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中国の地名を調べるための辞典(レファレンスツール紹介 9) : アジア情報室通報第5巻第4号

アジア情報室通報 第5巻第4号(2007年12月)
湯野基生

今回は当館所蔵のレファレンスツールのうち、中国の地名を調べるための主な辞典類について、それにより調べることのできる主対象ごとに分類してご紹介します。以下の< >内は当館請求記号で、引用するウェブサイトの最終接続日は2007年11月16日です。

1.現代中国・台湾の地名

1949年以後の現代中国の地名について、位置関係、設置や改廃などの沿革、人口、面積といった詳細な情報を知る場合には、以下の辞典が役に立ちます。

[中国語]

(1)崔乃夫主编『中华人民共和国地名大词典』(商务印书馆、1998-2002、東京本館、関西館)
現代中国の地名についての最も網羅的で詳細な辞典です。郷・鎮以上の行政区、経済・科学技術開発区、山川湖沼などの自然地形・自然保護区、鉄道、空港、高等教育機関、各種文化施設、鉱工業企業、農林水産施設、名勝、文化財保護区など、計180,000項目を収録しています。情報は1994年末現在のものですが、解説は人口、面積、経緯度、沿革、地形、気候、物産、産業などにわたっています。なお、商务印书馆の「工具书在线」
http://www.refbook.com.cn/index.jsp外部サイトへのリンク
に本書のデータが収録されており、項目を検索できます。

(2)戴均良[他]主编『中国古今地名大词典』(上海辞书出版社、2005、関西館)
収録項目数は60,000余りですが、収録情報は(1)よりも新しく(県以上は2004年、鎮は2002年現在)、かつ1912年以前の行政区名、1912-2004年の間に存在した旧行政区名、古地名も立項しており、歴史地名辞典としても使えるのが特長です。

(3)陳正祥著『臺灣地名辭典 : 附臺灣的地名』(南天書局、1993、関西館)
初版は1960年刊で、情報は少し古いですが、収録地名数は6,368で、台湾の郷・鎮に至る全行政区名、重要な古地名・村落名、山川、港湾、温泉などを収録しています。説明もウェード式表記、経緯度、位置関係のほか、行政区や村落名の場合はその沿革、庁舎所在地、人口、面積などにも及んでいます。

その他、当館で所蔵するこの種の辞典類としては、牛汝辰主编『新世纪中国市县全览』(人民日报出版社、 2002、関西館)などがあります。

[日本語]

日本語で書かれた辞典は、記載情報の詳細さ、新しさの点で中国語による辞典に劣りますが、以下のものが挙げられます。

(4)塩英哲編訳『精選中国地名辞典』(凌雲出版、1983、東京本館、関西館)
解説は主に劉鈞仁著『中国地名大辞典』(国立北平研究院出版部、1930、東京本館<292.2034-R85t>)に拠り、歴史的沿革に詳しく、古地名も多く収録しています。

(5)和泉新編『現代中国地名辞典』(学習研究社、1981、東京本館、関西館)
記載内容は経緯度、沿革のほか、行政区名には特産物、主要な鉱工業などの情報を含んでいます。旧地名は近50年に限り収録しています。

(6)張治国監修『最新中国地名辞典』(日外アソシエーツ、1994、東京本館、関西館)
(4)(5)に比して新しい(1989-93年)情報に基づいている点と、行政地名、自然地名のほか、産業地名(鉄道・発電所・油田・ホテルなど)、名勝地名を項目の柱としている点が特色です。旧地名は収録していません。

2.名所旧跡

有名な寺社、庭園から革命記念史跡までを含む観光名所を調べる場合に有用です。中国語については、(1)などにより、名勝や記念地も詳しく調べることができるので、以下では日本語のものを紹介しておきます。

(7)中国国家文物事業管理局編『中国名勝旧跡事典』(ペリカン社、1986-89、東京本館、関西館)
同局編『中国名胜词典』(上海辞书出版社、1981)の全訳で、各市・県について、山川・湖沼、宮殿・庭園、寺社・楼閣などの各種名勝計4,600を収録しています。

3.地名録

地名について、英文表記(拼音表記、ウェード式表記)や所在(所属の省・市)を確認したり、地名を一覧するには、以下のような地名録に類するものが便利です。

[中国語]

(8)中国地名委员会编『中华人民共和国地名录』(中国社会科学出版社、1994、東京本館、関西館)
郷・鎮以上の行政区名、各級人民政府所在地を中心とする集落名、山川・砂漠などの自然地理名、および名勝、各種建造物などの名称を含む地名約100,000項目について、漢字と拼音表記、所属の省・県市を収録しています。

