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農業生産の調整および主要食糧の供出制度要綱

収載資料:食糧管理史 V 制度篇 各論(上) 食糧庁食糧管理史編纂室・統計研究会食糧管理史研究会編 統計研究会 1958 pp.343-347 当館請求記号:611.31-Sy9576s-T
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農業生産の調整および主要食糧の供出制度要綱
昭和22年8月26日 閣議決定

経済緊急対策に基き主要農産物の生産および主要食糧の供出を確保し、食糧の需給に遺憾のないようにすると共に、農業経営の健全な発達を図るため、民主的且つ合理的な方法によつて計画的に農業生産の調整を行い、これと連繋させて広く主要食糧の供出制度を根本的に改善する。
第一 農業生産の調整
一 生産割当制の実施
(一)米麦、いも類等主要農産物につき、作付面積および生産予定数量についての生産計画を定め、これに基いて生産の割当を実施する。
右生産計画は内外の食糧の需給事情および肥料その他の主要生産資材の状況を勘案すると共に農家の自主制を尊重し、実情に即して合理的に最大の総合生産力をあげるようにこれを定める。
(二)農林大臣は、経済安定本部総裁の定めるところに従い中央農業調整委員会の審議を経て知事と協議の上都道府県別に生産計画を定め、これを知事に指示する。
農林大臣は、右の協議が調わないときは、中央農業調整委員会の再審議を経てこれを定めて指示する。
(三)知事は、(二)による農林大臣の指示に従い都道府県農業調整委員会の議決を経て市町村別に生産計画を定め、これを市町村長に指示する。
知事は右生産計画案を委員会の議に附する前にこれを公表する。
(四)市町村長は(三)による知事の指示に従い市町村農業調整委員会の定める農家別の生産計画により各農家に生産の割当をする。
生産の割当を受けた農家は、その割当に基いて生産を行う責任をもつものとする。
(五)農家別の生産計画は農家が申し出た自主的計画並びに耕地面積、地味、作付および生産の実績、作物の組み合せ、労力その他の事情を勘案して、これを決定する。
(六)農家別の生産計画はこれを公表し、且つこれに異議の申立を認める。
(七)(六)による異議の申立の結果市町村長は、知事より指示を受けた市町村別生産計画の実施が困難であると認めるときは、予め知事の承認を得てこれを補正することができるようにする。
右の結果知事は、都道府県別生産計画による作付面積および生産予定数量の一定限度以上を変更する必要があるときは予め農林大臣の承認を要するものとする。
(八) 生産の割当は原則として毎年二回これを行う。
二 農業用資材の割当
(一)肥料は生産計画が決定されるときこれと同時に別に定める基準量に基きその割当計画を定め、農家別にその生産割当と結びつけてこれを割当てる。
(二)肥料の割当方法は農産物の生産割当方法に準じて取り扱う。
(三)肥料以外の農業用資材の割当についても生産計画を参酌してこれを定める。
(四)農家が生産割当を受けた面積について作付をしないときは、その者に対する肥料等の割当数量を変更しまたはこれを返還させることかできるようにする。
三 その他の生産確保に関する措置
(一)農業生産上の障害の排除および生産の増進のため必要がある場合には、市町村農業調整委員会に病虫害の駆除、予防、水利の調整等に関し指示する権限を附与する。
(二)農林大臣または知事は農業生産調整上必要がある場合には、地域作物等を指定して当該農産物を作付しようとする者をして予め市町村農業調整委員会の承認を受けさせることができるようにする。
第二 主要食糧の供出
一 生産割当と連繋する供出割当制の実施
(一)米麦、いも類等の主要食糧農産物は生産計画を基準としてその生産予定数量から別に定める基準により自家保有量を控除した数量を供出責任数量として、生産割当と同時にこれを割当てる。
前項の供出責任数量の割当方法は生産割当の方法に準ずる。
(二)実収量が災害その他真にやむを得ない理由により生産予定数量より著しく減少した場合は、市町村農業調整委員会においてその事実を確認した上供出責任数量を補正することができるようにする。
右による補正の結果市町村の供出責任量の総計が(一)によつて割り当てられた供出責任数量の総計より一定限度以上減少する場合には、市町村長は知事の承認を受けることを要する。
その結果都道府県の供出数量の総計が(一)によつて割り当てられた供出責任数量の総計より減少する場合には知事は農林大臣の承認を受けることを要する。
(三)実収量が生産予定数量を超えた場合において(一)によつて割り当てられた供出責任数量を超えて主要食糧農産物を売り渡す相手方はこれを政府に限るものとし、その超過売渡分に対しては報奨金および報奨物資につき特別の取扱をする。
政府は右の特別の取扱による超過売渡分の買入と供出責任数量に達するまで供出しない農家に対して関係法規を厳格に適用することにより供出責任数量の総計の確保を期する。
二 総合供出制の改善
(一)供出割当は生産割当と同時に原則として毎年二回これを行い毎回の供出割当の対象である主要食糧農産物の相互間においてできるだけ代替供出を認める。
(二)代替の範囲、限度および比率は増産に資し供出を有効ならしめるように合理的な改善を行い、生産割当と同時に行われる供出割当の際に予め決定する。
但し米および麦については食糧および加工貯蔵施設等の状況に鑑み代替の程度を限定する。
三 その他の供出確保に関する措置
(一)米単作地帯の米単作農家の供出を確保するため二毛作地帯の農家との経済的な均衡を図り肥料その他の農業用資材および報奨物資について特別の取扱をする。
(二)米の供出については従来飼料用保有を認めていないのを改善し、米単作農家の飼養する牛馬につき一定量の飼料用米を割り当てこれに代るべき飼料を配給して飼料用割当米はこれを供出する。
(三)十月三十一日までの米の供出に対して早期供出奨励金を交付することにより実質的に米単作地帯の農家の経済に資せしめる。
(四)農家の飯用保有については現行基準を維持するも農繁期における農業雇傭労務者に対し必要な加配をする。
(五)肥料の割当は予め作付割当面積に対してこれを行うも別に定める基準に従い供出成績にリンクして肥料の迫加割当を為し又は次期における生産割当と結びつけて割り当てられる肥料の割当数量を削減すること等ができるようにする。
(六)その他の農家用品の割当および配給についても供出を促進し、これを確保するように改善した措置をとる。
第三 実施機構の民主化
一 市町村および都道府県にそれぞれ市町村農業調整委員会および都道府県農業調整委員会を置く。
委員は農業者の中から公選することとし、外に学識経験者の中から一定数を限り委員を選任することができることとする。
委員会は農業生産計画、農業用資材の割当および配給計画、主要食糧農産物の供出割当計画の決定およびその実行の指導等に関する事項を総合的に処理するほか行政庁に建議しまたは農業団体の協力を求めることができる。
二 市町村農業調整委員会には農業生産計画の樹立およびその実行に当る専任職員を設置する。
三 農林省に中央農業調整委員会を置き農業生産の調整および主要食糧の管理の実施に関する重要事項を審議させる。
備考
一 この要綱による措置を実施するため臨時農業生産調整法の制定および食糧管理関係法令の改正を行い必要な罰則の規定を設ける。
二 この要綱による措置を実施するため、必要な経費を国庫において負担する。
三 この要綱による農業生産の調整および主要食糧農産物の供出割当は二十三年の春夏作から行うも、二十二年産米、甘藷および馬鈴薯の供出および二十二年作付の麦作にもできるだけこの要綱による措置に準じて取り扱う。
四 耕地面積および収穫量等を更に正確に把握するため必要な措置を講ずる。

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