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アジア情報研修を終えて : アジア情報室通報第1巻第2号

アジア情報室通報 第1巻第2号(2003年6月)

平成15年2月27日(木)、28日(金)の2日間、関西館第1研修室で第1回のアジア情報研修を実施した。以下にその概要を報告する。

1. アジア情報研修とは

関西館のアジア情報室は、国立国会図書館のアジア情報サービスの中核としてアジア関係の資料・情報の収集、提供につとめるとともに、アジア情報機関の一つとして国内外の関係機関との交流、相互協力をも活動の柱の一つとしている。アジア情報研修はその具体的な取り組みの一つとして企画された。国立国会図書館ではこれまで対外的に各種の研修を実施してきたが、アジア情報、資料に関する研修はこれが初めてである。

アジア情報研修は、アジア資料・情報に携わる図書館員(当館職員を含めて)がアジアに関する情報資源について基礎的な知識を習得し、業務の改善・発展に役立ててもらうとともに、アジア情報に関係する全国の図書館員が交流し、それぞれの抱える問題等を話し合う機会を提供することを目的としている。

2.研修内容と実施状況

実施に先立ってホームページや『国立国会図書館月報』『図書館協力通信』で広報を行うとともに、最初ということもあり、平成11年度に当館が実施した「国内におけるアジア情報の利用実態に関する調査」の協力館には直接案内文書を送付した。

参加者の内訳は、下表(単位:人)のとおりである。

参加者の内訳
  近畿 首都圏 中部・北陸 九州 合計
大学図書館 15 12 4 1 32
公共図書館 7 1 - - 8
合 計 22 13 4 1 40

地域的には近畿、館種別には大学図書館からの参加が多いのは予想していたが、近畿地区以外の大学図書館からの参加者が多かったことは、本研修開催の趣旨からしてもうれしいことであった。

今回の研修内容を以下に紹介する。

2月27日(木)

「アジア研究と資料-東南アジア研究の視点から」(講師:京都大学東南アジア研究センター助教授:速水洋子 同助手:北村由美(図書室主任))

速水講師が東南アジア、特にタイの地域研究を専門とする立場から、研究者が必要とする資料が時代の推移、学問それ自体の展開に応じてどう変化し、拡大していったかを研究史という枠の中で整理し、NangsuChaekという葬式頒布本などのユニークな資料を紹介した。また北村講師は東南アジア研究センター図書室の資料収集(21世紀COEプログラムによる収集を含む)や所内でのCD-ROMやインターネット情報の提供などについて報告した。東南アジア研究センターでは東南アジア諸国から客員スタッフを招聘する制度があり、6人のポストのうち必ず1人は図書室付きとなるという。アジアの図書館との人材交流の好例といえよう。

「アジアの統計情報の入手と提供-中国、韓国を中心に」(講師:日本貿易振興会アジア経済研究所図書館課
長代理 伊藤えりか)

アジア経済研究所図書館の概要についてまず紹介したあと、同図書館で最も特色のあるコレクションの一つである統計資料およびインターネット上の統計サイトについて講義を行った。具体的なレファレンス事例をまじえつつ基本的かつ重要な統計資料の一つ一つの特徴、データの読みかたを丁寧に解説し、翌日からすぐにレファレンスの現場で役立つような実戦的な講義であった。


「関西館アジア情報室について」(講師:関西館アジア情報課長 富窪高志)

アジア情報室の沿革、機能、サービスのほか、情報資源の収集や整理、情報発信や協力活動等について説明し、また現時点で見えてきた当情報室の問題や課題についても言及した。その後引き続きアジア情報室や書庫の見学を行った。

2月28日(金)

「南アジア研究の情報資源」(講師:神戸市外国語大学助教授 大石高志)

南アジアについて近現代史や地域研究に有用な資料やサイトを紹介した。初心者が当惑する、数が多く「くせのある」現地資料の中から、何を選びどう読むべきかについて、講師の現地体験などを交えながらユーモアたっぷりにわかりやすく解説された。

「大学におけるアジア研究と関係資料の収集」(講師:大阪外国語大学附属図書館専門員 岸本晴広)
大阪外国語大学附属図書館の資料収集活動とその問題点についての報告は、受講生たちにとって実務的な面で大いに参考になりうる内容であった。また、同大学で構築したヒンディー語検索システムについても紹介された。


「国立国会図書館のアジア言語OPAC-利用ガイダンス」(講師:関西館アジア情報課 鴇田潤)

実際にPCを使いながら検索方法を紹介した。受講生からは、アジア言語OPACに入力されていない1985年以前に当館が受け入れた中国語図書の遡及入力の予定などについて質問があった。

3.受講生の評価と要望

研修終了後、受講生の方にアンケートをお願いした。全体の評価としては、概ね肯定的な評価をいただいたが、これは今回初めてということで、とりあえず及第点をいただいたということかもしれない。

次回以降の研修の内容については、多言語対応データベースの構築や特殊言語の整理等の日常業務に密着した内容やアジアの図書館、出版・流通事情に関連するものといった希望のほか、3年くらいの長期的計画を組み立てた上で研修科目を設定して欲しいという意見も出された。研修方法については、地域、テーマを絞る、基本的コースと専門的コースの二本立て、講義方式と演習方式を組み合わせるなどの提案があった。

4.おわりに

本研修は今後も年1回で継続的に開催する予定であり、第2回となる今年度は年内に実施したいと考えている。研修内容については、アンケートでいただいた提案も参考にしながら、アジア関係情報や資料に携わる図書館員に何が必要とされるかという視点に立って今後数年間のテーマ設定を考えていきたい。

今回同様ホームページや当館月報のほか、本誌でもお知らせする。アジアに関心を持たれる関係者の参加を心からお待ちしている。
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