長期輸出金融措置要綱

昭和25年8月18日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.374-375 当館請求記号:DG15-19

一、方針
我国貿易の伸長に必要な設備機械等の輸出を促進するため、これらの設備等の生産に必要な長期運転資金の供給につき、見返資金の参加融資を行うものとする。
二、要領
(1)融資の対象
イ、本措置に基く融資の対象は輸出品製造業者又は輸出業者(輸出業者を対象とする場合には要すれば輸出品製造者と連帯せしめる。)とし、輸出すべきプラント設備、施設及び重機械類(船舶及び車輌を含む。)並びにその部分又は付属施設の生産に必要な長期運転資金に限る。
ロ、本措置により融資の対象となる場合は、左の各号に該当する場合に限る。
(1)融資の対象となる輸出契約が締結されたものであって、その契約に基く債務の履行が確実であると認められること。
(2)輸出契約に基く輸出設備等の代金の決済条件が別に定める基準に適合すること。
(2)融資金額及び条件
(一)金額
(イ)本措置による融資の一件の貸付金額は二千万円以上とする。
(ロ)本措置による融資は契約金額から契約成立の際に支払われる金額及び契約金額の一〇%相当額との合計額を控除した金額を限度とする。
(ハ)右による融資額の最高七〇%は見返資金により、残額は取扱銀行の自己資金により融資する。
(ニ)昭和二十五年度における本措置の融資の総額は百億円を予定し、見返資金による融資の総額は七十億円の範囲内とする。
(二)利率
見返資金による分は年七分五厘、取扱銀行の自己資金による分は一般の利率による。
(三)償還期限
原則として三年以内とする。
(四)償還方法
見返資金の貸付金と取扱銀行の自己資金による貸付金とは按分して償還せしめる。
(3)融資手続
見返資金中小企業貸付手続に準じ、左により融資する。
イ、本措置による見返資金の融資を受けることを希望する者は、銀行に対しその旨申し出る。
ロ、前号の申出を受けた銀行は三〇%以上の自己資金による融資を行うことを決定し、且つ、本措置による見返資金の融資を行うことを適当と認めたときは、前号により申出をなした者の代理人として本措置による見返資金の貸付申込を日本銀行に提出する。
ハ、大蔵省は、本措置による昭和二十五年度見返資金の融資に充てるため予め司令部の包括的承認をえて、七十億円の範囲内で、必要な金額を、日本銀行に交付する。
ニ、大蔵省は、本措置による見返資金の融資の審査、承認、貸付の実行、管理及び回収等本措置による見返資金融資に関する事務を日本銀行に委託し、日本銀行は、必要と認める範囲内において、その事務を取扱銀行に委託する。
(4)担保
輸出品代金代理受領権その他必要な担保を徴する。
(5)取扱手数料
見返資金特別会計は、本措置による見返資金融資の取扱銀行に対し別に定める金額の取扱手数料を支払う。