労働争議の平和解決について

昭和22年9月30日 閣議決定

収載資料:内閣制度百年史 下 内閣制度百年史編纂委員会 内閣官房 1985.12 p.311 当館請求記号:AZ-332-17

現下の危機を突破し、産業の復興を図るためには、他の各種施策と相俟つて、労働争議の平和解決がどうしても必要である。因つてこの際差当り左の措置を講ずるものとする。
一、労働委員会の機能昂揚
争議の早期平和解決は主として、労働委員会の適正な積極的機能昂揚に期待するものとし、このため委員会の独自性を尊重しつつ次の措置を講ずること。
1 行政庁は委員会との連繋を緊密にし労働紛争議等に関する状況の連絡に欠くることのないやうにすること。
2 争議の斡旋、調停、仲裁及調査組合法及び労調法に基くその権能を機動的に発揮するやう要請すること。なほ特に双方の申請がなくとも調整に乗出すやう要請すること。
3 委員会の性格機能を広く関係者に周知徹底する措置を講ずること。
二、情況把握の徹底
特に地方労働行政網の全面的積極的活動を促し、労働関係者との接触を一段と緊密にし労働情勢、特に労働紛争議の早期把握に努めること。
三、啓蒙宣伝
1 労働関係者に対し、争議の早期平和解決の緊要性及び方途(団体交渉、労働協約の平和的意義及びその具体的手続内容等)を徹底すると共に主要争議の正確な概況の報導に努め委員会の適正な調整措置について輿論の支持を受くる如くすること。
2 特に争議の平和的調整手続中は争議行為に出るべきでない旨の趣旨徹底に努力すること。
3 前二項の事項については特に主要組合の積極力協力を求めること。
四、予算措置
本件実施のため所要の予算的措置を講ずること。