国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案要綱

昭和27年2月29日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.592-593 当館請求記号:DG15-19

一、目的
国際的に供給が不足する物資等の需給を調整することにより、国民経済の健全な発展を図るとともに、国際経済の円滑な運行に寄与することを目的とすること。
二、需給調整
主務大臣は、左に掲げる物資の需給を調整するため特に必要があるときは、経済安定本部総裁が定める方策に基き、その物資の割当若しくは配給に関し必要な事項を命じ、又はその使用、譲渡若しくは引渡の制限若しくは禁止を命ずることができること。但しその割当又は配給に関し必要な事項を命ずることができる物資は、別表に掲げるものに限るものとすること。
(一)国際的に供給が不足するため、条約、協定、その他の国際的取極めにより、割当、使用の割限又は禁止その他の需給調整のためにする措置がなされている物資
(二)国民経済の運行を確保するためその輸入が特に必要な物資であって、国際的に供給が不足するためその輸出国において輸出の制限を行っているもの
(三)国内において供給が特に不足する物資であって、その需給の調整を行わないときは、国民経済の円滑な運行に著しい支障を生じ、公共の利益を害するおそれがあるもの
前項の命令は、経済安定本部総裁の同意を得て行うものとし、且つ同様の条件の下にある者には差別なく適用されるものとすること。
三、物資需給調整審議会
経済安定本部総裁の諮問機関として、物資需給調整審議会を置くものとすること。
審議会は二の規定により経済安定本部総裁が定める方策について、審議するものとすること。
四、報告及び検査
主務大臣は、経済安定本部総裁が定める方策に基いて、左に掲げる事項について関係人から報告を取ることができるものとすること。この場合において報告がなされず又は報告が虚偽と認められるときは、主務大臣は、その職員に事務所、営業所、工場、事業場又は倉庫に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができるものとすること。
一 物資の割当又は配給
二 物資の使用
三 物資の生産、譲渡又は引渡
四 物資又は設備の状況
五、有効期限
この法律は、昭和二十八年四月一日に、その効力を失うものとすること。
六、臨時物資需給調整法に基く命令の効力
臨時物資需給調整法に基いてした命令のうちで別に定めるものについては、同法は、昭和二十七年六月三十日までなおその効力を有するものとすること。

別表
一 石油及び石油製品
二 ニッケル及びニッケル含有物(故及びくずを含む。)
三 コバルト及びコバルト含有物(故及びくずを含む。)
四 タングステン及びタングステン含有物(故及びくずを含む。)
五 モリブデン及びモリブデン含有物(故及びくずを含む。)