租税収入確保に関する緊急対策要綱

昭和23年1月23日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第17巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1981 pp.1122-1123 当館請求記号:DG15-19

本年度末迄に一千億円に近い租税収入を確保し得るや否やは、現下我国における健全財政の維持、インフレーションの破局化防止の成否を決する基本問題であるから、この際政府は昨年十月二十八日の閣議決定(別紙参照)を再確認して、税務官署における執務態勢を刷新し税務行政の執行上幾多の困難あるも敢然これを排除して所期の成果を挙ぐるため必要最少限度の措置として、差し当り左記各項を急速に実施して当面の危局打開に全力を傾倒するものとする。

一、税務官吏(その他の税務職員を含む、以下同じ)の職員の特殊性に対応した給与制度を制定実施すると共に、右職責の完遂に必要なる庁舎、備品、職員宿舎等の施設を急速に整備する。なお税務官吏の調査旅費及び超過勤務手当は職務の遂行に必要なる額を確保する。
二、税務官吏の徹夜執務に対し差し当り本年度の租税収入確保に必要なる期間中の臨時応急措置として必要最小限度の主食を特配する。
三、税務官吏の大衆課税反対運動その他に付ては、それが税務行政の執行を妨害する場合には断乎これを取締る態勢を強化する。
四、前各項の実施に対応して税務官署における執務態勢を一層刷新確立する。
(別紙は昭和22年10月28日閣議決定「租税収入確保に関する件」につき省略―編者)