観光事業振興基本要綱

昭和31年8月10日 閣議決定

収載資料:観光便覧 昭和38年版 ?国民生活研究所 1962 pp.288-289 当館請求記号:688-So653k4

観光事業の経済的、社会的および文化的意義の重要性にかんがみ、政府はここに「観光事業振興基本要綱」を定め、これに基づき特段の施策をもって、本事業の画期的な振興を図るものとする。

1. 基本方針

国際間の相互理解を促進し、文化の交流に資するとともに、わが国国際収支の改善に寄与し、あわせて国民の厚生福祉の増進および教養の向上に資することを観光事業振興の基本方針とする。

2. 対策

右の基本方針に基づき、政府はすみやかに「観光事業振興5ヵ年計画」を策定し、これを実施するため、必要があるときは財政事情を考慮の上、所要の立法および財政その他の措置を講ずるものとする。

1 観光対象の保護育成

観光の対象となるすぐれた自然景観、都市景観、温泉文化財等の保護育成を図る。

2 国立公園、温泉、文化財等の利用施設の整備

国立公園、国定公園、県立公園、温泉、文化財等の利用施設の整備を促進する。

3 都市施設の整備

風致地区および美観地区制度の活用を図るとともに、都市公園、国民公園その他都市施設の整備を促進する。

4 環境衛生の改善

上下水道、汚物処理、衛生害虫駆除、食品衛生環境衛生諸施策の充実強化を図る。

5 国際旅客交通施設の整備

国際旅客交通に関する船舶、航空機、港湾、空港等の諸施設の整備を促進する。

6 国内旅客交通施設の整備

道路、鉄道、自動車等の陸運施設、船舶、航空機、港湾、空港、その他の諸施設の

整備を促進する。???

7 宿泊施設等の整備

外客の誘致および国民の健全な旅行のため必要なホテル、旅館、その他の宿泊施設ならびに教養、体育、休養等の施設の整備を促進する。

8 対外紹介宣伝活動の強化

一般国情および観光事情に関する対外紹介宣伝活動の強化を図る。

9 外国人入出国手続等の簡易迅速化を図るとともに、旅行経費の引下げおよび旅行あ

っ旋案内の充実を図る。

10 国民旅行の健全化

国民の厚生福祉の増進および教養の向上に資するため、健全な国民旅行の育成助長

を図る。

なお、本計画の策定にあたっては、「観光事業審議会」の既往の建議勧告を尊重し、あらたにその意見を求めるとともに、国の行なう他の諸計画と相互に調整を図るものとする。