【目次】
1. 統合失調症とは
2. 統合失調症に関する参考図書
3. 統合失調症に関する雑誌記事・論文の探し方
4. 統合失調症に関するインターネット情報源
【本文】
1. 統合失調症とは
統合失調症は神経伝達物質の1つであるドーパミンの働きが過剰になることにより、様々な症状を引き起こす疾患です。かつては「精神分裂病」と呼ばれていましたが、その病名は多重人格のようなものと間違った解釈を招くとして、現在では統合失調症と呼ばれています。ドーパミンの働きが強くなると、幻覚、幻聴、妄想、興奮などの症状が表れたり、神経が過敏になって集中力や注意力が低下したりします。根本的な原因はまだはっきりと解明されていませんが、遺伝やストレスなど、様々な因子が関わっていると考えられています。日本では約76万人の統合失調症患者が治療を受けており、医療機関を受診していない人を加えると、統合失調症の患者はおよそ100万人にのぼり、有病率は0.7〜1.0%と考えられます。
統合失調症の経過は人により様々ですが、一般的には幻聴、妄想、興奮などの陽性症状に始まり、病気に気付くことが多いようです。陽性症状については抗精神病薬などの薬物治療による効果が期待できます。その後、根気がない、ストレスに弱い、などの陰性症状が表れます。陰性症状は長期にわたることが多く、根気よく治療することが求められます。
参照
『統合失調症 : 患者・家族の悩みや不安・疑問にやさしく答える』pp.13-18、pp.37-39
2. 統合失調症に関する参考図書
NDL-OPAC
こうして検索した結果の中から、数点の図書をご紹介します。
●『統合失調症治療ガイドライン』(精神医学講座担当者会議監修 医学書院 2004.1 【SC377-H109】
統合失調症の概念、治療計画の策定、治療法の解説などがエビデンスに基づいて記述されているガイドラインです。「第1章 疾患の概念」では、概念、疫学、臨床症状、経過と転帰などの統合失調症の基礎知識を解説しています。「第2章 治療計画の策定」では、治療計画の立て方とその参考になる急性期、回復期、安定期の各病期における症状の評価と治療法の選択などを解説しています。「第3章 治療法の解説」では、治療法を薬物・身体療法と心理社会的療法に大別し、それぞれの概要と治療効果を解説しています。薬物療法については、薬種ごとの使用法とその副作用が詳しく解説されています。
●『統合失調症 : 患者・家族の悩みや不安・疑問にやさしく答える』(春日武彦監修 主婦の友社 2007.5 【SC377-H559】
統合失調症の患者や家族が治療の過程、あるいは日常生活を送る上で困りがちなことやよく疑問に思われることを取り上げ、Q&A形式で分かりやすく解説した資料です。内容は、統合失調症の病態、病気の受け止め方、治療の進め方、家での療養生活のポイントなど多岐に渡ります。患者を援助するための福祉制度など、治療以外の面でも患者や家族にとって役立つ情報が含まれています。
●『統合失調症の治療 : 理解・援助・予防の新たな視点』(原田誠一著 金剛出版 2006.11 【YU7-H4110】
患者やその家族、医療関係者など、統合失調症に関わる幅広い層の人々が病気に対する理解を深められるように編集された資料です。精神療法や認知療法を中心とした療法の解説や病気の早期発見と発病予防などが分かりやすく解説されています。幻聴治療のための患者や家族向けパンフレットの作成方法やさまざまな症状や治療状況でのアドバイス集など、医師が診療の際に使える情報も多く掲載されています。また、本書は患者のつらい症状を周囲が理解し、正しく援助できることにも主眼を置いており、附属のCD−ROMには統合失調症の代表的症状である幻覚妄想を疑似体験できる「バーチャルハルシネーション 日本語版」が収録されています。
●『統合失調症 : 患者・家族を支えた実例集』(林公一著 保健同人社 2007.1 【SC377-H533】
統合失調症という病期を分かりやすく理解するために、事例を引用しながら症状の経過や治療について解説しています。紹介されている実例は全部で29で、統合失調症の症状の過程である前駆期→急性期→消耗期→回復期という経過に合わせて、様々な年齢や性別の患者の例が取り入れられています。薬物などの治療で症状を抑える治療だけでなく、仕事の再開や結婚などの社会復帰に至るまでのプロセスや再発など、予後の経過に関する実例も豊富です。
