「リサーチ・ナビ」に関するアンケートを実施しています。皆さまのご意見をお聞かせください。アンケートに答える

トップアジア諸国の情報をさがす刊行物>北米における中国語・朝鮮語・日本語資料の状況-CEALの統計から- : アジア情報室通報第1巻第3号

北米における中国語・朝鮮語・日本語資料の状況-CEALの統計から- : アジア情報室通報第1巻第3号

アジア情報室通報 第1巻第3号(2003年9月)
大川 龍一(アジア情報課)

 

1. CEALとは

CEAL(Council on East Asian Libraries)は、東洋学を専攻する学者と図書館員による、資料収集、司書の養成など図書館員に関する種々の問題を話しあう場として1947年に設立されたNational Committee on Oriental Collection in the USA and Abroadを母体に、1967年にAAS(Association for Asian Studies)の下部組織として設立された。当時はCommittee on East Asian Librariesと称し、1995年7月から現名称となった。その目的は、学者と図書館員の間に図書館の施設改善のための討議の場を提供すること、蔵書構築、書誌情報の調整や流通を促進すること、図書館協力とサービスの向上を図ることである。そのために上級委員会、中国・日本・朝鮮語各資料委員会、図書館技術委員会、利用者サービス委員会、刊行物委員会、情報処理技術委員会が置かれて、年に一度開かれる総会と分科会で報告を行う。Journal of East Asian Librariesを刊行しているほか、ホームページ(http://www.sois.uwm.edu/jeong/ceal/外部サイトへのリンク)を開設している。

2. CEALの統計について

北米のCJK資料に関する統計は、Journal of East Asian Libraries、その前身であるCommittee on East Asian Libraries Bulletin等に、Current Status of East Asian Collections in American Libraries、あるいはHoldings of Far Eastern Materials in American Librariesとして、6月30日現在のデータが掲載されてきた。

1999年からデータの収集と編集を機械化する取組みが開始され、2001年6月末の統計からはデータ公開までが完全にWebベースで行われるようになった。データフォーマットは一部を除き米国研究図書館協会(ARL)のフォーマットに準じている。

統計項目には、北米のCEALの参加館である図書館の中国語、日本語、朝鮮語(CJK)およびそれ以外の言語(NON-CJK)資料の蔵書数、収集経費、職員構成、図書館サービスなどがある。また、2001年から電子資料について数量や経費に関するデータが追加された。

現在、ホームページを通して1999年以降の統計データを利用することができる。

3. 統計データ提供機関

提供機関は必ずしも毎年一定しているわけではない。今回紹介する2002年6月30日現在の統計には、54機関がデータを提供している。アメリカでは大学図書館40(州立25、私立15)、大学図書館以外7(国立図書館1、公共図書館2、博物館等4)、カナダでは大学図書館5、その他2機関であった。地域別分布を見ると、アメリカの主要大学が位置する東部地域が最も多い。つまり、ニューヨーク4、ワシントンD.C.6、マサチューセッツ2、ペンシルバニア3、ニュージャージー、バージニア、コネチカットが各1、ノースカロライナの2機関まで含めると合計21機関が東部および北東部に位置する。五大湖周辺部では、ミシガン2、イリノイ3、オハイオ2、インディアナ、ミネソタ、ウィスコンシンに各1で合計10機関、西部・西海岸では、カリフォルニア8、ユタ1、アリゾナ2の合計11機関である。その他、テキサス1、カンサス2、フロリダ1、ハワイ1となっている。カナダでは、西はブリティッシュ·コロンビア1、アルバータ1、東はオンタリオ3、ケベック2となっている。

4. 2002年6月30日現在の統計

4.1 図書等の所蔵統計

図書と製本済の逐次刊行物を含むデータである。CJK及びNON-CJKを含めた全蔵書数は14,394,441冊で、先にあげたアメリカの東21機関と西12機関で単純に東西比較を行うと、東は7,849,480冊(1機関平均約373,800冊)、西は2,081,105冊(同173,400冊)となる。

言語別内訳は次のとおりである。なお、各言語の合計数字と全蔵書数が一致していない。

言語別内訳
中国語 日本語 朝鮮語 その他
7,696,174 4,734,227 905,834 977,507

過去5年間の変化は次表の通りである。

過去5年間の変化
年度 機関数 所蔵数 1館平均
2002 54 14,394,441 266,563
2001 55 13,948,443 253,608
2000 60 13,935,051 232,250
1999 44 9,844,680 223,742
1998 63 12,237,530 198,477

