行政機構改革に関する件

昭和27年4月5日 閣議決定

収載資料:行政管理庁二十五年史 行政管理庁行政管理二十五年史編集委員会編 行政管理庁 1973 pp.712-723 当館請求記号:AZ-333-8

1 来るべき我国の自主自立体制に即応し、現在の国力に適わしい簡素、且つ能率的で而も民主主義の原則に則る行政機構を樹立するため,戦争中及び戦後を通じて複雑厖大化した現行機構を整理合理化し、講和発効後の新時態に即応せしめることとする。
2 機構改革を行うに当っての基本構想は左の通りとする。
(1)各行政機関の権限を明確にし,指揮命令の系統を簡明にすることにより、責任体制を判然ならしめる。
(2)行政機構が全体としてまとまりのある活動をするよう総合調整の機能を整備する。
(3)重複又は密接に関連する事務及び権限を整理統合する。
(4)各行政機関の機構をできるだけ簡素化する。
3 右の基本構想に基く機構改革の基準は左の通りとする。
(1)各種行政委員会は審判的機能を主とするものを除き、これを廃止し、その事務は各省に分属せしめる。
(2)総理府は別とし、各省の外局たる庁は審判的機能を主とするものの外原則としてこれを廃止し、各省の内局又は附属機関とする。
(3)各府省の官房及び局中の部の制度は廃止する。
(4)総理府は内閣の首長として行政各部を指揮監督する総理大臣の補佐機関たるに適わしい内容のものとし、現存の各種行政事務はできるだけこれを各省に分属せしめる。
(5)各府省の内部機構及び地方出先機関をできるだけ簡素化する。
4 右基準に基く機構改革の具体案は別紙の通りとする。
5 別紙案に基く各省設置法等改正法案は、関係各省において立案するものとし、その施行期日は7月1日とする。但し特別調達庁の新機構移行の時期は別途考慮する。
6 今回の機構改革に伴う廃官等により不要となる職員については直に定員法改正による定員削減の措置をとることなく、機構改正実施後の人員配置の実情を勘案の上、閣議決定によってその定員を使用しない方法をとることとする。但し廃庁等により多数人員の整理を要する場合には定員法改正による減員を考慮するものとする。
7 今回の機構改革に関連して一定期間内(本年12月末日を予定)に退職する者に対しては、行政整理の場合と同額(8割増)の退職手当を支給しうるよう法的措置を講ずることとする。その数及び範囲は各省庁ごとに別に閣議決定するものとする。
8 今回の機構改革に併行し、行政事務を整理するため閣議決定による非公式の機関として法令整理本部(仮称)を設置する。本部は法務総裁を本部長とし、法務府法制意見局、内閣官房、行政管理庁、大蔵省主計局、地方自治庁等の関係官を以って構成するものとし、事務整理のための各種法令の整理、国家公務員法の改正、行政事務の簡素化及び共管事務の整理等について検討するものとする。
9 各府省庁の附属機関(試験所、研究所等)の整理簡素化については、引続き検討を加えるとともに科学技術研究の統合合理化及び予算編成機能を総理府に移管することについても慎重に研究することとする。
10 地方行政機構の簡素合理化については地方行政簡素化本部の立案したところにより別途措置することとする。