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統計の基礎知識


統計は作成機関により官庁統計(公的統計)と民間統計に大別されますが、ここでは官庁統計を利用する際に参考となる基礎知識を整理します。(【】内は当館請求記号です。)

<目次>
1.官庁統計とは
2.統計の種類
3.統計表の見方
4.入手方法
5.参考資料
6.「テーマ別調べ方案内」内関連コンテンツ

1.官庁統計とは
官庁統計(公的統計)は国、地方自治体やその他公的機関が作成するものです。大規模な調査が多く信頼性の高い統計であり、インターネット上の公開も充実しています。一方、各種業界団体や民間調査会社が作成する民間統計は官庁統計にない分野や細かい項目の調査が含まれていたり、産業に関する統計が充実しています。ただしインターネット上の公開が少なく紙媒体の入手も困難な場合があります。

1-1.統計制度
日本の官庁統計はこれまで統計法外部サイトへのリンク(昭和22年法律第18号)、統計報告調整法(昭和27年法律第148号)に基づき作成されていましたが、平成19年5月23日法律第53号をもって全面改正されました。新しい統計法は平成21年4月施行予定です(一部は平成19年10月1日に先行して施行されています)。
<新統計法のポイント>
・公的統計の体系的整備のため基本計画を閣議決定し、約5年ごとに見直します。また、重要な統計を基幹統計と位置づけて作成公表等に関する規定を整備します。
・統計データの利用促進と秘密の保護の規定を整備します。
・中立公正な調査審議を行う統計委員会を内閣府に設置します。

1-2.統計機構
日本の統計機構は各省がそれぞれの所管行政分野について統計調査を実施する分散型です。総務省統計局は国勢の基本に関する統計調査を実施し、総務省政策統括官(統計基準担当)が政府横断的な調整を行います。重要事項の専門的・中立的な調査審議は内閣府に置かれた統計委員会が行います(統計審議会は廃止)。なお、国勢調査、農林業センサス等国の行う大規模な統計調査は都道府県、市町村を通じて実施されます。

2.統計の種類
2-1.作成方法による分類
2-1-1.基礎統計/加工統計 
統計調査の結果から直接得られる統計を基礎統計(第一次統計)といい、国勢調査、事業所・企業統計調査等があります。一方、基礎統計を組み合わせて加工・演算して作成された統計を加工統計(第二次統計)といい、国民経済計算、消費者物価指数等があります。

2-1-2.調査統計/業務統計 
基礎統計のうち、統計を作成するために調査を行い、作成される統計を調査統計(第一義統計)といい、国勢調査が代表例です。行政上の届出や報告された資料を統計としてまとめたものが業務統計(第二義統計)といい、人口動態統計、貿易統計等があります。調査統計には多くの費用、作業負担がかかりますが、対象や範囲を設定して必要な情報を調査することができます。業務統計は比較的低費用で早期に作成できますが、業務の制度変更により連続性が損なわれる場合があります。

2-1-3.全数調査/標本調査
調査統計のうち、調査対象(母集団)の構成単位全てを調査するのが全数調査(悉皆(しっかい)調査、センサス)です。調査対象(母集団)の一部分(標本、サンプル)のみを調査し、その結果から全数調査を行えば得られるであろう結果を推定する方法が標本調査(サンプル調査、一部調査)です。ただし標本数が非常に多いものは「○○センサス」(正確にはサンプル・センサス)と称されることもあります(例:賃金センサス(賃金構造基本統計調査))。業務統計の多くも全数調査といえます。

<全数調査の特徴>
・様々な属性や地域別の集計結果が得られ、母集団の全体構造を明らかにします。
・標本調査の標本抽出の母集団や、標本調査の補正のためのベンチマークデータを提供します。
・費用、手間がかかるため頻繁に実施できず、3〜5年周期で実施されます。
・結果公表まで時間がかかります。
<標本調査の特徴>
・低費用、継続性、速報性の点で優れています。
・標本誤差や抽出方法に注意が必要です。
・裾切調査(ある基準以下の小規模のものを調査対象から除く調査)の場合、結果に偏りが生じる可能性があります(例:工業統計調査で西暦の末尾が0、3、5、8以外の年は従業者4人以上の事業所だけが対象)。

