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(特集2) 第6回日韓業務交流における韓国国立中央図書館の報告:韓国CIP制度の導入と運営: アジア情報室通報第1巻第1号

アジア情報室通報 第1巻第1号(2003年3月)
李尚任(イ サンイム)(韓国国立中央図書館資料組織課司書事務官)

 

I.はじめに

国立中央図書館は、 既存の冊子目録やオンライン目録により生産・提供している書誌データを、標準化されたデータでより迅速に生産・流通させるために、「出版時図書目録(Cataloging In Publication= CIP)」制度を2002年7月から導入することになった。

ご存知のように、「出版時図書目録(CIP)」とは、新刊図書を出版する時その標準目録を標題紙裏面等一定の位置に印刷するもので、国立中央図書館でこの制度を導入することによって 、図書館では標準目録を利用できるようになり、分類と目録作業に必要とする人材と時間、費用を節減できるだけでなく、目録の質の向上を可能とする。また、出版界と書店業界では図書館の節減された費用による資料購入の拡大と、図書購入者に必要な情報をより速かに提供することによって、図書販売の増大が図られる。完成された CIPデータは出版界で推進している出版流通情報システムの基礎データとして活用され、 電子商取引などの出版流通の現代化に寄与することが期待されている。

本稿では 、国立中央図書館におけるCIP制度の導入と運営全般を紹介するとともに、 今後の課題について考察してみたいと思う。

II.CIP制度の導入と運営の現況

1.導入の経緯

国立中央図書館は2001年2月21日に図書館界、出版界、書店等関連機関が参加するセミナーを開催し、CIP登場の背景と外国の現況、我が国での導入の必要性と留意事項、今後の推進計画、期待効果などに関する発表と総合的な討論を行なった。また、2001年 5月には「出版予定図書標準目録制度導入のための基本事業計画」を策定し、国立中央図書館にCIPセンターを置き、CIP関連のあらゆる業務を中央で集中的に処理するという方針を定めた。この基本計画によって2001年8月から12月までにCIPデータの申請から処理、通報までCIP関連の業務全体をインターネットで処理できるe-CIPシステムを開発した。またより完全なシステムを目指すために2002年1月から5月まで、内部テストはもちろん直接出版社と連結する現場テストを行ないシステムの安定化を図った。

2002年6月26日にはCIP制度の早期定着と活性化のために全国の出版社を対象にCIP説明会を開催した。183の出版社から200余名が参加したこの説明会ではCIP制度の概念と出版社の参加方法などに対する細かな説明が行なわれた。

2.運営の現況

CIP業務は2002年7月から試験運営に着手したが、8月 20日 現在、参加申請を行なった出版社は84社あり、CIPデータを申請して付与された件数は、19の出版社の53件と、施行期間が短いため今のところは出版社の参加は活発とはいえない状態だが順次 申請件数が増加するものと思われる。

出版社のCIP参加が少ない理由には、CIPは図書館のための制度にすぎないと認識する傾向があり、これによって新しい業務が追加されて業務が加重となるばかりか、図書を発行する時、標題紙の裏面にもデザインが施されている場合が多いのに、CIPをここに印刷するようになれば、裏面のデザインをだいなしにするという反発もあった。また CIPが提供されるまでの所要期間(5日以内)によって出版予定日が遅れるのではないかという憂慮や、政府の出版に対する検閲手段として利用されることはないのかという意見もあった。

このため国立中央図書館ではCIP制度の早期定着と活性化のためにCIPに対する広報の必要性を認識し、ハンギル社他5,000余の出版社にCIPのブロシャー(概要説明資料)や便覧などを配布したり、電話や訪問などを通して持続的な広報をしている。また教保文庫のような大型書店で構築している POSシステムにCIPデータを積極的に使用することを呼びかける等、徐々にすべての出版社が参加していけるような方案を模索中である。

また2002年12月まで実施される試験運営の期間中、e-CIPシステム運営にともなう 出版社の不便事項やシステムの不都合などを摘出するとともに補足作業を行ない、2003年1月から本格稼動に着手する予定である。

3.付与対象資料

CIP付与対象資料は、基本的に我が国で出版される単行本形態(多巻本を含む)の図書で、冊子形態の楽譜や地図、CIP付与資料の新・改訂版、その他CIP付与が必要だと認定された資料などを含む。

一方CIP付与の対象に含まれない資料は、我が国以外の地域で出版された出版物、連続(=逐次)刊行物、非図書資料、教科書及び学習書、使いきりの教育教材、学位論文、一時的で寿命が短い出版物(電話帳、年表、製品カタログ等)、宗教教育資料、点字出版物、1枚物の地図と楽譜などである。

4.CIP形式

CIP作成時のデータフォーマットは「韓国文献自動化目録型式(KORMARC Format)」であり、目録規則は「韓国文献自動化目録記述規則」を適用している。分類記号はKDC 4版とDDC 21版の2種類を付与するものの、児童図書はKDCだけ付与している。

III.e-CIPシステム

1.業務手順

CIP業務は申請から付与まで、全過程がインターネットを通して処理されるe-CIPシステムとして運営されている。(e-CIPホームページアドレス: http://www.nl.go.kr/cip.php外部サイトへのリンク

CIPを初めて申請する出版社ではCIP「参加申請」画面を通してIDと暗証番号を登録して、画面の定められた様式により出版社情報を入力する。

参加申請をした出版社は「CIP申請」画面を通してCIPの付与を受けようとする出版予定図書の目録データ(書名、著者名、出版社名、出版予定日等)と

指定されたファイル(表紙、表題紙、奥付け、目次、序文、要約等)を添付してCIPセンター(国立中央図書館)にCIPデータを申請する。

CIP センターでは出版社から提供された目録データと添付ファイルを確認したあとにCIPデータとして受理処理するほか、不備事項がある場合は当該出版社に補完要請を行なう。

