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[アーカイブ] 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の解説記事・論文

この記事は2012年12月20日で更新を停止しました。

 内閣府原子力安全委員会外部サイトへのリンクは、2006年9月19日付けで「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」を改訂しました。「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」は1978年に策定され、これまで1981年と2001年に改訂されています。

 これを受けて、翌日の2006年9月20日付けで、経済産業省原子力安全・保安院外部サイトへのリンクは、原子力事業者等に対して「「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」改訂に伴う既設発電用原子炉施設等の耐震安全性の評価」を実施するよう指示しています。中部電力浜岡原子力発電所のような一部既設発電用原子炉施設についてはすでに評価報告書が提出され、概要が公表されています。

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 2006年9月19日付け外部サイトへのリンク(内閣府原子力安全委員会)
原子力安全基準・指針専門部会 耐震指針検討分科会 議事次第/速記録外部サイトへのリンク(内閣府原子力安全委員会)

「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等の改訂に伴う既設発電用原子炉施設等の耐震安全性の評価等の実施について外部サイトへのリンク(経済産業省原子力安全・保安院)
「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等の改訂に伴う既設発電用原子炉施設等の耐震安全性の評価等の実施計画書について外部サイトへのリンク(経済産業省原子力安全・保安院)
「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等の改訂に伴う浜岡原子力発電所3号機の耐震安全性評価について外部サイトへのリンク(経済産業省原子力安全・保安院)
「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等の改訂に伴う浜岡原子力発電所4号機の耐震安全性評価について外部サイトへのリンク(経済産業省原子力安全・保安院)

以下、平成19年新潟県中越沖地震を経て、原子力発電所の地震リスク評価に関する基本文献として今後あらためて注目を集めることになるであろう、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」外部サイトへのリンクを解説した雑誌記事・論文を紹介します。


★ 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」に関する雑誌記事・論文リスト(【 】内は当館請求記号です。)

『エネルギーレビュー』(26(12) 2006.12 【Z14-993国立国会図書館の所蔵情報へのリンク】)の特集は、「原子力発電所の新しい耐震指針」(pp.6-26)です。

平野光将「新しい耐震指針の考え方 基準地振動の策定方法を高度化」国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(『エネルギーレビュー』 26(12) 2006.12 pp.7-12 【Z14-993国立国会図書館の所蔵情報へのリンク】  
 著者は原子力安全基盤機構総括参事で原子力安全委員会耐震指針検討分科会委員。「一 改定の背景と経緯」、「ニ 主要な検討課題」、「三 指針高度化の基本方針」、「四 公衆からの意見募集と反映」、「五 主な改訂点」、「六 今後の対応について」からなります。主な改訂点としては
1) 最新知見を踏まえて基準地震動の策定方法を高度化した。
2) 基準地振動Ssを上回る地震動による「残余のリスク」を合理的に実行可能な限り小さくする。
3) 重要度分類を四分類から三分類にして耐震安全要求を高度化した。
4) 免震構造等に関する設計技術の進歩は著しく適用実績もあることから、「建物・構造物は原則として剛構造とする」の規定を廃止した。
5) 建物・構造物は設計荷重に応じた十分な支持性能を持つ地盤に設置するのであれば良いので、「岩盤支持」の要求を「十分な支持性能を持つ地盤に設置されること」に変更した。
6) 明示的に示されていなかった地震随伴事象に関する要求事項として、施設周辺斜面の崩壊および津波によっても施設の安全機能が重大な影響を受ける恐れがないことを求めた。
7) 確率論的安全評価の安全規制への導入を今後の課題とした。
があげられています。

大竹政和「「残余リスク」への留意求める 確率論的安全評価に期待」国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(『エネルギーレビュー』 26(12) 2006.12 pp.13-15 【Z14-993】)国立国会図書館の所蔵情報へのリンク
 著者は原子力安全基盤機構技術顧問で原子力安全委員会耐震指針検討分科会委員(東北大学名誉教授)。
残余リスクとは、新潟県中越地震などで想定外の地震動が観測されたことから、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」外部サイトへのリンクp.2に'「残余のリスク」(策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより、施設に重大な損傷事象が発生すること、施設から大量の放射性物質が放散される事象が発生すること、あるいはそれらの結果として周辺公衆に対して放射線被ばくによる災害を及ぼすことのリスク)'として記載されたものです。本論文では、この「残余のリスク」概念が導入された経緯と意義、「残余のリスク」を定量的に評価するための地震PSA(地震の確率論的安全評価)の概要と課題を記述しています。

森下日出喜「電気事業者の今後の対応 既設発電所の安全評価、自主的に実践」国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(『エネルギーレビュー』 26(12) 2006.12 pp.16-19 【Z14-993】)
 著者は東京電力株式会社原子力技術・品質安全部建築グループマネージャー。経済産業省原子力安全・保安院による指示「「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等の改訂に伴う既設発電用原子炉施設等の耐震安全性の評価等の実施について外部サイトへのリンク」への対応について、事業者側から記述しています。