●『統合失調症の治療 : 臨床と基礎』(佐藤光源,丹羽真一,井上新平編 朝倉書店 2007.10 【SC377-H634】
統合失調症の治療を行う精神科医が臨床の場で役立てることができるようにまとめられた資料で、やや専門的な内容を含みます。「統合失調症の概念」、「統合失調症の治療の場、治療手段、社会復帰と関連法規」、「治療計画策定の有用な各種の評価」、「治療手段の基礎」、「治療計画策定と治療の実際」の5章で統合失調症の治療計画を立てたり、治療法を実践するために役立つ内容が盛り込まれています。
●『統合失調症を理解する : 彼らの生きる世界と精神科リハビリテーション』(広沢正孝著 医学書院 2006.8 【SC377-H480】
統合失調症患者の家族や診療に携わる医療スタッフが、病気に対する理解を深めることを目的として編集された資料です。筆者自身の経験のほか、患者の家族、医療関係者から寄せられた疑問や体験談を基に創作した症例も掲載されています。これらの症例の集積によって統合失調症患者の特性を把握できるようになっており、同時に治療過程における患者への対応を考える際の参考にもなる内容となっています。
3. 統合失調症に関する雑誌記事・論文の探し方
●雑誌記事索引
NDL-OPAC
雑誌記事索引に収録されている文献は、原則として国立国会図書館所蔵資料です。登録利用者であれば検索結果から直接複写申込みができます。それ以外の方は当館ホームページの「複写サービス」>「お近くの図書館から申し込む」をご参照ください。
●医中誌Web(館内でのみ利用可)
国内の大学・学協会・研究所・病院等が発行している約4,700誌の定期刊行物に掲載されている論文の中から採録された文献情報の検索が可能です。東京本館および関西館に来館可能な方は、無料で利用することができます(複写は有料)。
統合失調症に関する医中誌の統制語に“統合失調症”があります。アドバンスド・モードの検索画面で、デフォルトのまま、新規検索の検索窓に“統合失調症”と入力して検索すると、“共有性妄想障害”など、統合失調症の下位概念も含んだ統制語検索が可能です。検索対象年を2003〜2008に設定して、この検索を行なうと10,730件の文献がヒットします(2008年8月5日現在)。文献を絞り込みたい場合は、キーワードを追加したり、絞り込み検索で文献の属性などを指定してください。医中誌Webの詳しい検索方法については、テーマ別調べ方案内の医中誌Web(館内でのみ利用できます)をご参照ください。
●PubMed
米国国立医学図書館(U. S. National Library of Medicine)が提供する、医学文献二次情報データベースMEDLINEを中核とする無料医学情報サービスです。PubMedでは、MeSHという件名システムを用いています。この件名システムにおいて、統合失調症に相当する件名は“Schizophrenia”です。検索ボックスに“"Schizophrenia"[Mesh]”と入力し、「Go」ボタンを押すと件名検索を行うことができます。この検索を行うと、66,186件の文献がヒットします(2008年8月5日現在)。検索結果を絞り込みたい場合は検索語を付加するか、左上のLimitsタブをクリックして絞り込む条件を設定してください。“Links to free full text”にチェックを入れると、無料で全文アクセス可能な文献にのみ検索対象を絞り込むことができます。
PubMedの詳しい検索方法や検索結果から原文献を入手する方法については、PubMedの検索と原文献入手法をご覧下さい。
上記のデータベースで検索した結果の中から、日本語の記事を数点ご紹介します。タイトルの後ろに“《⇒記事情報》”とあるものは、NDL-OPACの「雑誌記事索引」に収録されており、クリックすると書誌事項を確認できるほか、登録利用者であれば、そのまま郵送複写を申し込むことも可能です。
