(pp.340-341)。

[10] 専門大学とは、国家社会の発展に必要な専門職業人の養成を目的とした教育機関で、修業年限が2年以上3年以下のものを指す(高等教育法第47条、第48条第1項)。

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