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この記事は2014年7月 2日で更新を停止しました。

2008年のノーベル化学賞が、下村脩氏に授与されました。ここでは、同氏の受賞研究で扱っている「緑色蛍光タンパク質(GFP;Green Fluorescent Protein)」について、比較的平易に解説している資料を紹介します。なお、【 】内は当館請求記号です。


[目次]
1. GFPとは
2. GFPについて調べることのできる資料


1. GFPとは

 2008年のノーベル化学賞は、下村脩氏(米ボストン大学医学校名誉教授)、マーチン・チャルフィー氏(米コロンビア大学教授)、ロジャー・チャン氏(米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授)に授与されました。受賞理由は、「緑色蛍光タンパク質(GFP;Green Fluorescent Protein)の発見と開発」です。
 GFPは、オワンクラゲから発見された蛍光タンパク質で、単独で発色団(色を発現する化学構造)を形成するのが特徴です。特定の分子に蛍光タンパク質を付け(GFPの遺伝子を目的タンパク質の遺伝子と融合させて生きた細胞内で発現させるなどの方法があります)、その特定分子の挙動を観察することによって細胞内で起こる生命現象を解析する「蛍光イメージング」の分野で主に用いられています。
 蛍光イメージングとは、バイオイメージングの一種です。バイオイメージングとは、特定の分子が、いつ、どこで、どの分子と連関して機能しているかを可視化する技術のことで、生命科学の研究者にとっては必要不可欠な技術です。蛍光イメージングとは、特定分子だけに結合する蛍光色素で細胞を染色し蛍光顕微鏡で観察することによって、その分子の細胞内での挙動を解析することができる技術です。GFPの発見以前には、分離精製したタンパク質に化学的に蛍光色素を結合し、細胞に付加するという方法が取られていましたが、大変煩雑な作業でした。GFPの発見により、比較的容易に細胞内のタンパク質を蛍光標識することが可能となり、蛍光イメージング法を発展させることになったのです。
 1962年の発見からさらに研究が進められ、1990年代にGFPの遺伝子を単離する方法が確立されたことでGFPへの注目が高まりました。現在では、様々な海洋生物から蛍光タンパク質を作成しており、変異導入により色も多様になるなど、蛍光タンパク質の種類が増えています。複数の蛍光タンパク質を用いて、同時に異なる分子の挙動を観察するといったマルチカラーイメージング技術が注目されています。

※下村教授の1962年発表の論文は、以下の書誌事項で当館関西館にて所蔵しています。

SHIMOMURA O, JOHNSON FH, SAIGA Y「Extraction, purification and properties of aequorin, a bioluminescent protein from the luminous hydromedusan, Aequorea」(『Journal of Cellular and Comparative Physiology』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク 59(3) [1962.6] pp.223-239 【Z53-D30】)
インターネット上で公開されている全文外部サイトへのリンク

参照:
2008年ノーベル化学賞外部サイトへのリンク(ノーベル財団プレスリリース)
『ビジュアルバイオロジー : 細胞の蛍光イメージング』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク【RA64-H17】
『タンパク質 : 科学と工学』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク【RA78-G35】
『バイオイメージングがわかる : 細胞内分子を観察する多様な技術とその原理』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク【RA64-H13】


2.GFPについて調べることのできる資料

『GFPとバイオイメージング』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(羊土社 2000.10 【RA78-G48】)
 GFP技術について詳細に解説した資料です。「第1章 GFPの基本原理と実用的基礎知識」(pp.10-45)では、GFPの有用性、GFP発見の経緯、GFPのクローンニング技術(GFP遺伝子を導入することによって観察対象である細胞の特定部位に蛍光を創り出す技術)、発色団形成のしくみやGFPの明るさ、GFPのpH感受性(pHが下がると蛍光強度が減少する)などGFPの持つ様々な性質を詳細に解説しています。GFP発見の経緯については、今回ノーベル化学賞を授賞した下村氏本人が「GFP発見の歴史」と題して記しています。2章以降では、GFPを用いた基礎実験の解説、酵母やマウスなど対象別のGFPの適用例の紹介、最新トピックスの紹介と続きます。付録として、GFPに関する代表的なウェブサイトを紹介しています。

