■気分障害とは
気分障害は、長期にわたる過度の悲しみ、過度の喜び、またはその両方からなる感情障害で、一般的に躁うつ病やうつ病と呼ばれる疾患は気分障害の一種です。気分障害は、その程度が著しい場合には社会生活に支障をきたし、患者自らが苦しむだけでなく、周囲の人びととの間に問題を生じる事態に陥ることになります。通常この疾患における感情の変化は、気分の高揚への方向を示す躁病相と、抑うつへの方向を示すうつ病相に二分され、うつ病相のみを持つものはうつ病性障害、両者の病相を持つものは双極性障害に分類されます。
うつ病性障害は、機能が妨げられるほど重症の、または持続的悲しみと、ときに活動への関心や喜びが低下することを特徴とする気分障害で、単にうつ病とも言われます。正確な原因は不明ですが、おそらくは遺伝、神経伝達物質濃度の変化、神経内分泌機能の変化、および心理社会的要因が関与すると言われています。治療は薬物療法、精神療法、またはその両方と、場合によっては電気痙攣方法からなります。
一方、双極性障害は、躁と抑うつを特徴とし、通常はこれらが交互にあらわれる気分障害を指します。こちらも正確な原因は不明ですが、遺伝、脳内神経伝達物質濃度の変化、心理社会的要因が関与していると言われています。治療は薬物療法が主で、ときに精神療法を併用します。
参考:
・『メルクマニュアル:日本語版』(日経BP社 2006 【SC2-H170】
・『心の家庭医学』(保健同人社 1999 【EF32-G1519】
【 】内は当館請求記号です。所蔵館(東京本館/関西館)については、“《⇒NDLの所蔵》”をクリックし、「書誌詳細表示」画面の「所蔵詳細/申込み」ボタンをクリックしてご確認ください。
■気分障害に関する図書資料
以下に、当館で所蔵している、気分障害について調べる参考図書を紹介します。
●『気分障害治療ガイドライン』(精神医学講座担当者会議監修 医学書院 2004 【SC377-H142】)
気分障害に関して、疾患の定義、概念、診断、管理治療、看護の方法、患者への説明や教育などを明示しており、診療の実際的な指針となるガイドラインです。特に、「第3章 治療法の解説」(pp.46-138)では、「薬物療法」、「電気けいれん療法」、「精神療法」、「断眠療法」、「高照度光療法」の5つの療法について、エビデンスに基づいた治療効果、実際の治療方法のほか、副作用についても詳細に解説されています。各章や編の末尾には参考文献が豊富に明示されているので、より詳しく調べたい場合にも便利です。
●『最新うつ病治療ハンドブック』(ジョン・ポトカー,マイケル・テーズ編 日本評論社 2004 【SC377-H179】)
うつ病とその治療法について、分かりやすくまとめられた資料です。「第1章 うつ病」では、うつ病の定義や疫学について解説しており、うつ病の診断基準や世界的な有病率、危険因子などを知ることができます。「第4章 抗うつ薬の進歩」ではセロトニンなどの古典的な抗うつ薬から、ハーブを取り入れた新しい抗うつ薬まで、さまざまな抗うつ薬を紹介しています。「第5章 他の抗うつ治療」では、光療法や電気けいれん療法などの、薬物以外の抗うつ療法を紹介しています。第7章および第8章ではうつ病の心理療法と代替療法(自然医薬品による療法)について解説しています。
●『気分障害 精神科臨床ニューアプローチ;2』(朝田隆編 メジカルビュー社 2005 【SC377−H276】)
臨床医が日常の診療場面で出会うことの多い症例に焦点をあて、診療から治療までを解説した資料です。「I 現代の気分障害の概念」では気分障害の疫学、歴史的変遷の概要を説明するほか、「一般医がうつに気付くために」でうつ病にともなう身体症状や一般身体疾患とうつ病の関係など、臨床の場で役立つ知識を紹介しています。「II 気分障害の治療」では、薬物治療に使用する薬剤の特徴や修正型電気けいれん療法(m-ECT)などの身体療法、うつ病患者の自殺とその予防といった、治療と患者のケアについて詳しく解説しています。「III 気分障害の今日的課題」では、「緩和ケアの場におけるうつ」や「思春期のうつ」「高齢期のうつ」など、ケースごとのうつ症状に対する治療法や問題点を紹介しています。巻頭に「用語解説一覧」、「略語一覧」、「掲載薬剤一覧」があるので、調べたい事項がどこに掲載されているかを見つけやすくなっています。
内容紹介や目次はメジカルビュー社ホームページ内の精神科臨床ニューアプローチ 2 気分障害
●『エビデンスに基づく難治性うつ病の治療』(野村総一郎,樋口輝彦編著 新興医学出版社 2006 【SC377-H491】)
うつ病の中でも、治りにくく、社会復帰が困難であった症例に基づいて、課題や具体的な方策ごとの業績を分かりやすくまとめた資料です。抗うつ薬の併用やリチウム強化治療などの各治療法についてその効果と今後の課題をまとめているほか、難治性うつ病患者の中でも、割合が比較的高いラピッドサイクラー(1年間に4回以上、躁病相またはうつ病相を示す患者)への対応法については特に詳しく示されています。最終章の「難治性うつ病アルゴリズムの提唱」では、現時点でのベストと考えられる治療アルゴリズムが提唱されています。
●『うつ病診療ハンドブック』(樋口輝彦編著 メディカルレビュー社 2002 【SC377-H47】)
精神医療に従事していない医療関係者や一般人向けに編集された、うつ病の解説書です。「第1章 うつ病とは?」でうつ病の定義や症状、経過について分かりやすく解説しています。第2章では診断法や各種診断基準、うつ病の分類について説明し、第3章では薬物療法以外の各種治療法(高照度光療法、電撃療法、断眠療法など)の解説を、第4〜5章では抗うつ薬の選び方や使い方とその副作用と対策について詳しく説明しています。第6章ではうつ病の原因、第7章では身体の病気に伴ううつ、第8章ではうつ病以外に抗うつ薬が効く病気について解説しています。
