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トップアジア諸国の情報をさがす刊行物>(特集2) 第6回日韓業務交流における韓国国立中央図書館の報告:情報化時代における図書館のデジタルコンテンツ拡充のための共同協力

(特集2) 第6回日韓業務交流における韓国国立中央図書館の報告:情報化時代における図書館のデジタルコンテンツ拡充のための共同協力

アジア情報室通報 第1巻第1号(2003年3月)
李秀恩(イ スウン)(韓国国立中央図書館資料組織課司書事務官)

本報告では、公共図書館のデジタル資料拡充のために国立中央図書館主管の下に推進されている民間データベースの購入・活用、及び今年初めて推進しつつある公共図書館とのデジタル資料の共同購入事業を中心にその推進現況と今後の課題について言及する。

1.民間構築データベースの購入及び活用

民間構築のデータベース購入事業は、「図書館情報化総合計画」によりデジタル資料室が設置・運営されているものの、資料購入予算が不足している公共図書館のデジタル資料を拡充するため、国立中央図書館主管の下に国家財源で民間構築のオンライン出版物を購入し、公共図書館に提供しようとする事業である。

1.1. 購入対象資料

国内オンライン出版物のうち学会誌、文学資料、百科事典、韓国学及びその他情報源などを対象にして、原著者から著作権と電送権の許諾を受けた資料及び図書館原文データベース構築対象から除外された資料のうち公共図書館で利用頻度が高く購入を希望する資料を重点的に購入する。

1.2. 購入手順

購入対象資料の調査

電子出版物の出版量は毎年急激に増加する趨勢であるが、出版市場の多角化によって現在我が国において出版されている電子出版物がどの程度なのかを正確に推算するのが非常に難しい。そのため、関連業者に出版資料を当館に候補として提案させる方法を選択した。図書館ホームページに関連業者を対象にして民間構築データベースの購入について広報する一方、関連団体に公文書を送ってその会員の会社それぞれに周知できるように依頼した。また、当館独自の調査を通じても関連業者に候補資料を提案するように通知した。

その結果、2002年には、参加業者は東方メディアなど14業者であった。学会誌である「社会科学研究」をはじめとして12,000余種の資料が提案され、提案資料の数は毎年増加する趨勢である。

資料評価及び購入対象資料の選定

資料購入予算は毎年10億~20億ウォン程度であり、公共図書館利用者に質的に優秀で利用頻度が高い資料を提供するために全国15館の地域代表図書館のデジタル資料購入担当者を対象に資料説明会を開催して、彼らが資料評価を行った。資料評価の基準は、

○情報のレベルと利用の利便性が公共図書館利用者に適切であるか

○利用者の潜在的要求を考慮した利用頻度が高い資料

○提案価格の適切性

○サービス条件

等を考慮して評価し、高く評価された資料から優先順位をつけて、提案業者の知名度、技術的サポートと保守、著作権・電送権の確保の可否などを総合的に調査した後、最終的に国立中央図書館で選定する。

2000年、2001年に購入した資料は合計659タイトルであり、資料別に均衡のとれた収集とするために今年は学会誌30%、文学資料30%、韓国学及びその他情報源40%を基準として合計2,298タイトルを購入する予定である。

〈購入価格の算定及び供給条件〉

購入資料の利用範囲が全国の400余の公共図書館と今後開設される公共図書館を含んでいるので各資料別提案価格は業者ごとに相当な差があり、供給者と需要者が満足しうる適正価格を導き出すのに多くの困難があった。これを決定するために、当館ではまず、関連分野の専門家、コンテンツ作成業者、販売業者などで構成された専門家委員会を開催して適正価格推定のための諮問を求める一方、原価分析の専門機関に購入価格算出を依頼して最終的に個別機関の販売価格を基準にして学会誌は5.7倍、韓国学及びその他情報源は10倍、e BOOKは47倍に定め購入価格を決定した。

また、資料の内容が更新される場合、コンテンツ作成業者は更新された日から15日以内にその内容を供給しなければならない。更新費用は初年度購入価格の15%以内で納品者と協議して代金を支払っている。

購入した資料に対しては当館が指定する標準型式で作成されたメタデータと原文ファイル及び原文のメタデータとの連結情報を業者から提供を受けて当館サーバーに構築して原文をウェブ上で利用できるようにして統合検索を可能にした。また、デジタル資料の保存のために当館のシステムで駆動し、かつウェブバージョンと統合検索が可能なCD-ROM Back up file 1部の提供を受けている。

