独禁法に関する恒久的制度準備の件

昭和21年11月3日 閣議決定

収載資料:資料戦後二十年史 2 経済 有沢広巳・稲葉修三編 日本評論社 1966 pp.105-106 当館請求記号:210.76-Si569

新憲法下に於ける経済秩序の一環として、昭和20年11月6日附指令の趣旨に従い、従来の企業結合の解体、公正なる競争を抑制する取極の排除及び経済上好ましからざる人物の排除と相並んで、経済民主化に関する措置を充実し、以てポツダム宣言の趣旨に遵い国際的信用を確立すると共に我国経済の円滑なる運営を期する為、左記により、私的独占を禁止し公正なる競争を促進する為の恒久的制度を設ける。

1.独占禁止法(仮称)の制度
前記指令の趣旨に則り、我国経済の特質を省察しつつ私的独占を禁止し公正なる競争を促進する為の恒久的立法(独占禁止法と仮称する)を次期通常議会に提案を目途として準備する。
(注)従来の企業結合の解体、公正なる競争を抑制する取極の排除及び経済上好ましからざる人物の排除は、原則としてそれぞれの指令に基く勅令により措置し、本法は専ら将来に於ける私的独占の再現及び公正なる競争の阻礙を防止する基本法たらしめる。
2.独占禁止準備調査会の設置
独占禁止法案の民主的な立案を図る為、独占禁止準備調査会を設置する。
(一)本調査会の委員は全員議員から成る持株会社整理監査委員会委員と同一人を以て之に充てる。
(二)必要に応じ学識経験者等の意見を聴取する。
(三)審議内容は議会に報告すると共に公表するものとする。

入力者注:閣議種類は公文書目録検索サブシステム、「閣議及び事務次官等会議付議事項の件名等目録」により修正した。