2-2.特性による分類
2-2-1.ストック(静態)/フロー(動態)
ストック(静態)はある時点における現在高をいい、国勢調査の人口数、事業所・企業統計調査の事業所数等、貯蓄残高等が該当します。フロー(動態)はある期間における変化量をいい、人口動態統計調査の出生数、企業の売り上げ等が該当します。

2-2-2.時系列統計/構造統計(横断面統計) 
時系列統計は月次、四半期、年次と、時間の経過にしたがってデータを並べる統計です。標本調査で小規模に回数を多く行われ、家計調査、労働力調査等があります。構造統計は大規模、長い周期で実施された調査の結果を特定時点における属性別にデータを配列した統計です。国勢調査等があります。

<時系列統計の特徴>
・統計表の縦軸又は横軸が調査時点で区分され、時系列推移を把握できるようになっています。
・最近の動向の把握や時系列的な変遷をたどるのに適しています。
・暦年/年度といった期間の幅や、期間内のどの時点で調査したデータなのかを注意する必要があります。
・調査項目の概念、統計分類、推計方法等が変更されます。
<横断面統計の特徴>
・分類別(業種、従業者規模等)や、属性区分別(地域、圏等)でデータが表示されるため、母集団の細かな構造や地域差を把握するのに適しています。

2-2-3.法律上の分類
新しい統計法において公的統計(※)は次の2つに分けられます。
(1)基幹統計…国勢統計、国民経済計算及び行政機関が作成する統計のうち重要なものとして総務大臣が指定した統計です。旧法における指定統計がほぼそのまま指定されることが想定されています。なお、業務統計、加工統計も対象となります(例:国民経済計算)。
(2)その他の公的統計
※独立行政法人等、国、地方公共団体以外の公的機関が作成する統計も含むことを明確化するため、新統計法では官庁統計ではなく「公的統計」という用語が用いられています。

また、統計調査は次の3つに分けられます。
(1)基幹統計調査(基幹統計を作成するための統計調査)…実施には総務大臣の承認が必要となり、厳格な審査が行われます。旧法における指定統計調査に対応します。
(2)一般統計調査(その他の統計調査のうち行政機関が行う統計調査)…実施には総務大臣の承認が必要となります。旧法における承認統計調査に対応します。
(3)地方公共団体又は独立行政法人等が行う統計調査…実施にあたっては総務大臣への届出だけでよいとされています。旧法における届出統計調査に対応します。

(参考:旧統計法における分類)
(1)指定統計調査…国または地方公共団体が作成する統計のうち総務大臣が指定したものをいいます。国勢調査、農林業センサス、工業統計調査、事業所・企業統計調査、人口動態調査等、重要な統計が指定されています。現在、55調査が実施されています(指定統計一覧外部サイトへのリンク)。
(2)承認統計調査(統計報告調整法による)…国の行政機関が個人や民間事業者を対象に行う統計調査で、指定統計調査以外のものをいいます。統計報告調整法において国の行政機関が統計報告の徴収を行う場合にはあらかじめ総務大臣の承認を受けなければならないとされています。法人企業動向調査、国民栄養調査等があります。
(3)届出統計調査…上記以外の統計調査を国、地方公共団体、日本銀行、日本商工会議所が行う場合には総務大臣に目的、事項、範囲、期日、方法等を事前に届出ることになっています。主要企業短期経済観測調査(日本銀行)、商品流通調査(東京都)等があります。

3.統計表の見方
統計は通常、「調査報告」「統計表」「統計年報」といったタイトルの報告書に取りまとめて刊行されます。報告書には統計表の他に調査の概要、調査項目の説明等が掲載されています。『工業統計表. 産業編』平成18年の例を次に記します。

<報告書の構成>
・「序」何の統計調査の報告書であるかということや刊行形態等が記されています。
・「目次」各統計表の表題が記載されています。
・「利用上の注意」調査の概要(調査の目的、根拠、期日、範囲、方法、公表)、本編の概要(集計、産業分類、事業所の産業の決定方法、統計表の項目の説明、表章、回収状況、記号及び注記)、その他の注意事項(調査対象の除外や過去の数値の訂正、本統計調査に関する問い合わせ先)
・「概況」図表を交えた調査結果概要が記載されています。
・「統計表」
・「参考表」推計による全製造事業所に関する統計表他
・「参考」既刊工業(工場)統計表索引、工業統計調査規則、工業調査準備調査名簿、
工業調査票甲、工業調査票乙、工業統計表刊行物一覧