肥田茂「耐震裕度向上工事の実施 浜岡4号機の実例報告」(『エネルギーレビュー』 26(12) 2006.12 pp.20-21 【Z14-993】)国立国会図書館の所蔵情報へのリンク
 著者は中部電力発電本部原子力部長期保全グループ長。中部電力は耐震設計審査指針の改訂審議を契機として浜岡原子力発電所の耐震裕度向上工事を実施することを2005年1月に決定し、工事を進行中です。目標地震振動の設定、耐震裕度の評価、主な改造工事の概要を記述しています。

中村政雄「誤解招く地震報道 俗受けの感情論が害毒流す」(『エネルギーレビュー』 26(12) 2006.12 pp.22-23 【Z14-993】)
 著者は電力中央研究所名誉研究顧問。地震と原発報道についてのマスコミ批判です。特集記事のひとつですが、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」には言及がありません。

白浜健二「免震構造に弾み 剛構造・岩盤支持からの解放」国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(『エネルギーレビュー』 26(12) 2006.12 pp.24-26 【Z14-993】)
 著者は大林組東京本社原子力本部技術部長。「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の旧指針の「3. 基本方針」に"また、建物・構築物は原則として剛構造にするとともに、重要な建物・構築物は岩盤に支持させなければならない。"とあるのが、新指針外部サイトへのリンクでは、"建物・構築物は原則として剛構造にする"という規定はなくなり、'建物・構築物は、十分な支持性能を持つ地盤に支持されなければならない'(p.2)に改定されました。本論文では、一般建築物の免震構造適用状況と原子力施設への適用研究状況を紹介し、原子力施設に免震構造を導入することの利点と課題について述べています。

『エネルギーレビュー』誌特集号以外の雑誌記事・論文を以下に紹介します。

大竹政和「原子力発電所の新しい耐震指針」国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(『地震ジャーナル』 (43) 2007.6 pp.60-67 【Z15-501】)
 著者は原子力安全基盤機構技術顧問で原子力安全委員会耐震指針検討分科会委員(東北大学名誉教授)。耐震指針とは何かという説明と指針改訂の経緯を紹介し、改訂のポイントとして、「地震に対する安全機能保持要求の明確化」、「基準地震動策定の高度化」、「「残余のリスク」の導入」の3点をあげてそれぞれについて具体的に説明しています。今後の課題として、耐震設計における確率論的要求を指針上で明確に位置づけていくこと、地震PSA(PSA:Probabilistic Safety Assessment 確率論的安全評価)の信頼度をさらに向上させていくこと、があげられています。

壇一男「リスク 最近の地震から見た原子力発電所の耐震設計における地震動評価について」国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(『科学』 76(12) 2006.12 pp.1194-1201 【Z14-72】)
 著者は大崎総合研究所勤務。「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針外部サイトへのリンク」改訂の要点のうち、1) 断層モデルを用いた方法による地震動評価、2) 活断層の調査と認定、3) 直下地震の取り扱い、4) 短い活断層の震源断層の想定、5) 地震と地震動の地域性、6) 残余のリスク、について最近の地震記録と照らし合わせて論じています。最後に地震動評価に関する学術的な進展の見通しについて展望しています。

名倉繁樹、前田洋介、水間英城、青山博之「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針の改訂について」(『日本地震工学シンポジウム論文集 第12回』 2006 論文番号S1-4 pp.43-49 【YH233-H1971】)
 名倉は原子力安全・保安院、前田、水間は原子力委員会、青山は東京大学名誉教授・原子力安全委員会耐震指針検討分科会主査。新指針外部サイトへのリンク公表直前の2006年8月末時点での概要をとりまとめたものです。新指針改訂の要点として以下があげられています。
・基本方針の変更点として、剛構造の原則が削除され、岩盤支持の規定が変更され、新たに「残余のリスク」が記載されたこと。
・耐震設計上の重要度分類の一部変更がなされたこと。
・基準地震動の策定方針の高度化がはかられたこと。具体的には、基準地震動Ssとしての策定方針の一本化、鉛直方向の基準地震動の策定、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」と「震源を特定せず策定する地震動」を規定、活断層調査等についての規定の追加、耐震設計上考慮すべき活断層の評価基準の変更、断層モデルを用いた地震動評価の全面的な採用、基準地震動の策定過程における不確かさの考慮、策定された基準地震動の超過確率の参照。
・耐震設計方針の変更として、弾性設計用地震震動Sdの設定、鉛直方向の動的地震力の考慮。
・地震随伴事象に関する規定内容が追加されたこと。

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