国内戦場化に伴う食糧対策に関する件

昭和20年7月10日 閣議決定

収載資料:農林行政史 第6巻 農林大臣官房総務課編 農林協会 1972 p.543 当館請求記号:611.1-N955n4
一、国内戦場化に対処し、地域的自立性促進を根本方針とし、国の総力をあげるため、戦時農業団を中核として編成されつつある農村国民義勇隊たる農村隊の積極的実践活動の推進により食糧の確保をはかる。
一、食糧の管理は自給を建前として地域毎の需給関係を確立し、このため食糧の絶対量を増すため満洲雑穀の取得に努めるとともに、麦、馬鈴薯の供出徹底、甘藷早掘、大豆増産、早場米供出など主要食糧の管理面を拡張する。
一、食糧生産に関し土地の使用、農耕方法、労務等に関する部落農業団体の統制強化。
一、食糧の消費規正のため都市農村を通じ、低位勤労者の消費を規正するとともに、軍民需食糧の調整、アルコールなど主食以外の用途を極力抑制する。
一、帰農対策とも関連して食糧供給力に応じた人口疎開を行う。
一、蔬菜など副食品に関しては、蔬菜の作付計画は地域的自給をめざし、特に消費者の自給を促進するとともに貯蔵性のあるものや乾燥加工品などを中央で収売する。また、味噌・醤油は県内自給をめざし、原料配給を大工場から地方工場に移すほか、代用原料の利用を促進する。
一、水産物の確保のため漁業権や地方の慣行よりも漁業の種類や規模に応じた経営方式をとらせ、哨戒任務を果しつつ、漁撈する如き半戦半漁態勢を確立する。