農地調整法の一部を改正する法律案要綱(追加)

昭和22年8月18日 閣議決定

収載資料:農地改革資料集成 第3巻 農地改革資料編纂委員会編 農政調査会 1975 pp.237-238 当館請求記号:DM125-17

耕作者が自家用の薪炭原料を採取する薪炭林、自家用の肥料飼料用の草及び若しくは落葉を採取する採草地、及び耕作者が耕作に附随して家畜の生産、飼育のために放牧する放牧地は農地と一体となって農業経営の基礎をなすものであるから、左記の方法によつて使用料の統制、使用権の保護及び使用権の設定を行うものとする。

一 市町村農地委員会は森林組合又は牧野組合と協議し、都道府県知事の認可を受けて、市町村の区域にある薪炭林、採草地又は放牧地の使用料の統制を行い、又物納制を廃止することができる。(第十四条ノ二及四)
二 薪炭林、採草地又は放牧地の返還は農地と同様、市町村農地委員会の承認(当分の間は都道府県知事の許可)か必要である。(第十五条ノ八)
三 耕作者又は団体は、市町村農地委員会の承認を受けて薪炭林、採草地又は放牧地の所有者(政府を除く)その他の権利者に使用権設定の協議を求めることができる。
協議不成立のときは、市町村農地委員会は申請により協議に代るべき裁定を行うことができる。市町村農地委員会は右の承認をする際は当事者、森林組合、都道府県開拓委員会その他関係者の意見を聞かねばならず、関係者は裁定に対し都道府県知事に訴願を提起することもできる。(第十四条ノ九、第十四条ノ十及第十四条ノ十四)
四 薪炭林、採草地又は放牧地の使用権の設定は、開拓適地として農林大臣の指定する地域には及ばないし、その他の地域でも原木について使用権を設定するのは、山林保護の見地から極めて制限される。(第十四条ノ一)
都道府県に都道府県農地委員会、開拓委員会、森林組合連合会その他関係者を以て組織する薪炭林等委員会を設置し都道府県知事の諮問機関とする。(第十四条ノ二)