科学技術庁設置要綱

昭和31年2月3日 閣議決定

収載資料:行政管理年報 第5巻 行政管理庁管理部 1956 pp.53-54 当館請求記号:317.2-G98g

1.科学技術庁の設置
科学技術庁を総理府の外局として設置し、これに原子力行政を含む科学技術行政(人文科学関係を除く。)を所掌させる。
2.任務及び権限
(1)科学技術(原子力利用を含む。以下同じ。)に関する基本的な政策の企画・立案及びその推進にあたる。
(2)関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整を行う。
(3)大学における研究は、前記1及び2の対象から除く。
(4)科学技術に関連する各省庁所管試験研究機関の経費及び試験研究補助金等に関する予算の総合調整を行う。
科学技術庁は、右の予算に関する各省の見積の方針につき調整を行い、予算の要求は、各省みずから大蔵省に対して行う。
(5)各省庁所管試験研究機関の原子力利用に関する経費及び原子力利用に関する試験研究補助金等に関する予算は、昭和32年度以降においては、科学技術庁に一括計上し、必要に応じ各省の予算に移し替えるものとする。
(6)資源の総合的利用のための方策及び資源利用に関する関係行政機関の計画の総合調整に関し調査する。
(7)航空技術・金属材料及び放射線総合医学等に関する研究を実施する。
(8)財団法人原子力研究所及び株式会社科学研究所を監督する。(なお、財団法人原子力研究所が改組され又原子燃料公社が設置されたときは、これらを監督する。)
(9)試験研究の助成業務は、各省庁に固有のものは除き、多数部門の総合協力を要する研究及び関係各分野に広く共通する研究の振興に関係ある事項に限つて行う。
(10)発明の奨励及び発明実施化の促進に関する事務を行う。
(11)科学技術に関し日本学術会議に諮問すべき事項の選定に関する事務を行う。
(12)科学技術に関する日本学術会議の答申又は勧告に関し政府が講ずべき必要な行政措置に関する事務を行う。
(13)所管事項に関する調査及び内外の科学技術に関する資料の収集・分析を行い、かつ、それらの結果を一般の利用に供するとともに科学技術の向上・普及を図る。
3.試験研究機関の検討
中央・地方を通じて、試験研究機関のあり方及び所属について、科学技術庁の発足後根本的に再検討を加えるものとする。
4.組織
(1)科学技術庁の長は、科学技術庁長官とし、国務大臣をもつて充てる
長官は、科学技術の振興又は資源の総合的利用の促進のため必要があるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求め、かつ、科学技術に関する当該行政機関の重要所管事項について勧告することができる。
なお、勧告に基き当該行政機関のとつた措置については、報告を求めることができる。
長官は、科学技術に関する重要事項につき、特に必要があると認めたときは、内閣総理大臣に対し、当該事項について内閣法第6条の措置をとるよう意見を具申することができる。
(2)科学技術庁に政務次官のほか次長を置く。
(3)科学技術庁に、特に科学審議官・科学研究官及び科学調査官各若干人を置く。
(4)科学技術庁に顧問及び参与各若干人を置く。
(5)内部部局として長官官房(官房長を置く。)ほか、次の4局を置く。
企画調整局
原子力局
資源局
調査普及局
(6)科学技術庁に次の附属研究機関を置く。
航空技術研究所
金属材料研究所
なお、放射線総合医学研究所が設置される場合においては、これを科学技術庁の附属研究機関とするものとする。
(7)長官の諮問機関として次の審議会を置く。
科学技術審議会
航空技術審議会
資源調査会
5.科学技術庁の設置に伴う措置
(1)原子力委員会の委員長は、科学技術庁の長官たる国務大臣をもつて充てる。
原子力委員会の庶務は、科学技術庁において処理する。
(2)原子力局を総理府より移管する。
(3)航空技術審議会及び航空技術研究所を総理府より移管する。
(4)資源調査会を総理府より移管し所要の改組を行う。
(5)科学技術行政協議会を廃止する。なお、科学技術審議会の委員の定数のうち、その3分の1相当数の委員は、日本学術会議の推せんする者のうちから任命する。
(6)関係行政機関の機構について所要の改組を行う。
(7)科学技術庁の定員は、関係行政機関の定員の振替によつて充足し、新規増員は極力抑制する。
(参照)
内閣法(昭和22年法律第5号)抄
第6条 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。