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1950年代の韓国の統計 (レファレンス事例・ツール紹介(10)):アジア情報室通報 16巻2号

アジア情報室通報 第16巻2号(2018年6月)
廣田 美和(国立国会図書館関西館アジア情報課)

 

 各国の社会や経済について調べる場合の重要なツールの一つに、統計があります。アジア情報課は、平成29年度レファレンス・サービス研修で、「日本語・英語で調べるアジア諸国の統計」[1]の講義を担当したほか、平成28年度アジア情報研修において「実習2 韓国の統計を調べる」[2]と題して韓国の統計の調査方法を紹介しました。

本稿では、「朝鮮戦争休戦後の戦災未亡人の数を知りたい。」という質問を例として、朝鮮語資料[3]及びウェブサイトを用いた、1950年代の韓国の統計の調べ方をご紹介します。

 

*【 】内は当館請求記号、ウェブサイトの最終アクセス日は2018年5月15日です。

 

1. 統計資料からのアプローチ

 朝鮮戦争は1953年に休戦していますので、1953年から1957年までの5年間を対象に調査を行いました。

1.1. 総合統計[4]を調べる

 リサーチ・ナビ内の調べ方案内「統計の調べ方(韓国・北朝鮮)」[5]では、韓国及び北朝鮮の統計を調べるための主な情報源を紹介しています。このうち、韓国に関する代表的な総合統計資料は、朝鮮語・英語併記の『한국통계연감(韓国統計年鑑)』[6]で、当館では第4回(1957年)から所蔵しています[7]

 

『大韓民国統計年鑑 4-7回』(大韓民国内務部, 1957-1960)【352.1-D16-T

 

まずは上記資料の第4回(1957年)を確認しましたが、未亡人に関する統計は掲載されていません。念のため翌年以降の版を確認したところ、第6回(1959年)に表「213. 未亡人実態」が掲載されており、1957~1958年の未亡人の数が記載されていました。しかし、1956年以前のデータは無く、また、「軍人」「警察官」「一般」の区分はあるものの、戦災未亡人であるか否かはわかりません。

 

1.2. 出典元の統計を調べる

上記統計には、「資料:保健社會部」と出典が示されていました。出典元の統計には、さらに詳細な情報が掲載されていることがあるため、保健社会部が発行した統計資料を確認します。

 

보건사회부 []『保健社會統計年報 = Year book of public health and social statistics 1955-57(合倂號)』(保健社會部, 1958)【EG225-4

 こちらの資料も朝鮮語・英語併記です。第115表「未亡人実態表」に、1955年から1957年の未亡人の数が記載されており、1.1で調査した『大韓民国統計年鑑 第6回』よりは少し広い範囲の統計を確認することができました。しかし、やはり戦災未亡人であるか否かはわかりません。

 

1.3.その他の年鑑類を調べる

 この後、次の資料に統計が掲載されているようだという質問者からの情報により、調査を行いました。

 

韓国年鑑編纂委員会 編『韓国年鑑 1956年版』(韓国年鑑社, 1955)【059.21-Ka455

 項目「女性問題」の中に、檀紀4288年(西暦1955年)3月31日現在の保険社会部統計による、未亡人総数、自然未亡人、戦争未亡人、扶養児童数が道別に表形式で記載されていました。この表によると、戦争未亡人の合計は137,865名、未亡人総数の合計は586,774名です。

 

 さらに調査を続けたところ、保険社会部発行資料のうち、女性行政を扱った次の資料にも、参考となる記述がありました。

 

保健社會部 []『婦女行政 40年史』(保健社會部, 1987)【AK4-541-K4

 제3편제3설(第3編第3節)「戰災未亡人救護」に、「戰災未亡人 實態」として1952年末に101,845名、1955年末に137,865名、1957年末に60,187名の戦災未亡人がいたことが記載されていました。この数値の出典は「보건사회부,『보건사회행정개관』(건국 10주년)(保険社会部,『保険社会行政概観』(建国10周年))」と記載されていましたが、当該資料は当館に所蔵がなく、インターネット公開もされていないため、調査はここで終了しました。

 

 今回の事例では、参考となる情報は入手できましたが、統計の原典をご紹介することはできませんでした。このような場合には、調査で判明した情報の他に、必要に応じて、関連資料の所蔵館等をご案内しています。

 

2. インターネット情報からのアプローチ(KOSIS)

http://kosis.kr/index/index.do

韓国の統計を調べる際に有用なウェブサイトの一つに、統計庁が提供する統計の統合検索サイト「국가통계포털(Korean Statistical Information Service)」(国家統計ポータル、以下「KOSIS」という。)があります。[8]

 

KOSISでは、各種統計の検索や、統計関連の各種刊行物の閲覧が可能です。英語版サイトも公開されていますが、朝鮮語版と比べて統計項目がやや少なく、刊行物は閲覧できません。本稿では、朝鮮語版サイトでの検索の方法及び刊行物の閲覧方法をご案内します。

 

