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平成20年度アジア情報関係機関懇談会概要報告:アジア情報室通報 第7巻第1号

アジア情報室通報 第7巻第1号(2009年3月)
清水扶美子

平成21年2月19日(木)に国立国会図書館関西館においてアジア情報関係機関との懇談会を実施した。報告の概要を以下に紹介する。

1.地域研究コンソーシアム報告

「東南アジア逐次刊行物プロジェクトについて」(京都大学東南アジア研究所:北村由美氏)

国内の各機関が所蔵するアジア言語を含めた諸言語雑誌の所蔵情報は、データベースへの遡及入力が進んでいないことから把握が難しく、気がつけば重要な雑誌が国内のどの機関でも継続入手されていなかった、ということが起こりうる。重要な雑誌を国内で確保するためには、所蔵情報の共有とそれを実行するためのネットワークが必要である。地域研究コンソーシアムによって立ち上げられた東南アジア逐次刊行物プロジェクトは、東南アジア地域研究に必要不可欠な雑誌(コア・ジャーナル)を選択し、国内の所蔵状況を調査したうえでその情報を公開することを目的としている。

活動内容としては、まず2008年1月にインドネシア・タイ・シンガポールにおいて、現地で重要視されている雑誌や、書誌情報と現物の共有化についての調査を実施した。この調査報告は、『アジア情報室通報』第6巻第2号(2008.6)1、第3号(2008.9)2および『専門図書館』No.231(2008.9)3に掲載されている。続いて、現地調査を行った3国の主要図書館の所蔵雑誌のほか、国立国会図書館、日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館、京都大学東南アジア研究所の所蔵諸言語・英文雑誌をリスト化し、プロジェクトメンバー館(7機関)の司書と研究者によってリストアップされた雑誌からコア・ジャーナルを選定した。さらに、事前に協力の承認を得た31機関を対象に、2008年11月に選定したコア・ジャーナルの所蔵確認のアンケートを行った。
現在、これをもとに、東南アジア関係逐次刊行物の冊子目録およびオンラインデータベースを作成しており、冊子目録は2009年3月末に完成予定である。この目録・データベースを、将来的には分担収集体制を検討するための土台としていきたい。そのほか、国内関連学術雑誌の所蔵情報マッピング、オンラインデータベースの公開、今回対象としなかった統計・新聞・官報などについての情報収集・発信を今後行っていくことを検討している。

2.参加機関からの報告

参加機関は以下の11機関である。(五十音順)

アジア図書館、大阪大学附属図書館箕面分館、大阪府立中央図書館、九州大学附属図書館、京都大学人文科学研究所、京都大学東南アジア研究所、国際交流基金関西国際センター、東京大学東洋文化研究所、東京外国語大学附属図書館、東京都立中央図書館、日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館

大阪府立中央図書館からは、上海図書館との交流事業「上海の窓」についての報告があった。国際交流基金関西国際センターからは、日本とインドネシアとのEPA(経済連携協定)に基づいて行ったインドネシア人介護福祉士候補者への日本語研修についての報告があった。東京外国語大学附属図書館からは、同大学の学術雑誌論文や紀要論文などの研究・教育成果、電子化された史資料コンテンツなどを掲載した機関リポジトリ「東京外国語大学学術成果コレクション:Prometheus-Academic Collections」について紹介があった。東京大学東洋文化研究所からは、全文データベース「漢籍善本全文影像資料庫」のコンテンツ追加とそれに伴う劣化調査・資料補修についての報告があった。日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館からは、19年度より新たに3つのデータベースを公開するなど電子図書館機能の強化について、またブックキーパー法による中国語図書の脱酸処理など劣化資料対策についての報告があった。そのほか、各機関から資料収集や目録作成、交流事業などの活動報告が行われた。

3.当館からの報告

当館主題情報部からは、東京本館におけるアジア関係の利用者サービスについて、平成21年度から開始されるナレッジ提供サービス「リサーチ・ナビ」も含めた紹介を行った。支部東洋文庫からは、当館と財団法人東洋文庫との間の支部契約の解消および東洋文庫新本館の建設についての報告を行った。関西館電子図書館課からはデジタル事業に関して、日中韓それぞれの国立図書館における概況や、2008年10月に行われた三国協議までの経緯、今後の三国連携の進め方について報告を行った。関西館アジア情報課からは、アジア言語OPACの搭載言語の拡充など情報発信事業のほか、韓国の総合学術データベースKISSの提供開始についての報告を行った。また、2008年10月~2009年1月に在外研究に派遣されたアジア情報課職員からは、中国国家図書館の近況について、新館の概要や、電子資料も含む所蔵資料の提供方法などを、写真を交えて紹介した。

4.おわりに

第8回目を迎えた今回は、この懇談会を共通の課題解決に向けた協力体制へと発展させられないかという意見が出された。また、劣化資料の脱酸処理方法や、来館利用者の減少とデジタル化の関係など、各機関間の具体的な情報交換も活発に行われ、有意義な意見交換の場となった。また、当館に対しては、アジア言語の雑誌・新聞を集中的に収集するなど、国立図書館としての当館のアジア言語資料のさらなる充実を求める意見が寄せられた。

参加いただいた各機関には、この場を借りて改めてお礼を申し上げる。


  • 1. pp.2-6 小笠原綾「タイの出版、書店、図書館、日本関係機関―出張報告」
  • 2. pp.4-7 小笠原綾「インドネシアの出版、書店、図書館―出張報告」
  • 3. pp.27-34 北村由美、青柳英治、小笠原綾「東南アジアにおける学術情報の共有化―現状と今後の可能性―」
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