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インドネシアの電化率(レファレンス事例・ツール紹介(5)):アジア情報室通報 15巻1号

アジア情報室通報 第15巻1号(2017年3月)
新谷 扶美子(国立国会図書館関西館アジア情報課)

アジア情報室には、中国・韓国以外のアジア各国に関するお問い合わせも、しばしば寄せられます。その中でも、日本企業の駐在員も多い東南アジアの国々については、電気・ガスなど現地のインフラの状況を尋ねられることがあります。今回は、インドネシアの電化率(家庭への電気普及率)についての調査を例に、州別や地域別といった単位のデータを調べることができる統計資料をご紹介します。

*【 】内は当館請求記号、ウェブサイトの最終アクセス日は2017年2月8日です。

1. インドネシア中央統計庁の統計

まずは、国家機関であるインドネシア中央統計庁の資料から見ていきます。

1.1. Statistik Indonesia : Statistical Yearbook of Indonesia. (Biro Pusat Statistik, 年刊)【Z61-C148】

中央統計庁が刊行している統計年鑑です。人口、経済、産業、消費、貿易等各種統計が収録されています。インドネシア語と英語が併記されており、巻末にはインドネシア語・英語それぞれの主題索引が付されています。今回は、アジア情報室における最新所蔵の2013年版で調査を進めます。

電化率ということなので、まずは"6.Mining and Energy"(鉱業・エネルギー)の統計リストを確認すると、"6.2 Electricity, Gas, and Water Supply"(電気、ガス、水の供給)という項目があります。しかし含まれている統計は、生産量や会社の施設数、販売量など、家庭への電気普及率とは違った観点からのものでした。

では、家庭への電気普及率はどこを見ればよいのでしょうか。再度、目次に戻って確認します。生活の基盤に関係することなので、"4.Social and Welfare"(社会・福祉)に含まれていることが考えられます。統計リストを確認すると、"4.3 Housing and Environment"(住宅・環境)のp.162に"Percentage of Households by Province and Source of Lighting, 2012"(2012年の州別・光源別世帯割合)という統計がありました。これは、「National Socio Economic Survey(全国社会経済統計)」2012年第3期をもとに、各州における照明の供給源を、国営電力公社(Perusahaan Listrik Negara、以下「PLN」とします。)、他の電力会社、自家発電、ランプ、その他、に分け、各々のパーセンテージを出したものです。

1.2. BPS-Statistics Indonesia(インドネシア中央統計庁ウェブサイト)http://www.bps.go.id/

前掲の統計年鑑を出版しているインドネシア中央統計庁のウェブサイトの英語版です。BPS各州支部へのリンクが張られているほか、統計年鑑等、出版物の電子版も掲載されています。電子版の利用にはユーザー登録が必要となりますが、それとは別に、トップページ左側のメニューから、主題ごとに統計を閲覧できます。

先ほどの調査結果から、該当の統計は社会・福祉関連の項目に含まれていると考えられますので、"Social and Population"(社会・人口)、"Economic and Trade"(経済・貿易)、"Agriculture and Mining"(農業・鉱業)の3つの大項目から、"Social and Population"を選択します。項目名横の逆三角形もしくは項目最終行の"More..."をクリックする(図1)と、小項目が開きます。

図1 インドネシア中央統計庁トップページ(英語版)
図1 インドネシア中央統計庁トップページ(英語版)

さらに先ほどの調査に基づき、小項目の中から、住宅・環境関連と思われる"Housing"(住宅)を選択します。項目名をクリックすると、住宅指標、平屋と国営住宅の数など住宅関連の統計資料が並ぶ中で、11番目に「1993-2015年、州別電力照明世帯割合」、12番目に「1993-2015年、州別(PLNを電力源とする)電力照明世帯割合」という統計が出てきました。双方とも複数年表記のため、電力照明の普及の推移が一覧できます。

ここで、2012年に照明の電力源がPLNである割合について、統計年鑑(A)とウェブサイト(B)の数値を比較してみましょう。

表1 PLNによる電力照明の割合(%)
(A) (B)
Ache 95.44 95.20
Sumatera Utara 92.50 92.93
Sumatera Barat 90.37 90.48

小数点以下の違いはありますが、おおよそ似通った数値となっています。これは、紙の統計が2012年第3期のデータをベースにしているのに対し、ウェブサイトのほうは年末までのデータをベースにしているためであると考えられます。

そのほか、"Housing"の諸統計の21番目及び22番目には、前述の統計の各州をさらに都市部と地方に分けた、「2009-2015年、州・エリア別電力照明世帯割合」、「2009-2015年、州・エリア別(PLNを電力源とする)電力照明世帯割合」という統計もありました。例えば、パプア州について、先ほどの州別電力照明世帯割合の2009年を見てみると、42.78%となっています。しかし、同年の州・エリア別電力照明世帯割合を見ると、都市部: 93.99%、地方: 28.22%となっています。州の数値は地方の電力照明普及率の低さが反映されたものであり、都市部では他州と大差ない普及率であることがわかります。

