主要食糧配給制度強化に関する措置要領

昭和24年3月15日 閣議決定

収載資料:内閣制度九十年資料集 内閣官房編 大蔵省印刷局 1976.3 pp.1038-1040 当館請求記号:AZ-332-6

三月三日附連合軍最高司令部より日本政府宛発せられた「食糧配給制度強化に関する措置」に関する覚書に基き、配給制度強化のため次の措置をとる。
一、本国会に提出せられる「住民登録法案」(仮称)に基き、左の措置をとる。
(一) 別紙により定める標準による生産世帯、準消費世帯及び消費世帯の別を住民簿に記載せしめ、すベての世帯につき主要食糧の保有並びに受配上の区分を明確ならしめる。
なお、準消費世帯については、主要食糧の耕作面積をも登録せしめる。
(二) 住民登録の実施に際し、各区分別人口並びに準消費世帯の耕作面積を集計すると共に、住民登録によつて毎日の人口動態を明かにし、適確なる資料を整備するものとする。
二、主要食糧の配給計画並びにその配給を適正に行うため、食糧管理関係法規につき、都道府県知事、市町村長及び食糧配給公団の主要食糧配給計画の実施に対する監督の徹底を期すべく必要な改正を行う。
三、一及び二の法制上の措置に基き左の方策を講ずる。
(一) 通帳と住民簿(この住民簿は各人の戸籍と照合せられる)とを照合し、且つ、通帳を住民簿上の区分に従つて整理することにより、不正若しくは不適正な通帳の発見に努め、不正受配を除くこととする。
(二) 準消費者通帳を交付せられた者に対しては、一定の基準により、一定量の配給差引を行うこととする。
四、農家配給については、一層その適正を期するため、左の措置をとる。
(一) 市町村長が一般消費者の増加の形式において農家配給の増加を計ることを抑止するため、住民簿上の区分(生産世帯、準消費世帯、消費世帯)に応じ、夫々特定の通帳(農家用、準消費者用、一般消費者用)を発給すべきものとし、市町村長の農家用通帳の交付に際しては、食糧配給公団の当該市町村における責任者の検印を押なつするものとする。
(二) 配給実績が配給割当計画を超過した場合においてはその理由及び今後の対策につき当該市町村長及び都道府県知事より報告書を提出せしめ、要すればその実体を調査し、その是正につき指導監督を行う。
(三) 定期的に農家用通帳を回収し、市町村長、食糧検査官、食糧配給公団三者立合の上、完全保有農家及び一部保有農家に対し不必要な配給が実施されているや否や、又新穀喰附期以降において通帳が未回収のままに放置されているや否やを精査せしめる。
五、主要食糧の配給計画を適正に実施すると共に、その実施状況を審査監督するため、食糧管理行政機構に必要なる改正を行う。
六、住民登録法施行迄の間次の措置を講ずる。
(一) 現行の食糧管理台帳及び総理庁統計局の昭和二十三年八月一日現在の常住人口調査とを基礎として、農家と一般消費者との重複を整理し、同時に通帳と配給台帳との照合を行う。
(二) 警察官による戸口調査を随時実施するほか、必要に応じ、警察、経済調査庁等関係機関の緊密なる連絡の下に、会社、工場、炭鉱、飯場、寄宿舎その他多人数の共同施設を対象として、主食の受配状況を調査する。
(三) 外国人の不正受配を防止するため、外国人については外国人登録証明書と通帳との照合を行い、照合がなされない者には必要により配給停止の措置を講ずる。
(四) 新聞、ラジオ等を通じ不正受配絶滅のため、弘報措置を講じ、この際市町村長に対し不正受配の事実を自発的に申し出た者に対しては関係法令の適用につき充分考慮すべきことを明かにして、自発的申し出を努めて勧奨する。