●「【日常臨床における精神療法】 統合失調症者のニーズを汲むということ」 《⇒記事情報》
Author:横田泉(オリブ山病院)
Source:臨床精神医学(0300-032X) 36巻11号 Page1463-1468 (2007.11) 【Z19-686】
主に慢性期の統合失調症患者の症状に関しては、「病気」という視点からでは理解できない側面や、アルゴリズムにしたがって治療するという合理的な方法論が、必ずしも向いていないことなどがあるとされています。この論文では、そうした一般的なガイドラインをあてはめることのできない統合失調症の症状を解説しています。論文中では、筆者自身が経験した症例が挙げられており、そのときどのように対応し、解決したかが詳細に紹介されています。
●「【生活習慣へのアプローチ】 統合失調症と嗜好品 薬との相互作用や留意すべきこと」 《⇒記事情報》
Author:渡邉博幸(千葉大学 大学院医学研究院精神医学)
Source:精神科看護(0910-5794) 35巻2号 Page37-41 (2008.01) 【Z19-1605】
統合失調症患者が、嗜好品であるタバコ、カフェイン、炭水化物を摂取することによって生じる健康問題について論じています。タバコに関しては、統合失調症患者の喫煙率が一般的に高いこと、ニコチンが患者に与える薬理学的作用、患者の禁煙を成功に導くための手法などを解説しています。カフェインと炭水化物については、統合失調症患者が過剰摂取しがちなことと、過剰摂取に起因する水中毒や肥満などの健康被害について解説しています。
●「【新薬展望2008】 治療における最近の新薬の位置付け<薬効別> 新薬の広場 統合失調症治療薬・抗精神病薬」 《⇒記事情報》
Author:中根允文(長崎国際大学 大学院人間社会学研究科)
Source:医薬ジャーナル(0287-4741) 44巻増刊 Page487-492 (2008.01) 【Z19-546】
統合失調症治療薬開発の現状と展望を述べた記事です。統合失調症を適応とする代表的な抗精神病薬の一覧表を掲載して現在使われている主な治療薬を紹介しているほか、現在開発中の新薬にも言及しています。各製薬会社の新薬開発状況も掲載されています。
●「【社会的認知と神経心理学】 統合失調症における社会認知障害と脳構造/機能異常」
Author:平尾和之(京都大学 大学院医学研究科精神医学教室), 並木千尋, 山田真希子, 宮田淳, 村井俊哉
Source:神経心理学(0911-1085) 23巻4号 Page268-278 (2007.12) 【Z19-1675】
統合失調症の症状の1つである社会認知障害の中でも、特に注目されることの多い「心の理論」の障害と表情認知障害が、統合失調症患者にみられる脳の異常とどのように関連しているのかを考察しています。社会認知プロセスを支える神経基盤(社会脳)と統合失調症、あるいは表情認知障害と扁桃体の異常との関連などを写真や図入りで解説しています。
4. 統合失調症に関するインターネット情報源
●統合失調情報局 すまいるナビゲーター
国際医療福祉大学国際福祉学部の上島国利教授が総監修・アドバイザーを務めるサイトで、統合失調症の患者やその家族を対象に疾患や治療などの情報を提供しています。患者の家族向けに病気の概要を易しく解説した「家族の支援ガイド」や薬の種類とその副作用を解説した「お薬について」などのコンテンツがあります。「疾患を超えて」では、患者や家族の体験記を掲載しているほか、統合失調症に関する講演会や患者会・家族会の集いなどのイベントカレンダーを掲載しており、患者・家族のネットワークを構築するのに役立つ情報もあります。
●統合失調症
ヤンセンファーマ株式会社が運営する「メンタルナビ」内の統合失調症に関するコンテンツです。帝京大学医学部の南光進一郎教授が監修しています。統合失調症の症状や発生率などの基礎的知識の解説や治療のポイントの解説が閲覧できるほか、「病院を探す」では統合失調症を診療する病院を地域ごとに検索することができます。
★他のコンテンツへのリンク
■患者会について調べる
■闘病記・看病記を探す








しらべ方:分野別
本の種類からさがす