IEC規格

IEC規格の調べ方と当館の所蔵について紹介します。【 】内は当館請求記号です。

1. IEC規格とは

IEC規格は、国際電気標準会議外部サイト(International Electrotechnical Commission:IEC)が制定する国際規格です。IECは各国の代表的な標準化機関によって組織される非政府間国際機関で、電気通信分野をのぞく電気・電子分野について、国際的な標準化を行っています。2024年3月現在、IECには90ヶ国(正会員+準会員)が参加しており、日本からはJISを制定する日本産業標準調査会(JISC)が代表として参加しています。
規格は、その規格を制定した団体の種類・規模によって、適用範囲が異なってきますが、ISO外部サイト(国際標準化機構)やIECといった国際機関が制定した国際規格は全世界で適用されます。また、近年は国家規格などを制定・改訂する際に、国際規格と整合性を持つことが義務付けられており、日本においてもIEC規格とJISとの整合化がはかられています。

2. IEC規格の規格番号

規格番号は「IEC」で始まり、その後ろに番号、発行年が付記されます(例:IEC 60400:2014)。
ひとつの規格が複数のパートに分かれる場合は、番号に続けてハイフン、枝番が表示されます(例:IEC 61000-4-11:2004 )。
1997年に番号体系が変わり、それ以前に制定されていた規格の番号は、以前の番号に60000を加えたものに変更されました。(例:IEC 34-1 −>IEC 60034-1)

▼IEC規格のエディション(Ed.)について
エディションは、その規格の版数を表します。(例:IEC 60400 Ed. 7.1)
詳しくは、日本規格協会 JSA Group Webdesk IEC検索外部サイトの説明を参照してください。
なお、国立国会図書館サーチではエディションを確認できないことがほとんどです。

規格番号の前後に、以下のような記号がつくことがあります。
▼IECの後につく各記号
・TS(Technical Specification 技術仕様書)
将来的にIEC規格として採用される可能性があるが、標準化の対象が開発途上であるなど、IEC規格として直ちに発行できない場合に発行される文書です。
・PAS(Publicly Available Specifications 公開仕様書)
緊急の市場ニーズに対応するために発行される文書で、基本的に3年後までに規格化または廃止されます。
・TR(Technical Reports 技術報告書)
通常の国際規格とは異なる種類の調査データなどを、参考文書として発行したものです。
・Guide(ガイド)
標準化に関する規則や方向付けなどを示した文書です。

▼規格番号の後につく各記号
・Amd(Amendment)修正票であることを示します。
・Cor((Technical) Corrigendum)正誤票であることを示します。

▼IECの前後につく他の規格制定団体の略称
・IECと他の標準化団体が合同で制定した規格は、次のように表示されます。
例:ISO/IEC 27001(ISO:国際標準化機構と合同で制定)
・CISPR(シスプル:国際無線障害特別委員会)
IECの特別委員会ですが、他のIEC専門委員会とは異なり、無線妨害の抑制に関心のある国際機関もメンバーとして参加しています。電気・電子機器からの不要電波(妨害電波)の許容値や測定法に関する規格を定めています。
例:CISPR 11:2004(IECは頭に付かないことが多い)

3. 国立国会図書館における所蔵範囲

▼規格票(英語版・邦訳版)
IECの個々の規格は規格票という小冊子形式で発行されます。国立国会図書館では英語版の規格票を継続的に購入しており、関西館でのべ約26,000件を所蔵しています(2024年3月現在、改訂規格、ISO/IEC等含む)。また、日本規格協会が作成・発行する邦訳版を関西館で所蔵しています。近年はCD-ROM形式で所蔵しているものもあります。

4. 所蔵資料の検索方法

国立国会図書館で所蔵するIEC規格は、国立国会図書館サーチで所蔵を確認することができます。

▼規格票(原語版・邦訳版)
詳細検索画面で、資料種別の「規格・テクニカルリポート類」のみにチェックを入れ、キーワード欄に規格番号を入力して検索します。検索がうまくいかないときは、規格番号の前後に半角アスタリスク(*)をつけて検索してみてください。

※一つの番号でも、次のような複数の規格が検索されることがあります。
検索結果一覧画面だけでなく、書誌情報画面も確認してください。
・現行の規格、改訂された規格、廃止された規格、邦訳版、
対応する国家規格(JIS規格等)、AMD(修正票) など

例:「IEC 61000-4-11*」で検索した場合、次のような規格票が検索されます
1.IEC 61000-4-11:2017 (英仏併記) 現行の規格です。
2.IEC 61000-4-11:2004(英仏併記 改定規格) 改訂される前の規格です。
3.IEC 61000-4-11 AMD1:2017 (改定規格 英仏併記) 2の修正票です。
4.IEC 61000-4-11 AMD1:2017 (改定規格 邦訳) 日本規格協会による3の邦訳版です。

※ご不明の場合には、関西館資料案内(0774-98-1341)までお問い合わせください。

▼規格番号が分からない場合は
IECのホームページや日本規格協会(JSA)のホームページで規格の標題から規格番号を調べることができます。

  • IEC: International Electrotechnical Commission外部サイト
    IEC Web Store外部サイトにアクセスし、標題やキーワードを入力して検索します。制定委員会や文書の種類などからも検索することができます。検索結果の"Aditional information"で、"History"タブを選択すると、改訂や廃止になった規格の情報を見ることができます。Technical Corrigendaから、正誤表を入手することができます。
  • 日本規格協会外部サイト
    JSA Group WebdeskのIEC検索画面外部サイトにアクセスし、標題や発行年月日を入れて検索します。現在有効な規格のみ検索することができます。標題の日本語訳でも検索することができます。検索結果では、邦訳版の有無、対応するJIS規格の有無などを調べることができます。IEC検索画面外部サイトからは、最近発行されたIEC規格や、IEC規格邦訳版を一覧することができます。

5. 国立国会図書館での利用

5-1. 閲覧

・規格票(原語版、邦訳版とも)

関西館及び東京本館でご覧いただけます。東京本館での閲覧は関西館からの取寄せとなります。所要日数は最短で3開館日です(国立国会図書館サーチから申し込む場合は最短で6開館日)。取寄せには利用者登録が必要です。詳しくは国立国会図書館の利用者登録(個人)についてをご覧ください。

ただし、CD-ROM形式で所蔵しているものについては取寄せができません。

5-2. 複写

著作権法の制約により、複写できる範囲は各規格の半分までです。複写のお申込についての一般的なご案内は複写サービスをご覧ください。
ただし、CD-ROM形式で所蔵しているものについては複写ができません。

5-3. 図書館間貸出し

図書館間貸出しはできません。

6. 国立国会図書館以外での閲覧/入手手段

7. 参考