統制廃止後の麦類の需給調整対策要綱

昭和27年3月20日 閣議決定

収載資料:食糧管理史 V 制度篇 各論(下) 食糧庁食糧管理史編纂室・統計研究会食糧管理史研究会編 統計研究会 1958 pp.250-252 当館請求記号:611.31-Sy9576s-T

第一 方針
一 昭和二十七年産麦の出廻期までに現行の麦類の流通及び価格の統制を廃止し、麦の供出割当は行わない。
二 内麦は、生産者及び生産者の委託を受けた者の政府の定むる価格による売渡申込に応じ買い入れるものとする。
三 外麦は、全量政府が買い入れる。外麦に対しては、輸入補給金を財政支出する。
四 政府は、麦類の需給及び市価が安定しうるよう麦類の売渡を行う。
第二 要領
一 内麦の政府買入
1 政府は、生産者又は生産者から委託を受けた者から売渡の申込があつたとき買い入れる。
(イ) 買入数量に限度を設けないが、買入は農産物検査法の一定規格以上に該当するその年産のものにつき一定俵数以上の単位のものとする。
(ロ) 政府の買入は、政府倉庫渡又は政府指定倉庫渡とする。
2 政府の買入価格の決定は、左による。
(イ) 政府の買入価格は、米価審議会に諮つて毎年新麦出廻期前に決定し公表する。
(ロ) 政府の買入価格は買入基準価格に検査手数料を加え銘柄等級別に定める。買入基準価格は二十六年度を基準とする農業パリテイ指数に基き算出した価格を基準とし、これに麦の反当減収比率、対米価比その他経済事情を参酌して定める。
二 外麦の政府買入
外麦の買入方法及び補給金の支出は、概ね現行通りとする。
三 政府所有麦類の売渡
1 政府の売渡方法
(イ) 政府は、毎月米麦の需給状況、麦類の市価等を勘案して、政府所有麦の売渡予定計画を定め、売り渡すものとする。
(ロ) 政府の売渡は、内麦は産地倉庫、外麦は輸入港倉庫を原則とするが、麦類の流通の円滑を図るため、地域別需要量を当該地域において充足しうるよう当該地域の加工能力を考慮してさしあたり政府運送、保管を行い、当該地域中心集散地で売り渡す。
(ハ) 政府の売渡は、原麦を原則とするが、麦製品の市価の安定をはかるため必要があるときは、所有麦を委託加工し製品の売渡を行うこととする。
(ニ) 政府は、一般競争入札による外、指名競争入札又は随意契約により麦類を売り渡すことができるものとする。
2 政府の売渡価格の決定は、左による。
(イ) 政府の売渡標準価格は、毎年米価審議会に諮つて決定し公表するものとする。
(ロ) 政府の売渡標準価格は、家計費その他の経済事情を参酌して定める。
(ハ) 売渡の予定価格は、売渡標準価格に基き保管期間、売渡場所、品質等を勘案して定めるものとする。
四 その他
1 麦類の集荷業者、加工業者(第一次加工業者のみ)及び卸売販売業者となろうとする者は、都道府県知事に届出を行うこととする。
2 麦類については、さしあたり商品取引所の上場を認めないこととする。
3 保管施設を整備するため、農業倉庫の新設補修を行うものとする。
4 麦類の集荷及び流通の円滑を図るため、政府の買入代金の前渡、払下代金の延納等の金融措置を講ずる外一般金融機関により資金の融通に努むるものとする。
五 法的措置
国会に食糧管理法の一部を改正する法律案を提案する。