なお、これらの統計の基礎となっているのは、前述の「National Socio Economic Survey(全国社会経済統計、現地語名Survei Sosial Ekonomi Nasional : SUSENAS)」で、1962年から行われている、対面式の標本調査です。中央統計庁ウェブサイトで確認できる直近の調査である2016年3月の調査では、34州511地区の約30万世帯を対象にしています[1]。

2. その他の統計

ここまで見てきた中央統計庁の統計から、電力照明に限ってではあるものの、ある程度地域性が読み取れるデータを探すことができました。続いて、中央統計庁以外の情報源を探してみます。

2.1. JETROジャカルタ 編.『インドネシアハンドブック. 2012年版』(ジャカルタジャパンクラブ, 2013.3.)【DC227-L4】

日本貿易振興機構(JETRO)ジャカルタ事務所編集、ジャカルタジャパンクラブ(インドネシア日系コミュニティ)刊行のハンドブックです。インドネシア国内外で公開されている統計を利用し、在インドネシア日本企業社員等により執筆されています。「インドネシアのあらまし」「経済の概況」「産業の動向」など8章からなります。

まずは目次から、「第5章 産業の動向」にあると思われるので、小項目を確認していきます。「5.8 エネルギー」>「5.8.4 電力」が目につきますが、こちらは生産・販売に関する項目でした。続けて見ていくと、「5.21 電気・電子産業」>「5.21.2 家電製品」とあります。家電製品が普及するには電気が不可欠ですから、ここに何か載っているのではないかということで見てみますと、p.180に、「5.21.2-表1 インドネシアの面積、人口、世帯数、世帯当たりの人数、電化率」という表が掲載されていました。インドネシアをスマトラ、ジャワ・バリ、カリマンタン、スラウェシ、パプアの5つの地域に分けて、それぞれの項目につき、数値を挙げてあります。電化率については、PLNを情報源として、2010年、2012年、2015年(目標値)の数値が出ています。そこで念のため、PLNウェブサイト[2]にある統計[3]を確認します。

2.2. PLN Statistics(PLN統計)http://www.pln.co.id/2012/01/26/laporan-statistik/

PLNウェブサイト上部のメニューのうち、Investorにマウスのポインタを当てます。下に展開するサブメニューの中から、"Laporan Statistik" (統計レポート)を選択する(図2)と、2009年以降のインドネシア語版及び英語版[4]の統計レポートがPDFの形で掲載されているページに移動します。

図2 PLNウェブサイトトップページ
図2 PLNウェブサイトトップページ

これらは、PLNおよび子会社の年間活動状況をまとめたものであり、年間統計と直近9年間の統計を、それぞれ「事業」「財政」「人材」の3部に分けて収録しています。冒頭に施設数や送電線の全長、売電量など各項目を前年と比較したSummaryが付されています。5. Electrification Ratioの項より、顧客の数から電化率を算出しており[5]、中央統計庁の統計とは母数が異なっていることがわかります。

数字を比較すると、2010年のスマトラ地域については、『インドネシアハンドブック』62.9%、PLN統計62.4%と近い数値となっていますが、2012年は、ハンドブック58.8%、PLN統計72.1%と大きく乖離しています。理由は不明ですが、注意が必要です[6]。

3. まとめ

以上、インドネシアの電化率を例に、州別・地域別の統計資料をご紹介いたしました。

基本的なことではありますが、統計を利用する際には、下記を確認することが重要です。

  1. いつ時点の情報か
  2. データの出所はどこか
  3. 調査の対象(母数)は何か

なお、東南アジア各国の統計管轄機関のウェブサイトは、当館が提供する探し方案内「リサーチナビ」の、以下のページでもご案内しています。

統計 : 東南アジア
http://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/statistics-southeast.php

(にいや ふみこ)



[1] Indonesia - Survei Sosial Ekonomi Nasional 2016 Maret (KOR). http://microdata.bps.go.id/mikrodata/index.php/catalog/769

[2] PT PLN (Persero). http://www.pln.co.id/

[3] Laporan Statistik(統計レポート)
http://www.pln.co.id/2012/01/26/laporan-statistik/

[4] 2014年版は、インドネシア語版のみ。

[5] 例えば、2015年版には、"With the growth of total number of customers from 57,493,234*) at the end of 2014 to 61,167,980*) at the end of 2015, the electrification ratio reached around 86.20%. *) Not included non-PLN Customers" との説明があります。
PLN Statistics 2015, p.iv. http://www.pln.co.id/wp-content/uploads/2016/09/Statistik-PLN-2015-English.pdf

[6] ここでのPLN統計の数値は、PLN Statistics 2010年版及び同2012年版のp.20, Table 19: Electrification Ratio and Energy Consumption per Capitaから、スマトラ地域に該当するRegion of AcehからDistribution of LampungまでのResidential Customers(顧客)の合算を、同範囲のResidential(世帯)の合算で割ることにより算出したものです。

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