(9)民政部行政区划处编『全国乡镇地名录』(测绘出版社、1986、関西館)
(8)が拼音順に排列されているのに対し、こちらは行政区画順に排列されており、各県に所属する郷・鎮を一覧することができます。

[日本語]

(10)外務省情報部編『中国地名辞典 : 英中・日中対照』原書房、1985(東京本館、関西館)
『支那地名集成』日本外事協会、1940(東京本館<696-116ロ>)の改題複製版です。外モンゴル、チベットなどを含み、台湾、旧満洲を除く地域の地名約15,000項目を収録しています。地名のウェード式表記、漢字表記、当時の位置関係を知ることができます。

(11)竹之内安巳著『英漢対照中国地名辞典』(鹿児島短期大学附属南日本文化研究所、1978-79、東京本館)
記載情報はウェード式表記、漢字表記、所在(省名)のみですが、古今の県、鎮、郷、村、山川湖沼など33,000項目を収録しています。

4.歴史地名

1949年以前の中国に存在した地名について、その沿革や、現在のどの地域にあたるのか、といった事項を知るには、以下の辞典が有用です。

[中国語]

中国語では、臧勵龢等編『中國古今地名大辭典』(商務印書館香港分館、1931、関西館)、劉鈞仁原著、塩英哲編著『中国歴史地名大辞典』凌雲書房、1980(東京本館、関西館)などの古典的なものに加え、比較的新しいものに以下のものがあります。

(12)史为乐主编、邓自欣、朱玲玲副主编『中国历史地名大辞典』(中國社会科学出版社、2005、関西館)
収録項目数は70,000ですが、年号に西暦を付す、行政区の統属関係を示す、一部項目に史料を引用するなどの点で、類書に比してより詳細な記載になっています。

(13)魏嵩山主编『中国历史地名大辞典』(广东教育出版社、1995、関西館)
記載情報は沿革と1990年現在の位置を示すのみですが、市場町・村落、寺社・楼閣、駅站なども含む約90,000項目を収録しています。

(14)CHGIS(中国历史地理信息系统)
http://yugong.fudan.edu.cn/Ichg/Chgis_Search_Form.asp外部サイトへのリンク (中文版)
http://www.fas.harvard.edu/~chgis/外部サイトへのリンク (英文版)
ハーバード大学と復旦大学が共同作成した歴史地図データベースです。地名検索機能(「地名查询」)があり、主に中国東南部の県以上の地名について、沿革、位置、管轄行政区などの情報を調べることができます。

[日本語]

(15)星斌夫著『中国地名辞典: 増補版』(国書刊行会、1986、東京本館)
地名について人口、物産、経済状況など日中戦争当時の状況を解説した辞典ですが、行政区名には設置以来の沿革を解説し、歴史事件に叙述の重点を据えています。巻末の総索引により、立項されない古地名や別名も調べられるため、歴史地名辞典としても有用です。

(16)青山定雄編『読史方輿紀要索引・中国歴代地名要覧』(省心書房、1974、東京本館)
同編『支那歴代地名要覧: 読史方輿紀要索引』(東方文化学院東京研究所、1933、東京本館<638-79>)の四訂版です。歴代王朝の行政区、山川、寺社などの地名を解説する顧祖禹(1631-1692)著『読史方輿紀要』の索引で、『読史方輿紀要』の対応巻数、1931年当時の対応地名などを記しています。

5.古典詩詞の地名

(17)魏嵩山主编『中国古典诗词地名词典』(江西教育出版社、1989、関西館)
古典詩詞にみえる地名(自然地形・建築物などを含む)18,000項目余りを収録しています。現在の所在地に加えて、典拠となる詩句を明示している点が特長です。

6.地名の由来

(18)贾文毓、李引主编『中國地名辭源』(華夏出版社、2005、関西館)
行政区名、自然地名など11,477項目について、位置と地名の由来を解説しています。巻末の「中国地名雅称集釈」、「中国地名通名集釈」により、地名の美称・別称や、地名を構成する字句の意味を調べることができます。類書に牛汝辰主编『中国地名由来詞典』(中央民族大学出版社、1999、関西館)があります。

なお、旧満洲の地名については、当館ホームページ「テーマ別調べ方案内」の「旧満州の地名・地図」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/theme/asia/theme_asia_34.html
をご覧ください。

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