公共事業等による失業者吸収措置の強化について

昭和29年8月3日 閣議決定

収載資料:失業対策事業二十年史 労働省職業安定局失業対策部 労働法令協会 1970.3 pp.559-560 当館請求記号:AZ-535-3

政府は、現下の失業情勢に鑑み、公共事業を始め国または地方公共団体等の公費の負担にかかる各種の建設および復旧の事業に対し、できる限り多数の失業者を吸収させるため、つぎの措置を講ずるものとする。
一 公共事業について
1 労務の調達にあたつては特に失業者の吸収に努めることとし、緊急失業対策法に基く失業者吸収率設定事業の範囲および吸収率について実情に応じ心要な改正を行い、これが励行を期すること。
2 同事業の施行地域を、事業効果を害しない限度において、できる限り、失業者が多数発生する地域に即応せしめるよう配慮すること。
3 失業者の吸収を促進するため、労働者の輸送、賃金の支払等に適切な処置を考慮すること。
4 失業者の吸収の実効を確保するため、公共事業に対する指導および監査を励行するとともに、職業紹介の活動を活溌ならしめること。
5 失業者の就労にあたつては、労務規律の確保および労働能率の向上につき十分配意し、労務者に対し、事前に適切な指導および訓練を行い得るよう努めること。
二 公共事業以外にあつても、国または地方公共団体の行う事業ならびに財政投融資の対象となる事業等公費の負担にかかる各種の建設および復旧の事業であつて失業者の吸収に適するものについては、公共事業の例に準じ、失業者の吸収の促進を図ること。
三 失業対策事業については、失業情勢の推移に応じ、かつ、公共事業等による失業者の吸収情況を勘案した上、機動的なかつ、重点的な運営を図るとともに、その能率の向上を図ること。
四 本措置の円滑なる実施を期し、かつ、失業対策等に関する連絡調整を図るため、経済審議庁に「労働対策連絡協議会」を設置するとともに、各都道府県に都道府県および関係各省出先機関をもつて構成する連絡協議機関を設置すること。