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北朝鮮の新聞やウェブサイトでみる日本関係記事:アジア情報室通報 16巻1号

アジア情報室通報 第16巻1号(2018年3月)
田中 福太郎(国立国会図書館関西館アジア情報課)

はじめに

北朝鮮は閉鎖的な国という印象もあるが、新聞やウェブサイトを通じてその主張を公表しており、これらから、北朝鮮の動きや考え方をある程度把握することができる。

北朝鮮の新聞等で対外的な問題を扱う際には、アメリカや韓国を批判するものが多いが、日本について論じることもある。特に、2017年10月22日に行われた衆議院議員総選挙の前後から、この選挙は北朝鮮脅威説を借りた現政権の延命策である、といった論調が散見される。

本稿では、アジア情報室において現在継続して収集している朝鮮語新聞のうち、朝鮮労働党中央委員会機関紙の『労働新聞』【当館請求記号Z91-AK15】、最高人民会議常任委員会及び内閣機関紙の『民主朝鮮』【Z91-AK14】、主に統一問題についての記事を扱う独立系新聞の『統一新報』【Z91-AK28】の3紙について、ウェブサイトで記事を閲覧する方法を紹介する。次に、日本について論じた最近の記事の一例を紹介する。

1. 紙面をウェブサイトで確認する

北朝鮮の新聞・ニュースサイトへは、当館リサーチ・ナビ内の「AsiaLinks-アジア関係リンク集」からも入ることができる[1]。ここでは、上記3紙のウェブサイトを紹介する。

1.1. 労働新聞

http://www.rodong.rep.kp/ko/
当日の紙面については、トップページ右側「《로동신문》 면별보기(『労働新聞』をページごとに見る)から、PDF形式で閲覧できる(図1)。2016年1月以降の記事は、検索とテキスト形式での閲覧が可能である。以下、その方法を紹介する。

図1 『労働新聞』ウェブサイトのトップページ

トップページ上方にある「검색(検索)」をクリックすると検索画面となる(図2)。タイトルや本文に「日本」が含まれる記事を検索する場合、주제(主題)を「국제(国際)」とし、内容欄に「일본(日本)」と入力して「검색(検索)」を押下する。表示された記事一覧からタイトルをクリックすると、別ウインドウで本文が閲覧できる。

図2 『労働新聞』ウェブサイトの検索画面

日付が分かっている場合は、前述した「검색(検索)」の右隣にある「날자별보기(日付別にみる)」を用いるとよい。表示されるカレンダーから該当の日付を選択すると、その日の記事のタイトル一覧が表示される。

なお、『労働新聞』ウェブサイトでは、一部の記事を、英語と中国語に翻訳して提供している。

1.2. 民主朝鮮

http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=igisa4
同紙は、조국평화통일위원회(祖国平和統一委員会)[2]が運営するポータルサイトである「우리민족끼리(わが民族同士)」ウェブサイト(http://www.uriminzokkiri.com/)内で、過去1年分の一部の記事が、テキスト形式で閲覧可能である(図3)。

検索は、テキスト形式で閲覧できる記事のタイトルのみが可能である。

図3 「わが民族同士」ウェブサイト内の『民主朝鮮』のページ

1.3. 統一新報

http://www.uriminzokkiri.com/uri_foreign/tongilsinbo/
同紙は、1.2.と同じく、「우리민족끼리(わが民族同士)」ウェブサイト内で、記事の閲覧や検索ができる。

トップページの右上にある「기사(記事)」を押下すると、2011年8月以降の一部の記事が、テキスト形式で閲覧できる。

検索は、テキスト形式で閲覧できる記事のタイトルのみが可能である。例えば、「섬나라(島国)」で検索すると3件ヒットし(図4)、3.③で紹介する記事が、テキスト形式で閲覧できる[3]。