<統計表を見る際の注意点> 
・「表題」統計集団の統計単位の定義、標識(性別、年齢など調査対象集団を分類する際の基準)の定義等を記載して統計表の内容がわかるようになっています(例:「1.産業別統計表(産業細分類別)(1)従業者4人以上の事業所に関する統計表(事業所数、従業者数、現金給与総額、原材料使用額等、製造品出荷額等、付加価値額及び有形固定資産額)」)。なお、『日本統計年鑑』のように各表に注として根拠法規や作成機関、表中の用語・分類・地域区分等の説明、資料出所等が記載される場合もあります。
・「表体(本欄)」統計数値が記入されています。

(参考)
・「符号」統計数値を表す符号には次のようなものがあります。
p=暫定数字(速報数字)、r=訂正数字(確定数字)、0=単位未満(表示単位に満たない数字)、 -=皆無(観察の結果該当数字がない場合)、…=不詳(観察の結果該当数字が不詳)、x=秘匿(秘密保護の観点から秘匿措置を講じた数字。売上高、生産高等で一事業所のデータが明らかになるような場合などに用います。)
・「名目/実質」名目とはその時点の価格そのものをいいます。実質とは名目から賃金や消費等物価の変動分を除去した値です。
・「指数」特定の時点の統計値を基準として他の時点における値を相対的に表したもので、単位がありません。物価指数等の異なる時点間の比較や、地域差を見る場合に用いられます。なお、社会・経済の現状に合わせるため、基準時の改訂及び採用品目の改訂等が行われます。通例、新指数に接続(リンク)させて旧指数が全面的に改算されます。
・「季節調整値」毎月(期)作成される統計において季節的に増減する傾向がある場合、季節による変動分を除去した季節調整値を計算することがあります。

4.入手方法 
従来、報告書(冊子体)で公表されてきましたが、近年はCD-ROM等電子媒体での提供も増えています。報告書の閲覧は総務省統計図書館や当館、各府省の図書館、都道府県立図書館等で可能です。原局版(統計作成機関の刊行)の他に経済産業調査会等の外郭団体が刊行する外売版があり、政府刊行物サービスセンター等で購入可能です。また、各府省HP等でのインターネット上の公開が進み、特に最新データは冊子体よりも早く入手することができます(例:経済産業省の生産動態統計−機械統計外部サイトへのリンク)。主な統計掲載サイトには次のものがあります。

e-Stat(政府統計の総合窓口)外部サイトへのリンク
政府統計のポータルサイトです。次の3つの機能で各省の統計データの検索、閲覧ができるほか、統計に関する最新情報を得ることができます。
「統計データを探す」…キーワード、分野名、作成機関名から統計表を検索、閲覧できます。
「地図や図表で見る」…主要指標や国勢調査(人口、世帯)の統計データを地域を指定して表示させることができます。
「調査項目を調べる」…統計標準分類、統計用語等を検索できます。

総務省統計局HP外部サイトへのリンク
総務省統計局で実施している国勢調査、事業所・企業統計調査など代表的な調査の結果や、『日本統計年鑑』、『日本統計月報』など総合統計書のデータを得ることができます。地方自治体、民間機関、国際機関、諸外国の統計機関へのリンク集もあります。統計図書館所蔵資料の検索も可能です。

5.参考資料 
●『統計六法. 平成17年版』(総務省統計局統計基準部 全国統計協会連合会 2005 【CZ-461-H2】外部サイトへのリンク
●『公的統計の体系と見方』(日本評論社 2008 【DT11-J4】外部サイトへのリンク
●『統計実務基礎知識. 平成20年度版』(総務省政策統括官(統計基準担当) 全国統計協会連合会 2008 【DT11-J5】外部サイトへのリンク
●『指定統計調査用語定義集』(総務省統計局統計基準部 2001 【D2-G276】外部サイトへのリンク
●『統計ガイドブック:社会・経済』(第2版 大月書店 1998 【D1-G71】外部サイトへのリンク
●『官庁統計徹底活用ガイド 2005年版』(日本能率協会総合研究所マーケティング・データバンク 生活情報センター 2005 【DT11-H19】外部サイトへのリンク

6.「テーマ別調べ方案内」内関連コンテンツ
統計総論

 

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