1999年の提出機関数が大幅に減少したのは、質問票の変更等が理由のようである。

4.1.1 中国語資料

最も多いのは米国議会図書館(以下、「LC」)の821,933冊、次いでハーバード大学イェンチン図書館(以下、「イェンチン図書館」)の589,552冊である。30万冊以上を所蔵する機関としては、プリンストン、エール、カリフォルニア大学バークレー校(以下、「バークレー校」)。ミシガン、コロンビア、コーネルの7大学がある。

年間増加数が1万冊以上の機関とその増加数は次のとおりである。

LCが24,215冊、バークレー校14,818冊、カリフォルニア大学(以下「UC」)リバーサイド校12,978冊、イェンチン図書館12,490冊、ペンシルバニア大学12,220冊。

図書に限って年間増加数を見ると、最も多いのがやはりLCで24,215冊である。以下、バークレー校の13,476冊、イェンチン図書館の12,715冊、クイーンズ公共図書館の11,283冊、ペンシルバニア大学の10,426冊と1万冊以上が4機関ある。さらに、5,000冊以上がシカゴ大学、ミシガン大学、スタンフォード大学、トロント大学、コロンビア大学、コーネル大学など16機関にのぼっている。

図書の収集ルートでは、LCは24,215冊がすべて購入となっており、これは次の日本語、朝鮮語資料でも同じである。バークレー校は13,476冊中の15.5%にあたる2,100冊、イェンチン図書館は同じく5.8%の730冊、クイーンズ公共図書館は18.3%の2,062冊、ペンシルバニア大学は2.5%の258冊を購入以外で収集している。5,000冊以上の機関のうちで目立つのは、5,783冊のうち38.5%にあたる2,224冊を購入以外で収集しているコロンビア大学である。

なお、ニューヨーク市クイーンズ公共図書館は、英語を母国語としない多様な民族の人々を対象に40以上の言語資料を提供するなど、日本において想像する多文化サービスのレベルをはるかに越えた次元のサービスを提供している。今回の統計では日本語資料は図書、逐次刊行物を含め所蔵統計はゼロとなっている。

http://www.queenslibrary.org/外部サイトへのリンクを参照)

4.1.2 日本語資料

最も多いのはLCで1,032,207冊、次いでバークレー校の338,065冊である。20万冊以上の機関にはミシガン大学、イェンチン図書館、コロンビア大学、エール大学の4大学がある。

年間増加数を見ると、LCが15,270冊、イェンチン図書館7,468冊、エール大学6,815冊、バークレー校6,685冊、コーネル大学6,476冊の順に多い。

図書だけの年間増加数は多い順に、エール大学までは全体の増加数と同様である。以下、コーネル大学の6,417冊、シカゴ大学の5,328冊、バークレー校の5,318冊、ミシガン大学の5,315冊、コロンビア大学の5,009冊となる。

図書の収集ルートで購入以外の占める割合は、イェンチン図書館の37.9%にあたる2,829冊が際立って多い。コロンビア大学、エール大学、バークレー校、シカゴ大学もその割合は比較的高く、それぞれ25.2%、19.2%、15.6%、15.1%、である。コーネル大学は4.9%、ミシガン大学は4.4%である。

4.1.3 朝鮮語資料

最も多いのはLCの215,600冊、次いで5万冊以上の機関を挙げると、イェンチン図書館111,582冊、ワシントン大学の77,365冊、バークレー校61,066冊、コロンビア大学の53,789冊、ハワイ大学の53,135冊がある。

図書だけの年間増加冊数は、南カリフォルニア大学が最も多く6,105冊、以下2,000冊以上の機関は、イェンチン図書館5,411冊、LCの4014冊、シカゴ大学3,634冊、クイーンズ公共図書館2,832冊、ワシントン大学2,849冊、バークレー校2,483冊、ブリガム·ヤング大学2,480冊である。

LC、南カリフォルニア大学、クイーンズ公共図書館、ワシントン大学はすべて購入となっている。購入以外の占める割合は、シカゴ大学10.1%、イェンチン図書館3.0%である。この中で、ブリガム·ヤング大学は2,480冊のうち2,259冊が購入以外で収集したものである。ちなみに、同大学は中国語図書でも1,107冊のうち、1,000冊が購入以外のルートとなっている。

全体的に購入以外の割合が高いのは、UCロサンゼルス校、ハワイ大学、デューク大学などである。UCロサンゼルス校の場合は、全体の11,901冊の29.7%、言語別では中国語5,405冊のうち23.7%にあたる1,283冊、日本語4,675冊のうち42.0%にあたる1,963冊、朝鮮語1,821冊のうち15.4%にあたる283冊が購入以外である。

