トップアジア諸国の情報をさがす刊行物>平成21年度アジア情報関係機関懇談会概要報告: アジア情報室通報 第8巻第1号

平成21年度アジア情報関係機関懇談会概要報告: アジア情報室通報 第8巻第1号

アジア情報室通報 第8巻第1号(2010年3月)
阿部 健太郎

平成22年2月24日(水)に国立国会図書館関西館においてアジア情報関係機関との懇談会を実施した。第9回目を迎えた今回は、「利用者サービス」をテーマに報告及び懇談を行った。概要を以下に紹介する。

1 当館からの報告

まず当館から、利用者サービスの現状と今後の方向性について、また昨年度の第8回で報告した日中韓の国立図書館のデジタルアーカイブ連携に関する今年度の動向について、報告した。

「アジア情報に関する国立国会図書館の利用者サービスの現状と今後の方向性」

関西館アジア情報室は国立国会図書館のアジア情報サービスの中心であるが、資料やレファレンス部門の分散配置のため十分なレファレンスサービスを提供できていない。第5回の懇談会ではサービス向上のための今後の取り組みについて報告したが、引き続き課題として利用者数の増加や利用者ニーズの開拓など利用拡大をはかっていきたい。

今後の方向性としては、利用拡大の一環として情報発信を強化し、遠隔サービスの拡充をおこなう。AsiaLinks、アジア情報機関ダイレクトリー、調べ方案内をはじめとする「リサーチ・ナビ」のコンテンツの充実をはかり、また平成24年1月の次期基盤システム稼動を機に、NDL-OPACとアジア言語OPACを統合して書誌情報提供体制の整備と迅速化をはかる。東京本館と関西館間の取り寄せや図書館間貸出については、対象資料を拡大して、所蔵資料の利用を拡大することも検討している。また、アジア情報研修の再編や講師派遣型研修・ガイダンス(来館・出張)の拡充など、研修機能を強化することで利用者数の増加につなげたい。

「日中韓国立図書館デジタルアーカイブ連携について」

今年度は、メタデータ標準の整備状況や通信プロトコルの実装状況、保存システムの開発状況など、デジタル事業に係る各館の状況を調査した。また、韓国が2009年3月に図書館法及び著作権法を改正して国立中央図書館によるオンライン資料の収集を制度化したこと、及び日本が同7月に国立国会図書館法及び著作権法を改正して国立国会図書館によるインターネット資料の収集を制度化したことに関して、法整備に係る情報交換をおこなった。さらに、同8月、IFLAミラノ大会の折に韓国国立中央図書館から提案のあった三館の統合デジタル情報ポータル「アジアの目(仮称)」構築プロジェクトについて、三国の具体的な連携内容を中心に、意見交換をおこなった。

2 参加機関からの報告

参加機関は以下の12機関である。(五十音順)

アジア図書館、大阪大学外国学図書館、九州大学附属図書館、京都大学人文科学研究所、京都大学地域研究統合情報センター、慶應義塾大学メディアセンター本部、国際交流基金関西国際センター、東京外国語大学附属図書館、東京大学東洋文化研究所、東京都立中央図書館、東洋文庫、日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館

京都大学人文科学研究所からは、全国漢籍データベースについて、作成の経緯やレコード数、作成中の全文画像データベースなどの紹介があった。京都大学地域研究統合情報センターからは、フィールド調査資料や写真などの保存と公開のモデルを作成する「地域研究のアーカイブ化」についての報告があった。慶應義塾大学メディアセンターからは、この3月末の新図書館システムの導入により、重みづけによるGoogleライクな検索結果の表示や多言語対応が可能となる旨報告があった。国際交流基金関西国際センターからは、2009年10月のOPACのバージョンアップにより、OPAC上で所蔵図書の表紙や3段ラベルの画像を表示できるようになり、好評を得ているとの報告があった。日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館からは、「アジア動向データベース」や「近現代アジアのなかの日本」など、出版物及び所蔵貴重資料の全文情報等のデジタルアーカイブについて紹介があった。

その他各機関から、利用者サービスの紹介を中心に、今年度の活動状況の報告がおこなわれた。

3 質疑応答・意見交換

新聞の保存に関して、保存年数や、廃棄する前にマイクロ化を実施するかどうか、どの新聞を優先的に保存していくか、その優先順位付けの基準などについて、各機関の情報共有がはかられた。

また、デジタル化した資料の著作権・肖像権の処理について、公開の際に問題が生じていることが報告され、その解決方法に関して、意見が交換された。

その他、選書の基準や効果的な広報の方法などに関して、質疑応答や意見交換がなされた。

おわりに

各機関は、公共図書館や大学図書館、研究図書館など、その目的・使命が異なり、また利用者サービスがアジアに特化しているか否かも各機関によって異なり、なされているサービス、抱えている問題は機関ごとにさまざまであった。

多言語資料の収集・整理・提供について、資料の性格や予算の制約もあり、十分な体制を整備できていない現状について報告する機関も見られた。

各機関とも、予算・人員の削減、書庫の狭隘化など、厳しい状況下にあり、各機関の連携・協力体制を模索して活発な議論がなされた。

参加いただいた各機関には、この場を借りて改めてお礼を申し上げる。

  • 国立国会図書館
  • NDL-OPAC 国立国会図書館蔵書検索・申込システム
  • 国立国会図書館サーチ
  • 国立国会図書館デジタルコレクション
  • ひなぎく
  • レファレンス協同データベース
  • 本の万華鏡