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中国の人名・別称を調べる(レファレンスツール紹介5): アジア情報室通報第4巻第4号

アジア情報室通報 第4巻第4号(2006年12月)
清水扶美子

中国では近代まで、本名のほかにも幼い時に呼び名として「幼名」をつけ,成人すると通称として「字」をつける習慣がありました。そのほか、作家によっては、複数のペンネームを時に応じて使い分ける場合があったり、著名人の多くは、趣味や副業に応じて号などの別称を持っていることがあります。今回は、中国の人名・別称を調べる際のツールを、質問例にそってご紹介します。(< >内は当館請求記号。)

質問例.「『竞业旬报』1906年第3期に掲載されている「说雨」の著者:期自胜生について知りたい。」

まずは、一般的な人名辞典を調べてみましょう。主なものを以下にご紹介します。

『中国历代人名大辞典』上海古籍出版社,1999
古代から辛亥革命までの中国の歴史上の人物約54,500人を、筆画順で収録しています。各項目の内容は、生没年・姓名異体字・出身地・別称・親族関係・経歴・主要学説・謚号・主要著作などです。巻末に四角号碼索引を付しています。

『中國人名大辭典』上海书店 ,1984
商務印書館1921年刊の影印本です。古代から清末までの人物約4万人を出生地・別称・経歴などと共に筆画順で収録しています。本編の後に補遺、付録として「姓氏考略」「異名表」、巻末に四角号碼索引を付しています。

『近代中国人名辞典』霞山会,1995
1840年から1949年までを中心に約1,100名の人物を収録しています。各項目の内容は、姓名のほか生没年月日・別称・出身地・人物類型など、排列は拼音順です。巻頭に拼音索引、五十音順索引を付しています。1件ごとの経歴・解説が比較的詳しい点が特徴的です。

『現代中国人名辞典』霞山会,1966-1995 <282.203-Ka976g>
1966年版,1972年版,1978年版,1982年版,1986年版,1995年版の6度にわたり出版されており、アジア情報室ではこのうち1972年版,1978年版,1986年版,1995年版を所蔵しています。刊行当時活躍している各界の著名人および一部の故人につき、民族・職業・経歴などを五十音順で収録しています。巻頭に五十音順索引と難解字・簡体字の字画索引、ウェード式拼音索引を付しています。


『中国人名大词典 历史人物卷』上海辞书出版社,1990
古代から1949年までの人物約14,000人を、生没年・出身地・経歴などと共に筆画順で収録しています。

『中国人名大词典 当代人物卷』上海辞书出版社,1992
中華人民共和国成立から1986年までの中央・地方の指導者、各分野の著名人など約17,970人を、生没年・経歴・顔写真などと共に筆画順に収録しています。巻末に拼音索引を付しています。

『民國人物大辭典』河北人民出版社,1991
1912年の中華民国成立から1949年の中華人民共和国成立までの民国時期の、政界・軍・経済界・科技文化教育分野・宗教界など各界の人物を筆画順で収録しています。各項目の内容は、生没年・別称・出身地・経歴・主要著作などです。

『实用中国名人辞典』吉林文史出版社,1988
古代から1919年の五四運動まで、歴代の人物を年代順に収録しています。巻末に筆画索引と拼音索引を付しています。

『中國近代名人圖鑑』天一出版社,1977
中国近代の人物100人を、その肖像と共に中国語と英語の解説を付して収録しています。巻末にアルファベット順索引(アルファベット表記の横に漢字表記あり)を付しています。

『中华当代文化名人大辞典』中国广播电视出版社,1992
1990年までの芸術・スポーツなど文化関連の人物約8,000人を分野ごとに大別し、各分野内は筆画順に排列して収録しています。項目の内容は、専門・民族・出身地・学歴・論著などです。巻末に筆画索引と拼音索引を付しています。

以上の人名辞典を調べてみましたが、「期自胜生」では見当たりませんでした。別称の可能性もあるので、次に別称辞典もいくつか調べてみます。

『中国人名异称大辞典』山西人民出版社,2002
古代から1949年までの人物約50,000人、異称約10万件を経歴などと共に筆画順で収録しています。収録対象の異称には、幼名・学名・筆名・小字・別字・封号・謚号などのほか、場合によっては官職なども含まれています。综合卷で人名から、検索巻の異称索引で異称から検索できるようになっています。

