官公職員新給与制度(6,307円)実施に伴う昭和23年度補正予算処理方針に関する件

昭和23年12月17日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第17巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1981 pp.1088-1089 当館請求記号:DG15-19

今回政府においては関係方面の助言に基き、昭和二十四年一月一日から、六、三〇七円べース官公職員新給与制度を実施することとなったが、現に第四国会に提案中の補正予算は、本年十一月一日から五、三三〇円べースの給与を支給することを基礎として編成せられているので、この予算により支障なく新方針を実施することを可能ならしめるため、政府は左記の措置をとることとする。

一、電産、石炭その他価格調整費関係諸産業における労働者の賃金水準は、現在政府において予定している線を絶対に譲らないこととし、六、三〇七円水準を採用したことを理由としてこれを動かすことにより価格調整費の現在以上の増加を必要ならしめるような措置は、これをとらないこと。
二、船舶運営会所属船員及び陸員の給与改善については、補正予算計上の補助金二十五億円の内、五億円を以てする本年六月以降三割増額以外には他に確実なる財源なき限り給与改善はこれを行わないこと。
三、現在懸案となっている一般職種別賃金(法律百七十一号による、プリヴェーリングウェイジ)の改訂は、最近の労働市場の情勢、経済三原則との関係等を考慮し、本年十二月以降概ね二割増程度の改訂に止めることとし、その増加所要額が補正予算に計上の終戦処理費増加額中に見込まれた程度におさまるよう措置すること。
四、新給与体系の採用により、各所管毎或は各会計相互間において、補正予算に計上した給与予算額と、実際の所要額との間に不足又は過剰が生ずることが予想せられるが、これについては、今回はその補正を行わず、精査の上、次期国会において修正増減の措置をとるものとすること。