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トップアジア諸国の情報をさがす刊行物>(特集2) 第6回日韓業務交流における韓国国立中央図書館の報告:知識基盤社会のための国立デジタル図書館設立(基調報告): アジア情報室通報第1巻第1号

(特集2) 第6回日韓業務交流における韓国国立中央図書館の報告:知識基盤社会のための国立デジタル図書館設立(基調報告): アジア情報室通報第1巻第1号

アジア情報室通報 第1巻第1号(2003年3月)
李治周(イ チジュ)(韓国国立中央図書館情報化担当官)

国立中央図書館は、政府の情報化大国宣言を契機に世界的な情報化の勢いを図書館情報環境に導入して国民への図書館情報利用サービスの質を高める道を模索している。そのような努力の一つとしてCD-ROM、DVDなどオフライン電子出版物と、オンライン電子出版物の急増による図書館情報環境の変化に能動的に対処して、これら情報資源を体系的に収集、整理、保存して利用者に提供する新しい形態の未来指向型図書館設立を計画している。

1.設立の必要性

まず、図書館をとりまく外部環境に変化が起きている。国家主導で進められている国家超高速情報通信網が、2005年頃完成段階に達する。これに伴い、大容量の情報をより早く正確に伝達できるインフラが構築され、本格的なデジタル図書館運営の基礎が作られる予定である。

一方、図書館の内部では、急増する情報量を体系的に管理しながら利用者に提供できる施設と人材が要求されている。現在の建物の蔵書収蔵能力は、2005年には限界に達することが予想され、新しい書庫が必要になっており、また急増するオフライン及びオンライン電子出版物を図書館が統合的に入手して永久保存しながら継続利用を保障する仕組みが必要である。また一般国民の情報共有に対する意識の広がりにより、情報を所有するという概念からアクセス概念へと変わってきており、図書館も時代の変化の中でデジタル図書館へと変わっていかざるを得ない状況になっている。

2.推進経緯

国立デジタル図書館については、1998年“図書館情報網総合発展計画”策定当時に提起されたことがある。次いで 1999年、国内の学者を招請した中で開催された開館54周年記念セミナーでも、国立デジタル図書館の設立の必要性が確認された。

2000年2月には金大中大統領の指示によって、政府樹立以後初めて、国務会議の席上で図書館情報化環境整備問題が取り上げられ、文化観光部は同年3月、‘図書館情報化推進総合計画’を確定し発表した。この計画は、2000年から2002年まで総事業費3,068億ウォンを投入し、全国のあらゆる公共図書館と一部の学校図書館、文庫に「デジタル資料室」を設置し、国内各種図書及び文献情報データベースを構築してインターネットで提供するようにし、すべての国民が図書館と家庭において容易に必要な情報を得られる環境を作りあげようとするものである。この計画によって、国立中央図書館では図書総合目録データベース、原文データベースなどを構築し始め、2001年からは公共図書館などにデジタル資料室が設置され始めた。このような一連の事業の頂点で重要な役割を遂行する機関として“国立デジタル図書館”の必要性が認識され、2001年には文化観光部長官の大統領に対する、部処*主要業務報告時に、国立デジタル図書館設立推進を報告した。2001年3月から6月末まで、企画予算処が主管して韓国開発研究院(KDI)が実施した同事業の妥当性予備調査では、同事業の経済性が非常に良好であると評価された。また現在当館の蔵書規模は収蔵能力の70%近くになっており、2005年頃には書庫不足になると予想され、現在の建物には増築ができないため、書庫スペース確保は不可避なことも認定された。これを受けて年末までに国立デジタル図書館設立のための基本計画を完成する予定である。

(*政府の各部と処。日本の省庁に該当。)

3.予想事業規模

建物の規模と事業費に関しては、基本計画が策定される時点で正確に算出されるが、暫定的な推定値としては、本館と近隣地域に敷地を用意して、延べ建坪10,000坪の地上4階地下3階規模を考えている。事業期間は2002年から2008年まで約7年間にわたり、総額1,350億ウォン規模の費用を想定している。

4.概念及び機能

私達は、デジタル図書館という概念を考える時、物理的な空間よりは、仮想空間を思い浮かべる。今までこの用語は、コンピュータ分野、出版界、図書館界等各分野ごとに、電子図書館、デジタル図書館、仮想図書館などと少しずつ違っているが、基本的にはみな同じ意味で使われていると考えられる。