『20世紀中华人物名字号辞典』法律出版社,2000
政治・経済・軍事・外交など20世紀の各界の人物19,305人を、生没年・出身地・地位略歴などと共に収録しています。本名・字・号・筆名などのうち、通用名を項目として拼音順に排列しており、巻頭に筆画索引を付しています。

『中国近现代人物名号大辞典』浙江古籍出版社, 1993
1840年から1991年ころまでの各分野の著名人10,112人を、筆画順に収録しています。巻末に四角号碼検字の名号索引を付しており、本編の項目に挙がっている以外の名号から引くこともできます。本編の十二画のところには「期」で始まる名前は含まれていませんでしたが、名号索引で引いたところ「期自胜生 胡适」とありました。

『現代中国人物別称総覧』汲古書院,1986
この資料は1912年以降に死没した、あるいは現存している人物の別称を集めたもので、姓名(場合によっては筆名などの通用名)を五十音順に並べ、別名、字、筆名など細かく分類して掲載しています。巻末には筆画順の人物索引と別称索引、ローマ字別称索引がついており、本名、別称どちらからでも検索可能となっています。この資料によると、胡適の本名は「胡洪騂」で、「期自勝生(期自胜生)」のほか「鉄児」「蔵暉」「胡天」「蝶児」「HSC」など25種類ものペンネームを持っていたことがわかります。

念のため、『胡适研究论稿』(四川人民出版社,1985 )に含まれる「胡适年谱」で確認したところ、確かに1906年の箇所に『竞业旬报』に「说雨」という作品を発表したことが書かれています。

「期自胜生」=「胡適」であることが確認できたので、次にその事績を調べるため、文学関係の辞典を検索します。

『20世纪中文著作者笔名录』广西师范大学出版社,2002
この資料は、20世紀の中国内外の中文著作者(職業作家以外も含む)約15,000人とそのペンネーム約40,000件を拼音順に収録しています。本名、ペンネームいずれからも引くことができます。巻頭の頭文字拼音索引で「期」の拼音qiを探し、該当頁からさらに拼音順で「期自胜生」を検索すると、Hu,Shi胡适(1891-1962)とあります。

『中国文学大辞典』天津人民出版社,1991
古代から現代までの文学に関する、作家名・作品名・思潮・流派などの単語約33,000件を、筆画順で収録しています。1~8巻のうち第1巻が索引となっており、筆画順目録、分類索引、拼音索引で検索が可能です。「胡適」は第6巻に収録されており、その著作活動を中心に解説がなされています。

『中国现代文学词典』上海辞书出版社,1990
1986年までの現代文学に関する単語2,633件を、専門用語・流派・人物などに分類、各分類の中を年代順に排列して収録しています。巻頭に分類目録、巻末に「文学年表(1915-1986)」などの付録のほか、筆画索引が付されています。人物の項には、各項ごとに経歴のほか筆名と主要著作も収録されており、「胡適」の項の筆名欄には「期自胜生」も載っています。

『中国近代文学大辞典』黄山书社,1995
1840年のアヘン戦争から1919年の五四運動までの間の、作家名・作品名など文学関連の単語約4,500件を、筆画順で収録しています。作家についてはこの時期の著名な作家以外に、関連する政治家・思想家・画家や蔵書家、近代文学に深く関わりのある収録時期前後の作家なども含まれています。巻末には「中国近代文学大事记」のほか分類索引と拼音索引が付されています。「胡適」の項では、まず時系列でおおまかに経歴をたどったあと、その思想や主張が紹介・解説してあります。

さらに、最初に調べた各種人名辞典を「胡適」の名で再度検索してみました。『近代中国人名辞典』の「胡適」の項目には、誕生から死没まで見開き1ページ超におよぶ経歴・解説が付されています。『現代中国人名事典』のうち、1972年版には略歴のほか、著書が多めに挙げられています。『民國人物大辭典』では、生没年・別称などのほか、経歴が月レベルで時系列的に紹介されており、細かな動向を追いやすくなっています。『中华当代文化名人大辞典』では、「胡適」は哲学家・思想家として哲学に分類されています。

アジア情報室では、この他にもいろいろな分野・時代の人名・別称検索ツールを所蔵しています。また、AsiaLinks内の中国語圏主題別データベース(http://www.ndl.go.jp/jp/service/kansai/asia/link/east/link_chndb.html)にも、オンラインで検索可能な人物データベースを掲載していますので、こちらもご活用ください。

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