4.2 逐次刊行物

逐次刊行物は継続受入している雑誌、新聞のほか、年鑑、紀要、会議録、会報等を含む数である。

なお、2002年の統計にLCは数字を出していない。2001年の統計では合計19,621タイトルであった。以下、数字の後のタイトルは省略。

4.2.1 中国語資料

1,000タイトル以上を所蔵する機関が10機関で、多い順にイェンチン図書館の3,086、コロンビア大学2,986、バークレー校2,100で、以下、プリンストン大学1,941、シカゴ大学1,869、エール大学1,729、UC大学ロサンゼルス校1,573、ミシガン大学1,198、シアトルのワイントン大学1,163、ハワイ大学の1,151と続く。

収集ルートでは購入が多いが、コロンビア大学は35%にあたる1,045、ミシガン大学は19.9%の237を購入以外で収集している。なお、クイーンズ公共図書館は288タイトルを購入している。

4.2.2 日本語資料

1,000タイトル以上は8機関である。順に、シカゴ大学1,705、バークレー校1,646、イェンチン図書館1,539、ブリティッシュ·コロンビア大学1,477、エール大学1,464、コロンビア大学1,411、プリンストン大学1,152、ミシガン大学1,139である。

収集ルートでは、ブリティッシュコロンビア大学が73.7%にあたる1,089、コロンビア大学が35%、ミシガン大学が21%を購入以外で収集している。

4.2.3 朝鮮語資料

500タイトル以上を所蔵する機関は以下の6機関である。南カリフォルニア大学1,495、イェンチン図書館849、ワシントン大学843、コロンビア大学633、バークレー校572、シカゴ大学542である。

収集ルートでは、コロンビア大学が35.1%の222を、また、418タイトルを所蔵するハワイ大学が14.4%にあたる60を購入以外で収集している。

なお、クイーンズ公共図書館は中国語288、朝鮮語77タイトルを購入で収集している。

4.3 非図書資料(電子資料を除く)

マイクロフィルム、視聴覚資料としてカセット、フィルム、DVD等を含むが、圧倒的にマイクロ資料が多い。

4.4 電子資料

2001年の統計から先に述べたARLのフォーマットに準拠した新しい統計フォーマットが使用されるようになった。その詳細は、Journal of East Asian LibrariesのNo.126(2002年2月)に掲載されている。

「CD-ROM」資料と、索引等のレファレンスツールおよび雑誌のフルテキストを含む「電子的データベースと逐次刊行物」に分けた統計で、いずれも利用者サービスに提供しているものである。

CD-ROM資料については、年鑑、白書等に附属したものも含むもので、四庫全書や朝鮮王朝実録等の一次資料を対象としている。所蔵タイトル数は示しても枚数はゼロとなっているなど、統計データの記述に統一性が見られないが46機関全体で2,201タイトル、6,680枚を所蔵している。全体的に比較的多く所蔵する機関としては、ミシガン大学(中国語:172タイトル、867枚、日本語:89タイトル、579枚、朝鮮語:17タイトル、44枚)、シカゴ大学(中国語60タイトル、85枚、日本語:130タイトル、260枚、朝鮮語:110タイトル、129枚)がある。また、言語別にはUCロサンゼルス校の中国語49タイトル、166枚、同じくピッツバーグ大学の35タイトル441枚、朝鮮語ではモントリオール大学の105タイトル105枚が目立っている。

「電子的データベースと雑誌の逐次刊行物」についてはタイトルのみの数字である。経費はゼロとなっているなど今ひとつ統計に不明な点が多いが、コーネル大学が中国語1,830タイトル、南カリフォルニア大学が朝鮮語388タイトル、日本語については、オハイオ州立大学が2,547タイトル、ペンシルバニア州立大学が900タイトルを提供している。

 

4.5 収集経費

機関の経常予算、基金運用利子、助成金、所属大学の東アジア研究を有する学部から支給される東アジアプログラム(プログラム)などが財源である。

LCはデータを提出していない。また、クリーブランド美術館など収集経費ゼロが3機関あった。総収集経費内訳は下表のとおりである。(単位:米ドル)

総収集経費内訳
経常予算 基金運用利子 助成金 プログラム 総計
8,453,555 2,008,547 1,298,813 312,789 11,261,899

1機関の平均値は225,238ドルとなる。総収集経費が100万ドル以上の機関は、1,144,744ドルのイェンチン図書館と、1,141,733ドル(総計ではプログラム分の49,000ドルが加算されていないため1,092,733ドルとなっている)のバークレー校の2機関、50万ドル以上は、ミシガン大学の777,847ドル、コロンビア大学の752,810ドル(統計では助成金の総計が61,067ドルであるべきところが50,267ドルとなっているため、総計が742,010ドルとなっている)、エール大学の627,718ドルの3機関である。以下、40万ドル以上の機関としては、UCロサンゼルス校、シカゴ大学、コーネル大学、デューク大学、ペンシルバニア大学、プリンストン大学がある。