『タンパク質の事典』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(朝倉書店 2008.7 【RA2-J8】)
 主に、タンパク質全体に観られる共通の性質とその測定法について解説した資料です。概論と各論から成ります。GFPについては、概論の「8.タンパク質の物理学」の「7.光学物性」(pp.36)で以下のように述べています。
"緑色蛍光タンパク質(GFP)の蛍光特性はタンパク質の光学物性として特に興味深い。蛍光発色団が補欠分子族ではなく、タンパク質分子内のアミノ酸の反応によって生じ、その蛍光特性がタンパク質の構造に影響を受けているからである。この特質によりGFPは遺伝子工学の活用により、生物学研究における広汎な光学プローブとなっている。"
 また、各論の「蛍光タンパク質」(pp.299-300)の項には、より詳細な記述があり、"GFPは238アミノ酸からなるタンパク質"であること、"65番目〜67番目のセリン、チロシン、グリシンがタンパク質のフォールディングにより、環化、脱水、酸化反応を経て発色団パラヒドロキシベンジリデンイミダゾリノンとなる"旨記述しています。

『タンパク質 : 科学と工学』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(講談社 1999.6 【RA78-G35】)
 タンパク質の構造、性質、機能のほかタンパク質工学など様々な側面から解説した資料です。「9章 タンパク質工学の実際」の「9.9 緑蛍光タンパク質」(pp.191-194)の項で、GFPの発光のしくみについて解説しています。構造図等を用い、やや専門的な内容です。

『ビジュアルバイオロジー : 細胞の蛍光イメージング』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(サイエンス社 2006.9 【RA64-H17】)
 細胞を生きたまま観察することができる光学顕微鏡法、特に、特定の分子の挙動を観察するのに適している蛍光顕微鏡によるイメージング法を解説した資料です。「3.3 蛍光性タンパク質」(pp.32-38)では、オワンクラゲから発見された緑色蛍光タンパク質(GFP;Green Fluorescent Protein)を細胞の蛍光染色に有用なものとして採り上げ、発色のしくみについては、非常に簡潔ですが、
"GFPは238アミノ酸からなり、分子量は約28キロダルトンである。結晶構造が解かれ、65〜67番目のアミノ酸によって発色団が形成されることが分かった。"(p.32)
と記載しており、結晶構造の模式図も掲載されています。

『バイオイメージングがわかる : 細胞内分子を観察する多様な技術とその原理』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(羊土社 2005.9 【RA64-H13】)
 本書は、細胞や組織において、特定の分子の挙動を可視化する技術であるバイオイメージングについて解説しています。「第3章 バイオイメージングのための蛍光タンパク質」(pp.43-50)では、GFPのほか様々な蛍光タンパク質について、写真や特性をまとめた表を用いて解説しつつ、適切な蛍光タンパク質の選択について記述しています。また、最近の動向などについて述べています。

●唐澤智司「基礎講座 蛍光たんぱく質(Fluorescent Protein)」国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(『日経バイオビジネス』 (54) [2005.11] pp.68-71 【Z74-C553】)
 GFPがマーカー(標識)として優れていることを冒頭で述べ、最近の動向を解説しています。2000年以降、日本でも蛍光タンパク質遺伝子の単離の研究が進んでいること、分子のマーカー以外にもタンパク質相互作用解析にも使用されていることなどを、イラストや写真などを用い比較的平易な用語で解説しています。


≪関連する調べ方案内へのリンク≫

<南部陽一郎博士・小林誠博士、益川敏英博士ノーベル賞(物理学賞受賞)>素粒子物理学における「対称性の破れ」について調べる

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