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独立運動家の顔写真(レファレンス事例紹介): アジア情報室通報第2巻第2号

アジア情報室通報 第2巻第2号(2004年6月)

名前は知っているけれどどんな顔をしているのかわからないといったことがあります。先日、「上海臨時政府の設立に関わったらしい「이규홍」という人物がいるのだが、その顔写真を探している」という電話レファレンスがありました。初めて聞く名前なので、まずは『한국민족문화대백과사전(韓国民 族文化大百科事典)』(한국정신문화연구원、1991) < UR7-K2 >  ( <   > 内は当館請求記号)をひいてみます。すると「李奎泓」と「李圭弘」の2名が出てきました。漢字名を確認したところ後者とのこと。該当項目を要約すると「旧韓末の義兵将。字は元五、号は梧下。本貫は慶州。1881年全羅北道益山生まれ。義兵活動を指揮し、1907年から朝鮮各地で戦闘を繰り広げた。1918年中国に亡命し、上海で大韓民国臨時政府の指導者と接触、金奎植が独立請願書提出のためにパリまで行く旅費として1,300ウォンを提供するなど独立運動に協力した。」ということです。確かに上海で大韓民国臨時政府の設立を助けた人物のようです。しかしここには顔写真は掲載されていません。そこで、この項の参考文献の一つ『獨立有功者功勳錄』第1巻(國家報勳処、1986) < GK15-K3 > を見てみることにしました。この資料は韓国内外で日本の侵略に抵抗した人物のうち、1983年までに政府から勲章を授かった3,957人を、愛国啓蒙運動と義兵戦争に分類し、それぞれについて人名のハングル字母順に排列したものです。李圭弘については、義兵参加者名簿に参加当時の年齢と出身地、証拠となる文献、さらに義兵戦争における活動内容等の説明とともに顔写真も掲載されていましたので、この資料を紹介して電話の受話器を置きました。

ところが写りがあまりよくなかったため、もう少しはっきり写っているものを探してみることにしました。歴史的人物から最近の人物まで網羅している『한국인물대사전(韓国人物大事典)』(한국정신문화연구원、1999) < GE12-K15 > を見ると、李圭弘の項に顔写真が掲載されていましたが、先ほどの写真と同じものでした。ここで少し目先を変え、写真集を見てみようと思いたち『写真で知る韓国の独立運動』(国書刊行会、1988) < GE129-E5 > を開きます。すると「1920年1月1日の大韓民国臨時政府と臨時議政院の新年祝賀記念撮影」の写真があり、第2列左から3人目が「李奎弘」とあります。また次ページには「1921年1月1日臨時政府と臨時議政院の新年祝賀記念撮影」の写真があり、第2列1人目が「李奎洪」とあります。この2枚は見比べると同一人物のように見えます。しかし『한국민족문화대백과사전』に出てきた2人と漢字形が異なります。念のため『한국사대사전(韓国史大事典)』(敎育圖書、1993) < GE8-K2 > を調べると、「李圭弘」の項とともに「李圭洪」の項もありました。その説明には「1893-1930。抗日独立闘士。慶尚南道梁山出身。3.1独立運動に参加した後上海に亡命し、臨時政府の内務次官、学務次長などを歴任した。1926年臨時議政院の副議長を経て臨時政府の国務委員となり、憲法改正起草委員になった。」とあります。さきの写真は臨時議政院のものですから、写っているのはおそらく「李圭洪」という人物なのでしょう。結局、「李圭弘」「李圭洪」ともに臨時政府の設立には関わっているようですが、どの漢字の人物が求める人物かは不正確になってしまいました。コリアの人物の場合、ハングル表記だけでは同音異人が多いため同定には慎重を期さなければなりません。ちなみにこの写真集は『사진으로 보는 獨立運動(写真で見る独立運動)』(서문당、1987) < GE129-K5 > の日本語訳です。

百科事典や人名事典のほかに朝鮮半島の独立運動に関係した人物を探すのに便利な資料を、いくつかご紹介しましょう。

①『日帝下社會運動人名索引集』(全2巻)(여강출판사、1992) < E2-K5 > 

1919年の3.1独立運動から1945年の終戦までの間に何らかの社会運動に関わり、文献記録に残っている人物をほぼ網羅している人名索引。項目は人名、出典、出典文献のページ、検挙または裁判年度、出身または活動地域名、関連団体名または事件名の6つで、人名のハングル字母順に排列されています。1919年から1945年の間の社会運動といえばほとんどが民族独立運動ですので、独立活動家について調べるときにもその人物の記述がどの文献に記されているのかが分かり、便利です。

②『獨立運動大事典』(巻1:大韓民國光復會、1985; 巻2:東亞、1990) < GE8-K8 > 

独立運動に関する事件534件と、独立運動に関わった人物414人をハングル字母順に排列したもの。巻頭写真のページに事件や人物の写真が時代別に並べられており、本文にその説明が掲載されています。

③『光復三十九年史』(全3巻)(東亞圖書、1984) < GE136-K2 > 

1巻には「獨立運動個人功勳史」があります。これは韓国政府が独立有功者として褒賞した人物をハングル字母順に排列したもの。出身地や生年月日、勳格、褒賞年度、どのように独立運動に関わったか等が記されており、一部の人物については顔写真も掲載されています。

④『한국사회주의운동인명사전(韓国社会主義運動人名事典)』(창작과비평사、1996) < E2-K6 > 

社会主義運動に参加した約2,000人について、ハングル字母順に排列されているもの。主に日本の植民地支配時に活動していた社会主義運動家をとりあげています。標題の人名には最も通用している名を採用していますが、仮名や号などを持つ人物については、巻末の「이명 찾아보기(異名索引)」を用いることができます。

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