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漢籍の探し方(レファレンス事例紹介) : アジア情報室通報第4巻第1号

アジア情報室通報 第4巻第1号(2006年3月)

漢籍の書名や著者名についてOPACでヒットするものもありますが、書誌データにすべての内容細目が入力されているわけではないので、各種目録、索引、事典を調べます。また原文(刊本、鈔本とその影印)だけでなく、それを整理したもの(校訂、校注)、さらには読み下し文、日本語訳などがあれば紹介したいところです。(<>内は当館請求記号)

質問例. 「『河圖括地象』という文献が見たい。」

アジア言語OPAC外部サイトへのリンクによれば『河圖括地象』は『漢學堂知足齋叢書』に収録されています。『國立國會圖書館漢籍目録』(国立国会図書館, 1987)によればほかに『漢唐地理書鈔七十種附麓山精舍輯本六十六種』<292.2-O112k>、『説郛』<わ082-3>、『玲瓏山館叢書』<223-6>、『漢學堂叢書』<222-21>に収録されているようです。全國漢籍データベース外部サイトへのリンクで調べると55レコードがヒットしますが、重複が多く、またすべての版本を網羅しているわけではありません。当館所蔵の有無はあとで調べるとして、ここではどんな叢書に収録されているかだけ見ておきます。書誌データに「守山閣叢書經部古微書河圖緯」、「漢學堂叢書通緯河圖類」などとあり、収録叢書名、漢籍目録における分類がわかります。「河圖緯」「通緯」「河圖類」などはキーワードとして覚えておきます。また、NACSIS Webcat外部サイトへのリンクによれば『叢書集成三編』のなかの『黃氏逸書考』に収録されているようです。(ちなみに「河圖」でアジア言語OPACを検索すると『尚書緯;河圖;雒書』(上海古籍出版社, 1993)がヒットします。見ると『黃氏逸書考』本の影印であることがわかります。)

②有名な典籍かもしれないので『中国学芸大事典』(大修館書店, 1978)、『中国史籍解題辞典』(燎原書店, 1989)などを調べます。『河圖括地象』では出ていません。『中国学芸大事典』「河圖緯」の項からこれらが「緯書」とよばれるものであることがわかります。

③『黃氏逸書考』に収録されていることから『河圖括地象』が佚書であると推測されます。佚書は輯本により内容に異同があるので、一覧するために『古佚書輯本目録:附考證』(中華書局, 1997)を見ます。『重較説郛』、『諸經緯遺』(『青照堂叢書』所収)、『古微書』(『守山閣叢書』、『墨海金壺』、『叢書集成初編』所収)、『經義考』、『重訂漢唐地理書鈔』、『集緯』、『漢學堂知足齋叢書』、『漢學堂經解』、『黃氏逸書考』、『緯攟』(『山右叢書初編』、『喬勤恪公全集』所収)、『武陵山人遺稿』に収録されているようです。

④アジア言語OPACで確認できた『説郛三種』(上海古籍出版社, 1988)、『經義考』(中華書局, [19-])、『漢唐地理書鈔』(中華書局, 1961)(『重訂漢唐地理書鈔』の影印で、また前出『漢唐地理書鈔七十種附麓山精舍輯本六十六種』と同じ)、『漢學堂知足齋叢書』(書目文献出版社, 1992)、『山右叢書初編』(山西人民出版社, 1986)を案内するほか、『景印文淵閣四庫全書目録:附文淵閣四庫全書分架圖』(臺灣商務印書館, [1986])(本体は『文淵閣四庫全書』)、『四庫全書存目叢書. 首巻目録索引』(齊魯書社, 1997)(本体は『四庫全書存目叢書』)、『四庫全書存目叢書補編. 目録索引』(齊魯書社, [2001])(本体は『四庫全書存目叢書補編』。正編と補編の綜合索引)、『續修四庫全書總目録索引』(上海古籍出版社, 2003)(本体は『續修四庫全書』)、『四庫未収書輯刊. 首巻目録索引』(北京出版社, 2000)(本体は『四庫未収書輯刊』)、『四庫禁燬書叢刊. 索引』(北京出版社, 2000)(本体は『四庫禁燬書叢刊』)、『叢書集成新編總目・書名索引・作者索引』(新文豐出版, 1986)(本体は『叢書集成新編』)、『叢書集成續編提要・總目・書名索引・作者索引』(新文豐出版, 1991)(本体は『叢書集成續編』)、『叢書集成三編提要・總目・書名索引・作者索引』(新文豐出版, 1999)(本体は『叢書集成三編』)でその他の輯本、叢書に収録されている『河圖括地象』を調べます。当館で所蔵していない叢書に含まれる『河圖括地象』を簡便に(洋装本で)今ここで見るためです。いずれの索引も『河圖括地象』の書名からは検索できず、『文淵閣四庫全書』、『叢書集成新編』は『古微書』で、『叢書集成續編』は『河圖緯』、『緯攟』で、『叢書集成三編』は『漢學堂知足齋叢書』の作者名黃奭から『通緯八十四種』を、『續修四庫全書』は『黃氏逸書考』の書名で検索できます。また『青照堂叢書』を東京本館で所蔵するほか (『叢書集成續編』にも収録)、『日本見藏中國叢書目初編』(杭州大学出版社, 1999)によれば『集緯』を京都大学図書館で所蔵、『武陵山人遺稿』の国内の所蔵は不明で『中國叢書廣録』(湖北人民出版社, 1999)によれば上海図書館で所蔵しているようです。

⑤あらためて「緯書」について『中国思想辞典』(研文出版, 1984)で調べると、前出の輯佚書に未収佚書を加えて整理、校勘した『重修緯書集成』(明徳出版社, 1971-1992)があることがわかります。NDL-OPACによればほかに『緯書』(明徳出版社, 1969)、『緯書と中国の神秘思想』(平河出版社, 1988)などがあり、『緯書』を見ると一部について読み下し文が掲載されています。なお『緯書と中国の神秘思想』の「現存緯書篇目一覧表」によれば『河圖括地象』はほかに『緯書』、『古書拾遺』に収録されています。『緯書』は内閣文庫所蔵、『古書拾遺』は『竹柏山房十五種』所収で『叢書集成三編』にも収録されています。

回答例.

『尚書緯;河圖;雒書』、『説郛三種』、『經義考』、『漢唐地理書鈔』、『漢學堂知足齋叢書』、『山右叢書初編』、『叢書集成新編』、『叢書集成續編』、『叢書集成三編』などに収録された『河圖括地象』のほか、緯書を整理、校勘した安居香山,中村璋八編『重修緯書集成』があります。また、一部ではありますが安居香山著『緯書』に読み下し文が掲載されています。
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