1.3.資料の利用提供

購入したオンライン出版物は当館サーバーに移管して、全国公共図書館と超高速情報通信網で連結している「国家電子図書館」(http://www.dlibrary.go.kr/)ホームページを通して公共図書館に提供する。利用範囲は公共図書館内公認IPが認証されたPCに制限して原文検索及び複写サービスを提供している。

民間構築のデータベースの利用管理のために「民間データベース統合管理システム」(http://www/.dlibrary.go.kr/pubux)を開発して、公共図書館の情報、IPアドレス管理、図書館別利用統計管理など提供システムと関連して公共図書館と協力するため、提供上の問題点を迅速に解決しようとしている。

原文資料の円滑な利用のために、全国の公共図書館のデジタル資料室担当者を対象に情報化特別教育課程を開設、購入したデジタル資料に対する利用教育を実施することでデジタル資料利用案内に積極的に対応できるようにしている。

1.4.今後の課題

オンライン出版物はデジタル環境で利用可能となるものなので、既存の印刷資料とは区別されるいくつかの解決しなければならない問題がある。

①電送権問題

著作権法第18条2項を見れば「著作者はその著作物を電送する権利を持つ」と電送権に対して明示しているが、電子ブックを出版する時には著作者から電送権の同意を受けなければならない。最近出版される資料は著者と電送権契約がなされており問題がないが、電送権が新設される以前の出版資料は、著作者の所在不明、電子ブックに対する理解不足、出版社と著者との口頭契約慣行などのため、著作者と電送権契約ができず出版社と契約をした資料がある。

②資料の重複購入問題

資料の提案を受けた後、選定・契約まで日時が長くかかり、一部の公共図書館で購入対象資料に選定されたことを知らずに購入して、重複購入になる場合がある。購入と同時に通知するなど当館と公共図書館との緊密な協調が必要な部分である。

③ビューワー問題

資料別に各業者のサーバーを通して資料を利用する場合の不便な点は、

○資料を探そうとする時には各業者の検索画面をいちいち検索しなければならない

○これによる利用のための教育が必要

○各業者のビューワーをすべて設置しなければならない

○業者から永久的なサービス提供の制限

などの問題点があって現在は当館サーバーに移管して資料を利用している。

移管後このような問題は解決されたが、統合ビューワーを開発しながら統合ビューワーによる保安事項(DRM)を当館が責任を負わなければならない点と統合ビューワーではPDF、TIFFファイルで見ることができるが、技術発達などにより新しいフォーマットを使用した場合には業者が開発したビューワーを利用したり、統合ビューワーをアップグレードしたりしなければならない問題点が発生する。この部分は長期的に研究していくべきである。

④資料の利用問題

公共図書館の利用頻度を考慮して資料を購入したもののオンライン出版物に対する認識度が低くて利用が活性化されていない。利用者階層確保のために購入資料に対する積極的な広報と接近チャンネルの開発、資料の利用方法等についての持続的な利用者教育など利用者の不満を公共図書館と緊密に協調して改善、発展させていくべきである。

2. デジタル資料の共同購入

すでに言及したように、我が国の公共図書館は2000年以後、順次デジタル資料室を設置し、図書館ごとにデジタルコンテンツ拡充に重点を置いてきているが、出版環境の急激な変化によって、デジタル資料の質的・量的把握は難しくなった。また、これに伴う価格の不安定さや、図書館内部のコンピュータ運営システムに対する知識不足などにより、初期のデジタル資料室は運営・管理上、さまざまな困難があった。

このような問題点を改善するための一つの方策として、公共図書館のデジタル資料室で利用・提供できるコンテンツを発掘し、これを低廉な費用で購入するために、共同購入事業を実施するようになった。当館ではこの事業を実施する前に国内外のコンソーシアム事例を調査・分析し、また公共図書館担当者にアンケート調査を通じた意見集約を行った結果、大部分の図書館が参加意思を表明した。

2.1. 共同購入対象資料

国内外で出版された教育メディアで、CD-ROM(ネットワーク用)、DVD、ビデオテープなどのオフライン電子出版物、外国資料でハングルでの字幕処理及びダビング処理を経た資料、国内資料は比較的高価格で販売されている資料を対象とした。

2.2. 共同購入の手順

共同購入対象資料調査及び選定

関連業者が共同購入事業に参加できるよう、当館ホームページを通じて候補資料の提案を案内する広報をした。また、関連団体(韓国ソフトウェア産業協会)に公文書を送り、会員の会社(約1,137社)それぞれに周知できるよう依頼した。この結果、8業者の合計120種の資料が候補として提案された。