●『気分障害』(樋口輝彦著 新興医学出版社 2005 新現代精神医学文庫 【SC377-H266】)
気分障害の診断や治療、今後の課題についてコンパクトにまとめた資料です。うつ病の分類や診断基準、診断の目安となるエピソード(質問表)を掲載しています。そのほか、うつ病治療の歴史と最新の治療法、抗うつ剤について解説されています。
●『うつ病診療のコツと落とし穴』(上島国利編 中山書店 2005 【SC377-H324】)
EBM(根拠に基づく医療)を重視し、臨床現場における様々な症例を集積した資料です。「激越うつ病を躁病と誤診することがある」、「適応障害と鑑別困難なうつ病の診断について」、「慢性うつ病への薬物による対応」など、実際の症例に基づいた95項目を収録しています。各項目では治療法や診断方法の選択とその結果、今後の課題などをおおむね見開き2ページ程度ずつ解説しています。
■気分障害に関する論文の調べ方
●雑誌記事索引
NDL-OPAC
雑誌記事索引の詳しい検索方法についてはテーマ別調べ方案内の「雑誌記事索引における検索語の探し方と検索式の作り方」をご参照ください。
雑誌記事索引に収録されている文献は原則として国立国会図書館所蔵資料です。登録利用者であれば検索結果から直接複写申込みができます。それ以外の方は当館ホームページの「複写サービス」−「お近くの図書館から申し込む」をご参照ください。
●医中誌Web
東京本館、関西館総合閲覧室に来館可能な方は、医学中央雑誌刊行会が作成する医学文献二次情報データベース医中誌Webが利用できます。
医中誌に含まれる統制語の中に「気分障害」があります。シソーラスの下位語も含む検索では、「うつ病」、「双極性障害」なども含めた検索をすることができます。検索するには、ログインして「ADVANCED」タブを選択するか、「アドバンスド・モード」ボタンを押します。年代の検索範囲については、右上の検索対象年の右横の「変更」をクリックして適宜設定してください。検索対象年を2003〜2008に設定して、検索ボックスに「気分障害」と入力し検索ボタンを押すと、上記の通り下位語を含む統制語で検索し、さらに論題、抄録中に「気分障害」を含むレコードも併せて検索します。この検索を行うと、10,586件の文献がヒットします(2008年8月11日現在)。文献を絞り込みたい場合は、キーワードを追加したり、絞込み検索で文献の属性などを指定してください。医中誌Webの詳しい検索方法については、テーマ別調べ方案内の「医中誌Web(館内でのみ利用できます)」をご参照ください。
●JDreamII
東京本館科学技術・経済情報室、関西館総合閲覧室に来館可能な方は、科学技術振興機構(JST)が作成する科学技術文献二次情報データベースJDreamIIが利用できます。
JDreamIIに収録されているシソーラス用語に「欝病」があります(気分障害は準シソーラス用語になっています)。データベース選択画面で「JMEDPlus」のボタンを選択し、「シンプルモード」ボタンを押します。検索対象プルダウン・メニューを「キーワード」(デフォルト)のまま、検索ボックスに、「欝病」と入力し、「検索」ボタンを押します。
この検索を行うと、24,401件(うち日本語文献21,001件)の文献がヒットします(2008年8月11日現在)。
検索結果から国立国会図書館所蔵の原文献を入手したい場合は、お近くの係員にお尋ねください。
●PubMed
米国国立医学図書館(U. S. National Library of Medicine)が提供する、医学文献二次情報データベースMEDLINEを中核とする無料医学情報サービスです。PubMedにおける気分障害に対応する件名は「mood disorders」です。初期画面で検索ボックスに“"mood disorders"[Mesh]”と入力し右側のGoボタンを押すと気分障害とその下位概念(例:Depressive Disorderなど)に関する論文を検索することができます。この検索を行うと、81,837件がヒットします(2008年8月9日現在)。検索結果を絞り込みたい場合は、検索語を付加するか、左上のLimitsタブを押して検索を進めてください。このとき、“Links to free full text”にチェックを入れると、無料で全文アクセス可能な文献のみに検索対象を絞り込むことができます。
PubMedの詳しい検索方法と検索結果から原文献を入手する方法についてはテーマ別調べ方案内の「PubMedの検索と原文献入手法」をご参照ください。
■インターネット情報
次のインターネットサイトでも、気分障害に関する情報を入手することができます。
●一般診療科におけるうつ病の予防と治療のための委員会
中根允文長崎国際大学教授・長崎大学名誉教授、津田司三重大学教授総合監修の、うつ病の治療・診療・予防に関する情報を提供するサイトです。一般向けのページと医療関係者向けのページがあります。一般向けのページではうつ病の主な症状や種類などの概要と治療法、診療科の選択に関するアドバイスなどが記載されています。
●厚生労働省
「うつ対応マニュアル
●「うつ」について
うつ病の主な症状や対応の仕方のほか、自己診断チェックリストを掲載しています。
●うつ病ドリル
うつ病を克服された方が運営するサイトです。医療関係者によるサイトではありませんが、うつ病に関する最新ニュースやうつ病の症状と種類、回復のために心がけることなどの情報を得ることができます。医師が実際に現場で使用している診断チェックやうつ病の回復・克服体験談なども掲載されています。








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