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『選挙区画定委員会白書 : 第20代国会議員選挙』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(18):アジア情報室通報 16巻3号

2.17.중앙선거관리위원회(中央選管理委員 []『선거구획정위원회 백서 : 20 국회의원 선거(選挙区画定委員白書 : 20国会議員選』果川 : 중앙선거관리위원회(中央選管理委員, 2016.7, 395p.

AK4-251-K76

 韓国の国会議員選挙の区割り案を作成する国会議員選挙区画定委員会(以下「画定委員会」という。)は、かつては、国会に設置されていた。しかし、2014年10月30日に、憲法裁判所が人口格差を2倍以内に抑えるよう立法措置を求めたことをきっかけに、区割り方式を抜本的に見直し、国会からの独立性を高めるため、2015年6月、同委員会は、中央選挙管理委員会に移管された[1]

 本書は、2016年4月に行われた第20代国会議員選挙にあたり、中央選挙管理委員会に初めて置かれた画定委員会の活動記録をまとめたものである。活動内容と、区割り決定までの過程、制度の改善案を示す3つの章と、有識者による外部評価報告書、付録から構成されている。ここでは、画定委員会発足から区割り画定までの過程を時系列に記述している第2章と、移管したにもかかわらず、結局区割り画定が遅れたことの原因を分析する第3章及び合理的な区割り方式を提案するために実施された外部評価報告書の内容を紹介する。

 

2章「第20代国会議員選挙地域選挙区の画定」

 2015年3月18日、国会に政治改革特別委員会が設置され、選挙区画定基準の改正を論議する予定であったが、与野党の対立により議論はたびたび中断された。同年8月13日、画定委員会は声明書で、特別委員会の基準策定を待たず独自に区割り作業を進めると表明し、選挙区の数を244~249の範囲内にするとした。しかし、人口を基準にした場合に選挙区が減少する農村部の住民の反発が高まり、国会への提出期限であった同年10月13日までに画定案を提出できず、委員長は謝罪した。その後区割りに関する議論が中断し、期限の同年11月13日を経過しても区割り画定ができなかったため、選挙運動に支障をきたすことも予見された。2016年に入り、画定委員会で議論が再開されたが、都市部の合区や分区について意見が一致せず、同年1月8日には委員長が辞任を表明するに至った。結局、同年2月23日、与野党代表と国会議長が、選挙区を253、比例代表を47とする内容で合意し、国会議長は、同年2月25日までに国会に区割り案を提出するよう、画定委員会に通知した。同年2月28日、画定委員会は報告書を国会に送付し、同年3月3日の改正公職選挙法により、区割りが確定した[2]

 

3章「国会議員選挙区画定制度の改善案」

 この制度は、区割り過程の透明性と専門性の確保をめざしたものの、実質的な独立性が保てず、区割り画定の遅延をもたらした。以下の3点について、制度を改善する必要がある。

・委員9人中8人を国会が選定する方式では、独立性が保てず、政治の介入を招いたため、中央選挙管理委員長が指名する委員数を増やす必要がある。

・与野党が推す委員が多数を占める委員会では、政治的合意なしに区割り案に合意することは不可能であるため、選挙区画定案の議決に必要な在籍委員の3分の2以上の賛成を得ることが困難である。そのため、議決に必要な数の基準を緩和すべきである。

・選挙区の数が法律で定められていない状態で、画定委員会の区割り案をそのまま国会で議決することは、国会議員の数と選挙区等に関する事項を法律で定めるとしている憲法の規定に違反する恐れがある。選挙区画定基準と同様に、選挙区数も法制化すべきである。

 

 外部評価報告書は、中央選挙管理委員会の委託により、明知大学校産学協力団が実施したもので、明知大教養学部キム・ヒョンジュン教授と東国大政治外交学科パク・ミョンホ教授が共同研究者となり、まとめたものである。5節からなるが、区割り画定までの過程と成果及び問題点を考察している第3節「2016年選挙区画定についての考察」と、今後の方向性を提案している第4節「今後の選挙区画定の効率的な方向の提示」の内容を紹介する。

 第3節の最後では、画定委員会の活動について、選挙制度の専門家20名に対するアンケート結果が紹介されている。画定委員会が中央選挙管理委員会に移管されたことを評価したのが95%、議決に必要な賛成数を過半数にすることに同意したのが60.0%(同意しないは35.5%)等である。また、75.0%が、今回の選挙における画定委員会の活動全般を評価しておらず、理由として「委員が政治的に独立的ではなかった」ことを挙げる者が多数を占めた。

 第4節では、区割り画定に対する有権者の不信を解消するために、以下のような対応が必要であると提案している。

・区割り画定の予測可能性及び透明性の向上のために、選挙区画定の法的基準、即ち総議席数、選挙区と比例代表の議席数の比率、人口偏差基準について、法的規定を整備する。また、画定委員会を常設化し、区割り確定までのスケジュールを安定させる。

・区割り画定の専門性・中立性を保障するために、委員に選挙制度、行政、地方自治、統計、関連法の専門家を加えるほか、委員を審査する委員会を設置する。

・国会が画定委員会作成の区割り案を修正できないと規定することについては、立法権を侵害するおそれがあるため、慎重に考える。

 

 本書のうち、外部評価報告書については、中央選挙管理委員会ウェブサイトにおいてPDFファイルで閲覧できる[3]

(アジア情報課 田中 福太郎)



[1] 一連の経緯については次を参照。藤原夏人「【韓国】 選挙区割り方式の見直し」『外国の立法 月刊版』264-1号, 2015.7, pp.18-19.

http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9446693_po_02640109.pdf?contentNo=1

 なお、日本では、衆議院議員選挙区画定審議会が、選挙区の改定案を作成しており、委員7人は全て国会議員以外の者から任命される。

「衆議院議員選挙区画定審議会」総務省ウェブサイト http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/senkyoku/senkyoku_shingi.html

[2] 藤原夏人「短信【韓国】公職選挙法の改正―新たな選挙区画定案の確定と関連規定の新設―」『外国の立法 月刊版』267-2号, 2016.5, p.26.

http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9974282_po_02670211.pdf?contentNo=1

[3] 「선거구획정위원회의 성과·문제점·개선방안 등 평가(選挙区画定員会の成果・問題点・改善方案等の評価)」2017.1.11. 中央選挙管理委員会ウェブサイト

http://www.nec.go.kr/portal/bbs/view/B0000235/24680.do?menuNo=200182&searchOption1=&searchOption2=&searchWrd=&searchCnd=&pageIndex=2

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