企業再建整備法における在外資産及び在外負債の取扱に関する件

昭和22年4月18日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第17巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1981 pp.831-832 当館請求記号:DG15-19

一、企業再建整備法による特別損失を処理するに当つては、特別損失を負担して打切られる旧債権のうちから、当該会社にとって在外負債となる債権を除外する。
二、特別損失の計算には、指定時現在における貸借対照表の資産の部に在外資産を、負債の部に在外負債を両建として計上してゐる場合に在外資産が在外負債を超えるときは、その差額を零とし、資産の部に差引尻のみを在外資産として計上してゐる場合には、その計上額を零と評価する。
三、在外負債が在外資産を超過してゐる場合には、その差額に相当する金額は、特別損失を填補せしめず、特別勘定として整理し、政府の許可を受けなければ、その取崩しをすることができないものとする。
四、前号の場合において、将来在外負債超過額の取立のないこととなつたこと等により、企業に利益を生ずるに至つた場合において、特別損失を負担して打切られた旧債権者に割戻し尚残額があるときは、国庫に帰属せしめる等の措置を講ずる。
五、以上の場合におげる在外負債は、左に掲げるものとする。
(一)外国(主務大臣の指定する地域を含む。以下同じ。)に居住する者又は外国に本店若しくは主たる事務所のある法人の特別経理株式会社に対する債権。但し、内地(主務大臣の指定する地域を除く。)にある支店に係るものを除く。
(二)外国を履行地とする特別経理株式会社に対する債権
(三)当該債権の債権者について会社経理応急措置法施行令第二十五条第九号の規定により在外資産となる債権
尚在外資産の定義については会社経理応急措置法施行令第二十五条による。
六、以上の場合において在外資産及び在外負債に関しては、何れも指定時の貸借対照表に計上されたものについて、その記帳価額によつて計算するものとする。
七、本件は特別経理会社の在外資産負債の処理であつて金融機関の在外資産負債については別に定めるところによるものとする。
(本件は連合国最高司令部経済科学部担当官との会議において打合せ済みである。)