ここでは、卸売・小売業について調べるための基本的な情報をご紹介します。まず、卸売・小売業がどういった産業かを示し、続いて市場規模など業界の現況を紹介しています。さらに、最近の市場・業界の動向を簡単に解説しており、主要なビジネス新聞や雑誌掲載の関連記事などホットトピックスを随時取り上げています(【 】内は当館請求記号です)。
目次
1.卸売・小売業とは
2.卸売・小売業の現況
3.卸売・小売業を取り巻く環境
1.卸売・小売業とは
ここでは、「卸売・小売業」として、日本標準産業分類の大分類J「卸売・小売業」に分類される産業を取り上げます。
卸売業と小売業は主に商品を販売する相手と販売量の違いによって区別されます。卸売業は、小売業又は他の卸売業への商品販売、産業用使用者への多額の商品販売などを取り扱う事業所を指し、業態としては、商事会社、製造問屋、代理商、仲立商などが含まれます。一方、小売業は、個人用又は家庭用消費のための商品販売、産業用使用者への少量の商品販売を行う事業所を指します。こちらには分野を横断した品揃えを行う業態店(百貨店、総合スーパー、コンビニエンスストアなど)と、主力商品の決まった専門店タイプの業種店とが含まれます。また、各小売店舗は、チェーン組織の形をとってチャネル管理を行うこともあります。*
なお、卸売・小売業は、商的流通活動(商流)を担う産業ということで、合わせて「流通業」として扱われることがあります。「流通業」といった場合、広義では物流業(輸送業・倉庫業)が含まれる場合がありますが、以下では商流に限った狭義の「流通業」に焦点をあてて資料を紹介します。ただし、百貨店、スーパー、コンビニについてはそれぞれ百貨店・スーパーマーケット業について調べるにはとコンビニエンスストア業について調べるにはをご参照ください。
*チェーン組織の代表的な形態
・フランチャイズチェーン
本部が加盟店に対し、特定地域の独占的な販売権を与え、加盟店は対価としてロイヤリティを支払う方式のことを言います。本部は商標やサービス、販売ノウハウをパッケージ化して提供し、販売戦略に関しては指導者的立場に徹し、加盟店が決定権を持ちます。小売業・サービス業に多く見られる形態です。
・レギュラーチェーン
一般的にはチェーンストアと呼ばれるもので、ひとつの本部企業が店舗を建設し、従業員を雇用し営業する経営手法で店舗の責任者は本部が任命します。大手百貨店、スーパーマーケットなどに多く見られる形態です。
・ボランタリーチェーン
資本的に独立した企業同士が連携し、経営の一部を本部に託すことで経営合理化を図る方式のことを言います。任意連鎖組織で、本部の拘束力はフランチャイズチェーンに比べて弱いです。食品小売業に多く見られる形態です。
2.卸売・小売業の現況
経済産業省の商業統計調査
によると、最新の2007年調査では、日本の小売業の市場規模(年間商品販売額)は134兆7,054億円で、前回調査の2004年と比べて1.0%の増加になっています。事業所数は113万7,859カ所と2年前と比べて8.0%減少しており、1982年をピークに減少が続き、今回は過去一番の低い水準となっています。
同じく2007年調査での卸売業の市場規模(年間商品販売額)は、413兆5,316億円で前回調査比1.9%の増加になっています。事業所数は33万4,799カ所で、前回比10.8%の減少になっています。
3.卸売・小売業を取り巻く環境
リーマンショック以降、卸売・小売業界は消費低迷により厳しい状態が続いています。また、規制緩和により外資の日本進出も続いており、その傾向は続くとされています。また、商業統計によると、卸売・小売業の事業所数、従業員数は減少の一途をたどっており、これは卸売・小売業の低迷を象徴していると見られています。年間商品販売額は微増しましたが、消費不況、少子高齢化、所得格差などの影響もあり、成長は伸び悩むとされているようです。個別の業界を見てみると、ホームセンター業界では、市場の飽和を迎え、業容の維持・拡大に向けた合従連衡と組織改編が引き続き加速する見通しのようです。また、通販業界は景気低迷に伴い個人消費も低迷していますが、外出を控えて出費を抑える巣ごもり消費の増加に伴って、インターネット通販が牽引役となった成長が続く見通しのようです。
卸売・小売業に関する最新の動向として『週刊東洋経済』(東洋経済新報社 週刊 【Z3-38】)(通号6380)(2012年3月10日)掲載の特集記事「不況下の小売り優等生 アウトレットに異変」では、2000年以降、年率5%以上の成長を続けてきたアウトレット市場が、11年には前年比2%の成長にとどまったことが紹介されており、その勢いが失われつつあることが指摘されています。原因としてアウトレットが増えすぎたこと、増加に伴い販売商品の魅力が減りつつあることなどが挙げられており、今後は各社の生き残り競争がし烈になると予測されています。