出版社はCIP申請後変更事項がある場合、「CIP変更要請」画面を通し変更内容を 通報し、新しいCIPデータの提供を受ける。

CIP センターは受付処理されたCIP申請データからCIP目録を作成して当該出版社に転送する。

出版社は当該図書出版時に提供された標準目録を標題紙裏面など一定の位置に印刷する。

2.e-CIPホームページ

e-CIPホームページは「システム紹介」「資料検索」「出版社サービス」によって構成されており、このうち「出版社サービス」を通じて出版社の「参加申請」「CIP申請」「CIP変更要請」、CIPを申請した図書の処理状況を確認する「進行状況の照会」等の業務を行うことができる。

ア.出版社の参加申請(略)
イ.CIP申請

(1)CIP書誌データの入力

CIPを申請する図書の書名、著者名、出版社、出版予定日、叢書名、ISBN、価格等の書誌データを入力する。多巻本のように類似したCIPデータを繰り返し入力しなければならない場合、「以前申請したCIPをコピー」ボタンでコピーして活用できるように処理してある。また、書誌データの項目名をクリックすると該当項目の入力方法に関するヘルプを読むことができるようになっている。

(2)CIPデータファイルの添付

出版社が提供した本文ファイルは暗号化アルゴリズムを利用して暗号化された状態で転送され、保存される。転送された本文ファイルはCIPセンターの担当者のコンピュータ以外では見ることができず、出力・編集・転送・再保存等、データ流出のためのいかなる作業もできないように処理されており、またCIPデータが完成して出版社に転送されると本文ファイルは即時に自動的に削除されるよう設計されている。

(3)CIP形式の入力(略)

(4)CIPデータサービスの開始

完成したCIPデータをe-CIPホームページでサービスする時点を選択する。(CIP完了後即時: 出版予定日から: 永久にサービスしない)

ウ.CIP変更要請

変更依頼はCIPデータの申請時に入力した該当図書の出版予定日から1ヵ月(31日)以上経過していない場合にのみ可能である。

エ.CIP申請資料の進行状況の照会

出版社のIDと暗証番号を入力して出版社ログインを行うと、該当する出版社が申請したCIP図書、または出版社に交付されたCIP図書の簡略情報が申請日順にすぐ「進行状況の照会」画面に現れる。

オ.CIPデータの転送

正常に受け付けられ、処理されたCIP申請図書に関してCIPを作成し、出版社が指定したCIP申請者の電子メールにCIPデータを転送する。また、e-CIPホームページの「進行状況の照会」画面で進行状況が「発送完了」となった図書については、CIPデータを即刻ダウンロードすることができる。出版社に提供されるCIPデータはイメージファイル(BMP)とテキストデータ(TXT)の二つの形式(フォーマット)である。

カ.資料検索

CIPを付与された図書は「資料検索」で「主題別検索」「単純検索」「新刊案内」の三種類の方式によって検索することができる。「主題別検索」と「単純検索」ではCIPが完成した時点から出版予定日が6ヵ月経過するまでの、「新刊案内」では該当図書の出版予定日から1ヵ月(31日)間の図書が検索対象となる。

Ⅳ.CIPデータの活用

生産されたCIPデータは、e-CIPのホームページを通じて、出版予定日を6ヵ月経過する時点までサービスされる。サービスの内容はCIPの付与された図書の書名、著者名、出版社、出版年、ISBN、叢書名等の目録データはもちろんのこと、CIPデータの申請時に添付された表紙、序文、目次、要約/抄録、著者関連情報等のファイルの内容も含まれる。

また、国立中央図書館を中心に構成されている全国の公共図書館の所蔵資料に関する統合データベースであり、図書館間の情報共有及び相互協力ネットワークである「国家資料共同目録システム(KOLIS-NET)」に統合されてサービスが行われ、国立中央図書館の未納本資料管理システムに転送されて、CIP付与資料のうちの未納本資料に関する調査に活用される。合わせてCIPデータは、出版界で電子商取引等の出版流通の現代化のために推進されている「出版流通情報システム」の基礎データとして活用される予定であり、書店でCIPデータが必要とされる場合にも提供される。

上記のようにサービスが行われる出版予定情報によって国民や書店、全国の図書館が新刊に関する情報を出版前にあらかじめ知ることができるため、出版社は出版物の事前広報を通じて販売増大を期待することができ、図書館と書店界では情報をKORMARC形式でダウンロードして自館目録データの構築に活用することができる。

Ⅴ.結び

CIP制度の導入定着のためには、同制度の牽引車としての役割を果たす出版界と図書館界の有機的な協力関係が必須である。国立中央図書館CIPセンターは良質なCIPデータを適期に生産し、提供できる体制を完備することで、各級図書館にCIPの付与された出版物の購入を促し、それによって出版界の参加を積極的に誘導しなければならない。出版社は国立中央図書館に必要な情報を忠実に提供し、CIP制度に積極的に参加しなくてはならない。また、各級図書館及び書店界では、CIPデータを最大限に活用してCIP制度の早期定着に積極的に協調しなければならない。国立中央図書館はこうした前提条件のうち、出版社の参加の意志がもっとも重要な要素であると判断し、CIPの対象となる資料を多数発行している大型出版社に向けてCIPへの参加を集中的に呼びかけている。

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