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石炭非常増産対策要綱

収載資料:資料戦後二十年史 2 経済 有沢広巳・稲葉修三編 日本評論社 1966 pp.56-57 当館請求記号:210.76-Si569
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石炭非常増産対策要綱
昭和22年10月3日 閣議決定

第1 基本方針
1.石炭増産に関する最重点主義は、引続き一層確実迅速に推進する。特に既定の施策の実績を検討し、不徹底かつ不充分な点は各所管庁において、責任を以て急速に改善実施する。
2.現在の物価並に賃金水準は、あくまでこれを堅持するものとし、炭価の引上は当分行わない。従って経営の収支均衡、労務賃金の増収は、専ら炭鉱経営の徹底的改善及び生産能率の向上による生産の増大によることとする。
3.出炭能力を最高度に発揮せしめる為、坑内設備及び労働力の充実、労働規律の確立並に24時間制の完全実施を強力に推進する。
4.高能率を発揮する労働者、特に坑内労働者を優遇するため、給与その他の処遇について、特別の措置を講ずる。
第2 要 領
1.24時間制の推進
(1)切羽遊休時間の有効利用により、出炭力を増進せしめると共に、切羽進行速度を増大せしめ、能率の向上を図るため3交代制を勧奨し、少くとも2方採炭及び3方掘進の実施を推進する.之が為に必要な資材・資金の配当は、右方針に即して、能率を向上する重点炭坑に対する優先集中配当を厳に実施するが、坑内夫の増員は原則として職場転換等により補う。
(2)労働時間に関し、左の作業方式のいずれかを労働協約により実施する様要望する。
(イ)現場8時間(面交代)3交代5日週間制、(ロ)坑口9時間3交代7日週間制、(ハ)坑口10時間2交代7日週間制
(3)右方式の誠実な実行をなす坑内直接夫(採炭・充填・掘進・仕繰夫)及坑内係員に対し、現行現場給を継続する外、本方式実行に伴う能率向上による所得で、一定基準以上のものに対する所得税について、特別の措置を講ずる。
2.職場基準の確立と給与制度の改善
(1)職場秩序を確立し、作業遂行の正常化を図るため、各炭鉱をして職制において作業に対する指揮系統を明確にすると共に、経営者以外各人の義務と責任とを明らかにせる就業規則を、労働協約によって規定せしめる。
(2)右に相応する報酬を与えるよう、賃金制度を合理化する。
(3)炭鉱従業者に対する生活物資(家族に対する特配物資を含む)の特配分は、一般的且つ特権的なものではなくて、誠実なる勤労に依る損耗の補充と、報奨を目的として行うことを明確にするよう、配給方法を確立すると共に之を確保する。なお炭鉱現場における措置にして、増産の効果を挙げ得ないでいるものは、この際徹底的に是正する。
3.労働組合の健全化、労働組合の自主性の確立と民主的運営によりその健全強化を促進する。
4.紛争議の早期平和的解決を図るため、権威ある石炭に関する特別の労働委員会を設置する。
5.炭鉱生産設備の緊急補修・整備、特に生産設備の主幹をなす運搬設備を、緊急に補修増強する為の資金・資材の優先的取扱を更に一段と強化する。
6.技術その他専門技能の最高度結集、各炭鉱の生産能力及びその科学的管理方策等の基礎事項を調査研究せしめると共に、これが実施応用の指導の任に当らしめるため、炭鉱技術者を主体とする権威ある団体の協力を求める。
7.新炭鉱・新炭層の開発 新炭鉱・新炭層の開発に関しては所要の機構を整備し、これを推進するものとし、要すれば産業復興公団をして急速に実施せしめる。
8.前記増産対策に関連し措置すべき事項
(1)横流し缺斤(めべり)の防止、石炭の非常増産と関連し、石炭の正規配給以外の不正行為及び缺斤は厳にこれを取締り違反者に対しては断固たる措置をとる。
(2)速かに石炭鉱業に関する財閥解体の実体を明確にする。
9.以上の各施策は、飽くまで経営者及び労働者の自主的協力に俟って推進せんとするものであるが、石炭生産の緊急性に鑑み、尚所期の成果を挙げ得ない場合においては、必要な法的措置を講ずる決意である。なお故意の妨害者に対しては断固たる方針を以て臨む。

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