賠償事務の実施要領に関する件

昭和21年12月10日 閣議決定

収載資料:森戸辰男関係文書 片山・芦田政権下「閣議」関係文書 マイクロ版集成 Reel No.9 169-170 当館請求記号:憲政資料室

賠償事務の実施に当り連合国側との連絡、連合国側より与えられるべき各般の指示の受領及びこれが関係方面への連絡並びにこれに伴う賠償施設撤去作業の各部面における基本的事項の処理については概ね左によることとしこれが円滑なる実行を期することと
一、賠償事務実施の中核機構とその運営
賠償事務の実施に関する連合国側との連絡及び連合国側の各般の指示は中央、地方共終戦連絡事務局を通じ行われることとなるが、これが処理は能う限り統一的且つ整然迅速に実施する必要があるから左により処置することとする
(一)賠償事務の遂行に関れんする基本的事項については中央において賠償協議会の議に諮り且つ所要に応じ経済安定本部と連絡してこれを決定すること
(二)中央において決定を見た基本的事項については速に終戦連絡中央事務局賠償部長より終戦連絡地方事務局に移牒すると共に関係各省に通報し当該関係各省よりその出先機関に通牒すること
(三)連合国側の指示乃至意向並びに中央決定事項等の賠償事務関係官庁への迅速なる連絡及びこれが徹底につき遺憾なきを期し且つこれが実施の確保に資するため終戦連絡地方事務局機構を整備すること
前項終戦連絡地方事務局の整備に当つては能う限り本年九月六日の閣議決定の趣旨に添う様配意することとし関係官庁特に都道府県庁との事務調整、要員の相互兼任等に留意すること
(四)前項の措置と併行して地方における賠償事務関係官庁間の連絡を緊密ならしめるため概ね中央における賠償協議会の組織に則つて地方行政事務局並びに主要都道府県に夫々地方賠償協議会、都道府県賠償協議会を設くること
地方賠償協議会、都道府県賠償協議会の会長は夫々当該地方行政事務局長官及び当該都道府県の長官とし副会長は原則として当該地区を連絡担当区域とする終戦連絡地方事務局長とすること
(五)地方における賠償事務の主要事項の決定又は実施に関する諸問題についてわその事例に応じ夫々地方賠償協議会、都道府県賠償協議会の議を経ることとすること
右諸事項の処理についてわその概要を終戦連絡中央事務局へ報告せしむること
第二、項以下略