2.1. 統計を検索する

トップページ上部の検索窓(図1-①)に、検索したいキーワードを入力し、検索ボタンをクリックします。検索結果画面には、統計表の検索結果の他に、最新の統計指標(図1-②、該当する指標がある場合のみ)、詳細検索窓(図1-③)等が表示されます。

図1 KOSIS 検索結果画面

 

(出典)http://kosis.kr/

 

今回の調査のキーワードである「미망인(未亡人)」を入力すると、統計指標は表示されず、224件の検索結果が表示されました。数が多いため、ここから収録期間で絞り込みます。

 

③の詳細検索窓の「기간(期間)」の項目では、全体、最近1年などが選択できるほか、期間を直接入力することができます。1956年1月1日から1957年12月31日までの期間を直接入力し、一番下にある「적용(適用)」をクリックすると、1件の検索結果が表示されました。統計名は「한국통계연감:미망인 실태(韓国統計年鑑:未亡人実態)」、作成機関は통계청(統計庁)、収録期間は「1955 ~ 1961」と記載されていて、統計名から1.1.で使用した『한국통계연감(韓国統計年鑑)』が出典であることがわかります(図2)。検索結果をクリックすると、当該統計を閲覧することができます。

KOSISでは、同一の統計を複数年にわたって参照したり、統計表をダウンロードすることができるため、データの比較や二次利用をする場合に便利です。

 図2 キーワード「미망인(未亡人)」の検索結果を、収録期間で絞り込んだ結果

(出典)http://kosis.kr/

 

この他、詳細検索窓には、統計作成機関を指定する「기관검색(機関検索)」、完全一致する単語や除外する単語等を指定する「고급검색(高級検索)」等の項目があります。

 

2.2. 刊行物を閲覧する

 トップページ上部中央の、「온라인간행물(オンライン刊行物)」タブから、統計関連の各種刊行物を閲覧できます。「주제별(主題別)」と「명칭별(名称別)」の2種類の目次があり、閲覧する資料の名称がわかっている場合は、「명칭별(名称別)」で当該刊行物を選択します。1.1.で使用した『한국통계연감(韓国統計年鑑)』は、1952年の刊行当初のものから、PDF形式で閲覧することができ、第6回(1959年)に掲載の「213. 未亡人実態表」も確認できます(図3)。

 

図3 『大韓民国統計年鑑 第6回(1959年)』pp.236-237「213. 未亡人実態表」(一部)

(出典)http://kosis.kr/

 

KOSISには、当館に所蔵の無い統計資料や統計表が数多く掲載されていますが、残念ながら「朝鮮戦争休戦後の戦災未亡人の数」は見つけることができませんでした。

 

まとめ

今回の事例では、当館所蔵資料で1955年及び1957年の戦災未亡人の数を確認できたものの、その出典となる統計資料は所蔵しておらず、確認できませんでした。ここまでの調査手順は、次のとおりです。

 

・総合統計資料を用い、関連する統計を特定する。

・出典元の統計で、より詳細な情報を得る。

・関連する年鑑類から、手がかりとなる情報を得る。

 

上記の手順の中で、KOSIS等のウェブサイトを活用することで、より多くの統計情報を参照したり、自館に所蔵していない刊行物を閲覧することができます。膨大な統計情報の中から特定の統計データを探し出すには、少しコツが必要かもしれません。今回ご紹介したツールや、国立国会図書館リサーチ・ナビの関連項目(注5及び注8を参照)を活用し、必要な統計データや参考となる情報を手に入れてください。

(ひろた みわ)



[1] 『レファレンス・サービス研修 平成29年度 経済社会情報を中心に』国立国会図書館, 2017

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11064261

[2] 「アジア情報研修:平成28年度アジア情報研修」

https://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/asia-workshop28.php

[3] 朝鮮語・英語併記資料を含む。

[4] 様々な一次統計を編集して一つにまとめたもの。

[5] 国立国会図書館リサーチ・ナビ「統計の調べ方(韓国・北朝鮮)」

https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-asia-41.php

[6] 当該資料は、出版年によってタイトル等が異なる。当該資料の総称として『한국통계연감(韓国統計年鑑)』を用い、各々の資料を紹介する場合は当該年のタイトルを記載する。

[7] 第8回以降の当館所蔵は次のとおり。

経済企劃院 編『韓国統計年鑑 第8-14回』(経済企画院統計局, 1961-1967)【352.1-Ka455-T】

經濟企劃院 [編]『韓國統計年鑑 = Korea statistical yearbook 第15回』(經濟企劃院調査統計局, 1968)【352.1-Ka455-T】

『한국통계연감 = Korea statistical yearbook 제16-22회, 제23-28호』(경제기획원 조사통계국, 1969-1981)【DT191-K4-2】

『한국통계연감 = Korea statistical yearbook』(통계청, [1952]-)【Z41-AK31】

[8] 国立国会図書館リサーチ・ナビ「統計 : 大韓民国(韓国)・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」では、その他の統計サイトも数多く紹介しています。

http://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/statistics-kor.php

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