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『海外シンクタンクからみた「一帯一路」』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(18):アジア情報室通報 16巻3号

1.24.王灵桂 主編『国外智库看"一带一路"海外シンクタンクからみた「一帯一路」』北京 : 社会科学文献出版社, 2015.9. 3, 10, 13, 473pDE9-C31

王灵桂 主編『国外智库看"一带一路". 2』北京 : 社会科学文献出版社, 2015.10. 3, 10, 31, 445pDE9-C38

 両書は、「全球智库论中国书系(世界のシンクタンクが論じる中国シリーズ)」の第1冊と第3冊であり、世界各国の主要なシンクタンクが発表した中国の「一帯一路」構想に関する論考を収集し、原タイトル、著者名、中訳タイトル及び中国語による要約を掲載している。論考の収集方法が明記されていないが、インターネット上に英語で発表されたものを収集したと推察される。1巻と2巻の合計で27か国、81の研究機関等が発表した381本の論考を掲載しており、国ごとの特徴や傾向の分析も行っている。

 例えば、アメリカのシンクタンクについては、アメリカ自身が一帯一路構想の中でどのような役割を果たすかといった論考は見られず、一帯一路沿線諸国と中国との間の領土や歴史認識をめぐる問題ばかりを論じていると批判している。それに対し、ロシアのシンクタンクについては、平和的、現実的な見方をしており、一帯一路構想とロシア主導の「ユーラシア経済連合」の競合という問題をめぐって、両国が協力して一帯一路構想を推し進めていくための実効性ある提言を行っていると評価している。

 英語の論考のみを収集しているため、国ごとの掲載数に偏りがあるが、多様な国、機関の見方を窺い知ることができる興味深い資料である。論考が掲載されている国及び機関は、以下のとおりである(かっこ内の数字は1巻及び2巻の論考の合計数を示す)。なお、紙幅の都合上、論考の掲載数の少ない国については、国名、機関数、論考数のみを記したが、日本については、機関名、論考の著者及びタイトルを記した。

 

<アメリカ> カーネギー国際平和基金 (60)、ジャーマン・マーシャル財団 (11)、ブルッキングス研究所 (9)、全米アジア研究所 (9)、戦略国際問題研究所 (8)、外交問題評議会 (7)、外交政策研究所 (6)、スティムソン・センター (5)、ジェームズタウン財団 (5)、グローバル安全保障分析研究所 (3)、新アメリカ安全保障センター (3)、ウィルソン・センター (2)、中東フォーラム (2)、ワシントン近東政策研究所 (2)、イースト・ウェスト・センター(1)、大西洋評議会 (1)、現在の危機委員会 (1)、世界資源研究所 (1)、米国平和研究所 (1)、情報技術・イノベーション財団 (1)、マルカタス・センター (1)、ミルケン・インスティテュート (1)

<インド> 南アジア分析グループ (16)、国際関係評議会 (15)、オブザーバー研究財団 (14)、平和紛争研究所 (12)、ヴィヴェーカーナンダ国際財団 (10)、国立海事財団 (3)、デリー政策グループ (2) 、公共政策研究センター (2)、政策研究センター (2)、タクシャシーラ・インスティテューション (1)、陸上戦争研究センター (1)、オーストラリア・インド研究所[1] (2)

<パキスタン> イスラマバード政策研究所 (25)

<イスラエル> ルート研究所 (21)、サダト戦略研究センター (1)、国家安全保障研究所 (1)

<オーストラリア> ローウィ国際政策研究所 (9)、オーストラリア国立大学開発政策センター (3)、独立研究センター (2)、オーストラリア国立大学戦略防衛研究センター (1)

<ロシア> ロシア外交問題評議会 (9)、戦略・技術分析センター (5)

<トルコ> 国際戦略研究所 (14)

<シンガポール> リー・クアンユー公共政策大学院 (4)、東南アジア研究所 (3)、シンガポール国際問題研究所 (2)、ラジャラトナム国際研究院 (2)、南アジア研究所 (1)

<カナダ> ジオポリティカルモニター・インテリジェンス (5)、カナダ防衛・外交研究所 (3)、アジア・パシフィック・ファンデーション (1)

<イギリス> 国際戦略研究所 (6)、ヘンリー・ジャクソン協会 (1)、王立国際問題研究所 (1)

<ベルギー> フレンズ・オブ・ヨーロッパ (6)、ブリューゲル研究所 (1)、リスボン・カウンシル (1)

<その他> スイス(2機関5本)、ポーランド(2機関4本)、南アフリカ(3機関3本)、スウェーデン(1機関3本)、アフガニスタン(1機関[2]3本)、フィリピン(1機関2本)、スペイン(1機関2本)、フランス(1機関1本)、オランダ(1機関1本)、ノルウェー(1機関1本)、フィンランド(1機関1本)、デンマーク(1機関1本)、カザフスタン(1機関1本)、マレーシア(1機関1本)、ブルネイ(1機関1本)

 

<日本>

・アジア開発銀行研究所

Sebastian Paust, "Is regional economic integration in Central Asia a doomed vision or a promising future?," 2014.4.10.

http://www.asiapathways-adbi.org/2014/04/is-regional-economic-integration-in-central-asia-a-doomed-vision-or-a-promising-future/

・防衛省防衛研究所

"Chapter 3 China: Xi Jinping's Administration--Proactive Policies at Home and Abroad," East Asian Strategic Review 2015, 2015.5.(『東アジア戦略概観2015』第3章)

http://www.nids.mod.go.jp/english/publication/east-asian/

・東京財団

Ohara Bonji, "What Does China Want? Understanding Beijing's Foreign Policy," 2015.5.27.

http://www.tokyofoundation.org/en/articles/2015/what-does-china-want

(アジア情報課 山本 彩佳)



[1] 豪・メルボルン大学の研究所であり、本書の注にもそのことは書かれているが、誤ってインドのシンクタンクとして挙げられている。

他にも本書には、国際的な機関をその本部がある国のシンクタンクとして挙げている(例:アジア開発銀行研究所、欧州安全保障研究所等)、転載された論考を転載先機関の論考として掲載している、といった問題点が見られる。

[2] アジア財団をアフガニスタンのシンクタンクとして挙げているが、同財団は米国に本部を置く機関である。アフガニスタンにも事務所を有しているため、誤って挙げられたものと考えられる。

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