国立デジタル図書館は、オンライン著作物を含んだ非印刷媒体資料の収集と、情報サービスのための一連の過程を実行する物理的な施設であり、このための組織とスペースを持った図書館である。したがって、国立デジタル図書館は伝統的な図書館業務の延長線上で成り立ち、既存資料とデジタル資料を、ネットワークを通して提供する図書館を意味する。従来の図書館と違いがあるとすれば、収集対象が紙媒体から非図書資料とデジタル化された資料を中心に構成され、これを整理するために新しい基準が必要になったこと、利用に供するために高度な技術を駆使するようになるということである。また後世の利用のために図書と同じように保存していくことも必要である。このような概念に基づいて、その機能を詳しく述べると次の通りである。

○文化遺産としてのデジタル情報資源の保存、伝承

○デジタル/伝統的情報資源の蔵書開発

○格差のない知識情報資源の配布

○国内文献の対内/外最終窓口

○図書館協力を通じた全国的な図書館情報ネットワークセンター

○情報資源の共同保存及び利用提供

○北朝鮮図書館との文献情報交換のための中心機関

下部機能として、次のような事項を遂行する。

○デジタル情報資源の納本制度運営及び自国内デジタル情報遺産の収集、管理、保存

○日増しに増加する情報通信とデジタル情報資源に対する認識と教育に対する戦略の構築と開発

○デジタル情報資源の重複を最小化するためにデジタル図書館活動のための機関間協力方法開発

○デジタル環境における知的財産権及び技術情報など、デジタル図書館開発者のための情報提供

5.国立デジタル図書館の主要サービス計画

情報技術の発展とともに、図書館のサービスに対するパラダイム自体が変化している。これに伴い便利で有用な、世界水準の図書館サービスシステムを整えなければならない。

今までは、図書館がお互いに類似した姿を呈していたが、次第に個々の利用者に差別化したサービスを提供する市場指向型図書館に変化している。既存の司書の役割は、主に本を収集して処理加工する管理人から、もう一歩踏み出したサービス指向の情報提供者へと変わってきている。図書館所蔵資料も、図書中心からマルチメディア中心へ移り、自館の所有物だった蔵書が、図書館の壁を越えてサービスされている。図書館に利用者が訪ねるよりは、図書館が利用者を訪ねるようになった。無料原則を基本とする基本的なサービスから、高付加価値サービスに変化している。このような変化に対応する体制を強化するために国立デジタル図書館のサービスを提供するのである。

○2002年までに設置が完了する全国公共図書館デジタル資料室のセンター機関として関連業務の指導、支援

○各種図書館で解決出来ない相談及び各部処(省庁)別公務員の政策開発に必要な情報サービスと共に、個別的な研究活動のための情報提供

○公共図書館を通じて国民に当館で構築した原文データベースを含む多様で高品質な原文の提供

○精密な検索が難しいインターネット上の情報を分類組織して、一般人が 図書のように容易に探すことができるように提供すること

○全国の図書館が所蔵する資料の所在情報提供

○デジタル技術を活用した障害者への情報サービス提供

○国内利用者の外国所在情報に対するサービス提供窓口

6.事業期待効果

国立中央図書館は、本館と学位論文館、そして国立デジタル図書館という情報サービス 基盤を確固たるものとし、多様な階層に適合した情報サービスを提供することによって、次のような効果を得ようと考えている。

(1)21世紀情報化社会を具現する実質的で象徴的な文化インフラ基盤施設であるデジタル図書館を建設することによる、世界的な情報大国としてのイメージアップ

(2)膨大な学術情報を電子的に処理して学術研究活動向上に寄与

(3)情報化基盤構築及びネットワークを通して多様な、質の高いサービスを提供することによる国民生活の質の向上

(4)国家代表図書館としての当館のデジタル情報センターの役割遂行と書庫不足現象解決

人々は図書館で必要とする本と資料に接しながら、その中でインスピレーションを得て、自ら学び新しいことを発見する。それは、図書館資料をただ何となく見るのではなく、開かれた施設の中で、自らすすんで動かし参加してこそ得られるものであろう。そのような利用者はこの社会の市民となり、その市民の中心に図書館が存在するのである。それ故、ネットワーク時代を迎えて知識基盤社会の新しい図書館空間として具現される国立デジタル図書館は、新しい時代に新しいサービスを遂行する図書館として、国立中央図書館の機能を一層強化することになるだろう。

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