図4 『統一新報』記事のタイトル検索の結果

また、トップページの左上にある「PDF 보기(PDFで見る)」を選ぶと、2013年1月の以降の記事が閲覧できる(図5は、3.③で紹介する記事)。

図5 『統一新報』2017年12月9日付記事の紙面イメージ

3紙のウェブサイトで記事を閲覧・検索する方法をまとめると、表1のとおりとなる。

表1 各紙ウェブサイトにおける記事の閲覧・検索
紙名 PDFの閲覧 テキストの閲覧 検索
労働新聞 当日のみ 2016年1月以降 左記のタイトルと本文
民主朝鮮 不可 過去1年分の一部 左記のタイトルのみ
統一新報 2013年1月以降 2011年8月以降の一部 左記のタイトルのみ

(出典)筆者作成

2. 「우리민족끼리(わが民族同士)」ウェブサイトで得られるその他の情報

同ウェブサイトでは、朝鮮語のほか、日本語、英語、中国語、ロシア語でも朝鮮中央通信の配信記事の一部を翻訳して配信している。3.①で紹介する記事は、朝鮮中央通信からも配信されているが、それを日本語に要約した記事を掲載している(図6)。

図6 「わが民族同士」の日本語ページにある記事

(出典)
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?lang=jpn&ftype=document&no=6679&pagenum=1

また、同ウェブサイトは、朝鮮中央TVのページにもリンクしており、同TVで放送された番組の一部の動画が視聴できる。

3. 日本について論じた記事の例

次に、日本について論じた記事の例として、2017年10月から2017年12月の間に、衆議院総選挙に触れたものの概要を紹介する。なお、①と③の記事は、ウェブでも閲覧できる。

① 朝鮮アジア太平洋平和委員会[4]報道官談話「日本当局は全朝鮮民族の対日敵愾心を正しく知り、軽挙妄動をやめなければならない」(『労働新聞』2017年10月23日, 5面)

日本当局は、自分たちの劣悪な政権運営能力が招いた国難が、あたかも「北朝鮮の核の脅威」から生じたように世論を導き、「危機打開の求心点」は自分たちしかいない、と分別を失い騒ぎ立てている。これは、米国がもたらす核戦争の煙幕の中で、朝鮮半島再侵略の布石を築こうとするものである。

② シン・ヨンナム「自滅を促進する愚かな妄動」(『民主朝鮮』2017年11月7日, 6面)

衆議院総選挙で自民・公明連立政権が勝利したことで、安倍長期政権が可能となった。早期の解散・総選挙の根本的な目的は、「平和憲法」の改正にある。

安倍政権が憲法改正にそれほど神経を集中させているのは、現行憲法の「かせ」から抜け出さなければ、到底海外侵略の野望を実現できないからである。

③ キム・ジョンヒョク「軍国主義へと疾走する島国には未来がない」(『統一新報』2017年12月9日, 8面)

「北朝鮮脅威説」をより大きく浮き出たせるため、日本は、朝鮮半島問題と何ら関係がなく、既に解決した「拉致問題」を取り上げ、「北朝鮮核脅威、ミサイル脅威」に備えるという美名のもとに住民退避訓練を大々的に繰り広げた。日本の当局者らが、衆議院選挙において勝利したのは「北朝鮮のおかげだ」と公然と語ったのも、偶然ではない。

おわりに

本稿で紹介したように、北朝鮮の各機関の見解は、ウェブ上である程度確認できる。アジア情報室等では、新聞紙面を直接確認することができるが、リアルタイムに情報を入手するためには、やはりウェブ情報を活用する方がよいだろう。

また、当館の「リサーチ・ナビ」において、「北朝鮮の基本情報について調べる」[5]を公開している。調査に際して、併せてご参照いただきたい。

(たなか ふくたろう)


[1] 国立国会図書館リサーチ・ナビ「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮): 新聞・ニュースサイト, サーチエンジン・ポータルサイト」http://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/link-prk10.php#17

[2] 朝鮮半島の統一問題を扱う北朝鮮の国家機関。以前は朝鮮労働党の外郭機関であったが、2016年6月に国家機関となった。

[3] なお、テキスト形式では、記事の日付が2017年12月14日となっているが、誤りと思われる。

[4] 朝鮮労働党の外郭機関で、対外窓口機関の一つ。

[5] 国立国会図書館リサーチ・ナビ「北朝鮮の基本情報について調べる」http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-asia-143.php

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