全体の60%にあたる機関が10万ドル以上であった。また、中国語、日本語、朝鮮語別に割り当てている

機関と、特にそのような使い分けをしていないところがある。言語別に割り当てているバークレー校、コロンビア大学の内訳は次のとおりである。

バークレー校(単位:米ドル)

バークレー校
総計 中国語 日本語 朝鮮語 その他
1,141,733 505,828 368,694 82,056 185,155

コロンビア大学(単位:米ドル)

コロンビア大学
総計 中国語 日本語 朝鮮語 その他
752,810 213,864 359,312 96,986 82,648

4.6 職員構成

いずれもフルタイムの職員(専門職員と補助職員)および学生補助員の統計である。それぞれの言語別の人数は下表のとおりである。(単位:人)

専門職員

専門職員
中国 日本 コリア 合計
63.40 43.63 12.66 151.45

補助職員

補助職員
中国 日本 コリア 合計
74.32 47.34 12.54 160.36

学生補助

学生補助
中国 日本 コリア 合計
29.60 16.58 8.93 98.81

言語別では、中国語約167名、日本語約108名、朝鮮語約34名であり、蔵書数との関係で言えば、中国語は一人あたり約46,085冊、日本語は約43,835冊、朝鮮語は約26,629冊となる。職員と学生補助員の合計数が多いのは、当然ながら蔵書数が多い機関であり、20人以上はイェンチン図書館の52.49人、ワシントン大学の40人、バークレー校の26.5人、プリンストン大学の21.5人である。なお、LCは19.5人である。全体の約30%に当たる16機関が10人以上の職員、学生補助員を擁している。専門職員に限るとイェンチン図書館の14.87人(言語別統計なし)、LCの8.5人(中国語:3.5人、日本語:4人、朝鮮語:1人)、プリンストン大学の7.5人(中国語:4.75人、日本語:2.75人)、ミシガン大学の7人(言語別統計なし)となる。

4.7 図書館サービス

4.7.1 利用者ガイダンス

講習会の数が多いのは、ブリティッシュ·コロンビア大学の245回、バークレー校216回、参加者数が多いのはブリティッシュ·コロンビア大学730名、ハワイ大学479名、バークレー校347名である。一回当たりの参加者が多かったのは、ハワイ大学で25.2名、ミシガン州立大学25名で、逆に少なかったのは、参加者ゼロを除くとバークレー校1.6名である。全体の平均は4.4名である。

4.7.2 レファレンス処理件数

例えば、イェンチン図書館、コーネル大学、プリンストン大学やエール大学、そしてクイーンズ公共図書館がゼロとなっており、この統計についても文書レファレンス、電話レファレンス、或いは館内利用者に対する口頭レファレンスも含むのかどうか一部不明な点が多い。データ提供機関で最も処理件数が多いのは、LCで20,513件、次いでトロント大学の10,299件(ちなみに、同大学の年間利用冊数は229,029冊となっている)、バークレー校8,653件、ブリティッシュ·コロンビア大学の7,710件となっている。

4.7.3 館内利用冊数

既述したトロント大学に次いで、ブリティッシュ·コロンビア大学が154,984冊、コロンビア大学123,391冊が群を抜いて多く、以下、イェンチン図書館の63,614冊、バークレー校54,397冊、スタンフォード大学22,682冊と続く。

4.7.4 図書館間貸出

バークレー校は2,217件の申込を受け謝絶はゼロである。UCデービス校も1,410件すべてに対応している。以下、オハイオ州立大学1,643年(謝絶1,422件)、プリンストン大学1,467年(同257件)、ミシガン大学1,360件(同280件)である。

5. 終わりに

言語別に経年変化を見れば、例えば中国の文化大革命、米中国交正常化、韓国の民主化、急激な出版活動の発展および電子資料登場の影響や東アジア研究との関連等興味深い点も多々あるが、今回は概観のみに終わった。

各機関の連絡者も記載されており、この統計は相互協力の基礎であり、同時に自館の蔵書構築検討の基礎データともなる。こうしたCEALの活動は、今後国内関係機関間の協力活動を考えていく場合に十分参考にすべきものと思われる。

  • 国立国会図書館
  • 国立国会図書館オンライン
  • 国立国会図書館サーチ
  • 国立国会図書館デジタルコレクション
  • ひなぎく
  • レファレンス協同データベース
  • 本の万華鏡
  • 参考書誌研究