、『週刊東洋経済』(東洋経済新報社 週刊 【Z3-38】)(通号6374)(2012年2月11日)掲載の特集記事「流通サバイバル ; コンビニ スーパー インフラ力を駆使 業態を超え顧客開拓」では、コンビニ業界の大手3社による寡占傾向、スーパー業界における小型店舗と宅配(ネットスーパー)の広がり、流通大手のポイントカードの急成長、大手流通各社による農業参入といった流通業界の動向を紹介しています。
『日本経済新聞. [東京]』(日本経済新聞社 日刊 【Z81-10】)2012年2月1日号ではラジオ通信販売市場を取り上げています。日本通信販売協会によると2010年度の市場規模は約770億円で、5年前の6割増と拡大基調です。シニア層の利用および電話による注文が多く、パーソナリティーによる商品紹介が購買意欲を引き出しているとみられます。
2012年1月24日号に日本チェーンストア協会による全国スーパー売上高が掲載されています。それによると、2011年は前年比0.8%減の12兆7024億円と、15年連続で前年実績を下回りました。コンビニエンスストアなどとの競争が激化し、売り上げが伸びませんでした。
2012年1月21日号の掲載記事によると、ホームセンター8社の2012年2(3)月期決算は各社とも経常増益となる見込みです。これは、東日本大震災後の復興需要と節電関連商品の販売が好調なのに加え、広告自粛で販売費が抑制されたことによります。特に東北地方への出店比率が高い企業が好調です。
『日経MJ』(日本経済新聞社 週3回刊 【Z85-326】)2012年1月18日号では、富士経済による2011年の国内通信販売市場の推計結果が紹介されています。それによると、物販は前年比7.1%増の5兆7492億円、サービス・デジタルコンテンツは7.7%増の1兆550億円です。物販では震災以降の外出を控える傾向により、サービス・デジタルコンテンツではソーシャルゲーム配信や電子書籍等のタイトル数増加により市場が拡大しました。
2011年10月19日号では、同紙による2010年度「eショップ・通信販売調査」の調査結果を掲載しています。2010年度の通販総合売上高は2009年度比4.1%増となり、5年ぶりに伸び率が拡大しました。スマートフォンなどを使ったインターネット通販の伸びが、全体をけん引したと見られています。
2011年8月3日号では、食品・繊維・家具・医薬品といった分野別に卸売業各社の売上高ランキングなどをまとめた「第40回日本の卸売業調査」を掲載しています。同調査によると、2010年度の全業種合計の売上高は2009年度の実績を1.5%上回り、営業利益は2009年度比10.0%増となりました。一方、人口減少に伴う市場の縮小が見込まれる中、シェア拡大に向けた各社の競争は今後も過熱すると見られています。
2011年6月29日号では、「第44回 日本の小売業調査」を掲載しています。 2010年度の日本の小売業の総売上高は前年度に比べ1.9%増加しました。景気持ち直しの動きを受け、調査を始めた1967年度以来初めて前年割れとなった2009年度から一転し、営業利益も同21.8%増と大幅増に転じました。専門店やコンビニエンスストアが売り上げをけん引しています。
(以上を記述するに当たって、「TDB業界動向」(『TDB report』(帝国データバンク 2010.2 【Z4-B1】
)、『最新流通業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム 2009 【DH468-J211
】
)、『最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム 2008 【DH468-J167】
)等を参考にしました。
「調べ方案内」内関連コンテンツ
■卸売・小売業に関する基礎的知識を得るための資料
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◇商業統計
★テーマ別調べ方ガイド<世界各国の卸売、小売産業・市場を調べるには>
なお、ジェトロ・ビジネスライブラリー作成「テーマ別調べ方ガイド」
では、「世界各国の卸売、小売産業・市場を調べるには」
が取り上げられています。
(「テーマ別調べ方ガイド」は、海外進出などに必要な各種情報と資料を紹介する有用なコンテンツです。)







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