提案された資料を対象に、公共図書館の地域代表図書館関係者15人が出席して候補資料に関する説明会を開催した。公共図書館利用者の利用可能性、情報の正確さ、利用のしやすさなどを総合的に検討し、対象資料を選定するようにした。

地域別事業説明会の開催

デジタル資料室を設置・運営している図書館が共同購入を通じて、必要かつ良質な資料を選択して購入することができる機会を提供するため、全国公共図書館の5つの地域代表図書館で、各図書館のデジタル資料室担当者を対象とし、共同購入事業の趣旨及び候補資料についての説明会を開催した。公共図書館では資料説明会を通じて購入対象資料を選択、当館に資料購入希望を申請した。その結果、33図書館から合計54種の資料が申請された。

購入価格の算定及び契約

資料別に参加図書館数が異なり、利用条件によって契約金額が変わり得るので、購入価格の算定には相当な難しさがあった。このため、原価分析専門機関に価格算定を依頼し、その結果を基礎として当館と業者とが最終的に価格及びサービス条件(MARCデータ提供、無償アップグレードその他)等を交渉し、購入条件を決定した。購入資料の契約は、業者と当該図書館間の二者契約で行われるようにした。

2.3. 今後の課題

共同購入事業は当館が今年(2002年)に初めて推進した事業である。図書館側の立場では高価な資料を低廉な価格で購入することによって、費用節減及びサービス条件を拡大する効果があり、流通業者には過度な販促及び流通費用の節減効果があるという趣旨でこの事業を推進した。しかし、購入対象資料と価格への満足度はある程度高かったものの、今までとは異なる購入方法を容易に受け入れられない一部の公共図書館は参加を避けた。また、業者間の自由競争を通じた流通市場秩序が害されるとする非参加業者等の反発もなくはなかった。このような問題点を具体化し、体系的な事業推進がなされるべきだろう。

① 共同購入対象資料の選定問題

公共図書館で利用提供するのに適合した資料を対象にしなければならないが、国外のオンライン出版物にまで拡大するかどうか、媒体別・主題別の優先順位はどのようにするか、高価な資料を対象にするならば、その価格基準は何かなど、選定のための基準を明確にして具体化しなければならないだろう

② 国家財源の支援問題

資料購入予算が絶対的に不足している小規模公共図書館が、共同購入を通じてデジタル資料を購入することができるように、国家財源で支援できる方途を用意すべきだろう。また、当館がコンソーシアム主管機関として価格策定問題やサービス条件等の持続的な管理に対して責任を負うため、契約方法を改善する問題も検討するべきだろう。

③ 共同購入のための統合管理システムの開発

コンソーシアム運営のための統合管理システムを構築し、ウェブ上で統合管理しなければならないだろう。今後、情報資源の拡大とその効率的なサービスのために、提供業者の情報を公開して管理し、参加図書館の拡大と相互協力を通じた共同購入サイバー・コミュニティを形成し、情報の共有と業務を効率的に推進できるようにすべきだろう。

また、一部流通業界の問題点が何であるか、受け入れの可否を検討し、相互に補充できる方法はないのか、研究しなければならないだろう。

3. 結 語

コンピュータ・ネットワーク環境へ変わる以前の図書館資料の利用は、地理的要素が一つの大きな障害であった。しかし、21世紀の超高速情報通信網の発達は、ネットワーク環境とウェブ・サービス分野に画期的な変化をもたらし、図書館において資料は、「所蔵」から「情報共有」の概念に発展して、地域・時間の制約なしに必要な情報を利用できるようになった。

公共図書館のデジタルコンテンツ拡充のために始まった民間構築データベースの購入と共同購入事業は、まだ初期段階にある。専門的なコンテンツ拡充のため、コンテンツの発掘、選定、交渉及び契約に至るまで、効率的な管理のための制度的改善が必要であり、利用者が使いやすい情報検索のため、内容形式と技術の標準化、技術転換などをしていく中で、情報通信技術発展に積極的に対応しなければならない。

今、情報は誰か特定の個人や機関だけの財産ではなく、国家的な財産である。国家的な支援と協力を基礎とし、変化していく21世紀に、情報の共有を通じた地域間の均衡ある発展を追求することによって、国家の情報能力を向上させるべきであろう。

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